滅亡の始まり
れなは、博士と森を歩きながら明るい声を出していた。
「博士、妹はもうすぐですか?」
「ああ。もう完成は近いよ。楽しみにするんだな」
笑顔の二人…。
会話から察するに、れみは何故か生まれてない設定だ。
れなと闇姫は、あまり考えると頭が混乱してしまう為、これをまずただの映画として見る事にした。
…それでもなぜれなが映ってるのかは謎のままだが…。
「博士、名前は決まってるんですか?」
「ああ。その子の名前はれ…」
同時だった。
れなの顔に、赤い液体が張り付く。
「…」
れなは、しばらく笑顔のまま立ちすくんでいた。
そして、自然に目が動き、すぐ横を見る。
そこには…頭を血まみれにして、仰向けに倒れてる博士がいた。
「…は、かせ?」
ふと正面を見ると、そこにはある男が立っていた。
「…何だあいつは」
闇姫は相変わらずの無表情を見せる余裕があるが、既にスクリーン外のれなは展開に追い付いていけず、ポップコーンを落としそうになっていた。
そして、スクリーンに映されたその男は…
青の右目に赤の左目、そして赤と青の二色で分けられた服、黒い髪を風になびかせる、道化師のような男が…。
男は森の石に座ったまま、れなにこう言った。
「…ついにこの時が来ちまったか。れな」
「…あな…たは?」
震える声で、死んだような目で聞くれな。
男は帽子をとり、ボサボサな髪を見せて頭を下ろす。
「はじめまして。俺はリューガ。この辺を旅してる道化だ。そのおじさんを殺ったやつを知ってるぜ」
リューガは静かに歩いてれなに近づいてくる…。
足を震わせるれなは動く事ができず、こちらに近づいてくるリューガをただただ見つめる事しかできない。
気づけばリューガは目の前に立っていた。
「彼を殺したのは、ドクロだ」
れなの頭に、ドクロの顔が浮かび上がる。
今まで一緒にいた大親友だ。
「彼の仇を討つかどうかは、お前次第だ」
そう言い残すと、リューガは全身を掠めるように消えてしまった。
後に残ったれな…。
拳を握り、歯を食い縛る。
三十秒ほどたたずんだ後、倒れた博士を抱き抱え、そのまま空中飛行を始めた。
その顔は、今までにない感情を浮かべていた。
リューガは、木の上から彼女を見下ろしていた。
「…ゲームスタートだ」
リューガは、血にまみれた自身の右手を掲げ、嬉しそうに笑っていた。




