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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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加速する憎悪

「ドクロちゃ…え?何で、何で…」

さっきまでの記憶がない。

確かドクロが博士を殺した訳ではない事を知った後…。

「あれ…?」

やはり、記憶がない…。

何かに意識を乗っ取られたような感じがした。


目の前のドクロは怒りに震え、両手の拳を握る。

後ずさるれな。


「れな…絶対許さない…!」

ドクロは地を蹴ってれなに突進してくる!

拳に黒い魔力を集め、そのまま突きだしてくるドクロ!

れなはあまりに突然の襲撃にすぐに反応できず、胸元を思い切り殴られた!

一瞬にして新幹線にも匹敵する速度で岩に叩きつけられ、岩を破壊する。

背中を突き刺すような衝撃が走り、既にれなは全身の痛みにうち震えた。

そんなれなを押し倒し、ドクロは両手の拳でひたすられなを殴り、そのまま襟首を掴んで引き寄せる。

その赤い目には、涙が浮かんでいた。

「何で殺した!!」

「え!?な、なに…」



「その辺にしておけ」


怪しい声と共に、れなの横に霧のようにリューガが現れた。

突然謎の男が現れて後ずさるドクロ。

リューガは呟くようにドクロに言った。

「れなは何もしていない。粉砕男が彼女を操ったんだ」

ドクロは、一瞬何を言っているのか分からなくなる。

そもそもこんな怪しいやつの言葉を、普段なら信じないのだが、この時ばかりは兄を失って冷静さを失っていた。

リューガは追い討ちをかけるように発する。

「お前は粉砕男に惚れてて分からないんだ。あいつは元々悪に作られた怪人。あんな優しい顔をして、裏では何を考えているか分からないだろ?」

黙りこむドクロ。

リューガの両目の色が、青く染まる。


意を決したように立ち上がるドクロ。

あっさりと信じたように見えるが、彼女は実際は誰を狙っていいのか分からなかった。

突然様子が変わって兄を殺したれなか、この男の言う通り粉砕男か、それともこの男が殺したのか…。



「…っと、この辺で俺は失礼するよ。そろそろ日が暮れそうなんでね」

日が暮れる…?

だが今はまだ昼頃。空はまだまだ青く輝いている。

リューガは何かを伝えるような笑顔を浮かべると、また霧のように消えてしまった。



「…」

「…ドクロちゃん、あなたが…博士を殺したの…?」

ドクロに殴られ、まだ痛む頬を抑えながら、れなは聞いた。


どうする事もできなかった。


二人は、背を向けあって離れていく。









…その時同時に二人の頭に激痛が走る。


「ヴッ…!!」

頭を抱える二人。

目の前の視界が七色に染まって歪み、頭のなかに声が響く。


ドクロには、れなの声が聞こえてきた。

「上手く誤魔化せた。兵器としての破壊衝動が目覚めてテリーを消しちゃったけど、あのリューガってやつも出てきたお陰でドクロちゃんの気も逸れてるしね」




そして、れなの頭にはドクロの声。

「何だろう。別に深い理由はないけど…死神の宿命なのかな?れなの博士を殺しちゃった。まあ、私は死神なんだし、どうせ人間死ぬんだ。良いよね!」




同時に足を止め、同じ表情を浮かべる。





「…アアアアアア!!!!」


雄叫びをあげ、振り返りあい、同時に激突した!!

その怒りの拳から放たれた衝撃波は、周囲の草花を一瞬にして吹き飛ばす。

木々も揺れ、二人の怒りが大地を揺れ動かした。

つり上がりきった目がお互いを睨みあう。


れなはドクロの腕を掴んでそのまま引っ張るように引き寄せ、投げ飛ばす!

地割れが起きる勢いで叩きつけられるドクロだが、直ぐ様立ち上がって反撃を仕掛けてくる!

もはや二人を止める者はいない。





同時刻。

紫の長い髪を揺らしながら、れなの仲間の一人であるラオンが森の南部を歩いていた。

修行の為、ナイフを片手に岩場へと向かう。

「今日はれなたちも誘ってやるか」


だが、脅威は突然訪れた。



ラオンは、周囲が暗くなるのを見た。

今はまだ昼なのに、夜のような暗さになってしまう。

「は?」


しばらくして、これは暗闇ではない事が分かる。

…影だ。


「何者だ!」

ラオンはナイフを顔の前に添えて振り返り、上を見上げた!


「…!!」

紫色の瞳の中の黒目を縮小するラオン。

空には…ラオンのかつての主である、グリーン星人の円盤が飛んでいたのだ。

円盤から一斉に飛んでくる鉄人、グリーン星人の兵器であるアンドロイドファイター。

ラオンは訳も分からず、足を深く踏み込んで戦おうとするが、アンドロイドファイターたちはそんな彼女を鋼鉄の拳で殴りまくって集団リンチに。


ラオンはあっという間にやられ、地に伏した。


「あっさりといったな」

円盤からロープで着陸してくる、緑の肌に黒いまだら模様の宇宙人…。

グリーン星人が、倒れたラオンを二人がかりで持ち上げ、そのまま円盤へと運搬していく…。


そして、円盤は地球から静かに去っていった。


地球には、確実に脅威が迫ってきていた。



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