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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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姉妹の日常の再開

すっかり暗くなった夜空を見上げ、人々に紛れて道化師は失望したような表情を見せていた。

夜空から降りてくるのは三人の少女、そして少女の手には紫の蝙蝠。

「…ナスビも魔王も、こんなもんか。初めから期待はしてなかったがな」

人々の視線をさけながら、リューガは夜の闇へ消えていった。







「れみ!おかえりー!!」

ドクロを先頭に、仲間たちは涙目でれみを抱き締めた。

「ちょ!苦しい!くるじ、ぐるじ…苦しいっつんてんだろこの野郎!!」

いつものれみだ。

余計に安心した皆の顔は、戦いの疲労など微塵も感じさせない。






「…そして皆。ただいま!」

れみと仲間たちが密集しあうなか、声をかけた者。




れなが、ツインテールを揺らしながら居にくそうに立っていた。

れみを除く全員の顔の動きが止まる。

明かりがついた建物の窓をバックに、時が止まった。




「ん…れな?」

「反応薄すぎ!!」

れなは激怒し、がに股走りで近づくと自分の顔を指差した。

「れーなー!!私はれな!!異世界に消えたはずの、この小説のしゅーじーんこーう!!」





やはり仲間の反応は薄かった。

「あぁ。れなおかえり」

「何だよそれ!!」

悔しそうに拳を握るれな。

しかし、これは仲間たちの意地悪などではない。


れななら、絶対帰ってくると信じていたからだ。

だから皆にとってれなの生還は奇跡などではなかった。

信じたからこそ、大きな反応はないのだ。

ラオンがれなの肩に手を置いた。

久々のれなの肩だった。

「れな、土産話でも聞かせてくれ」

れなは笑って頷いた。


「…とその前にあのセンス0な事務所を見せなきゃな」

「え?センス0の事務所?」

「わー!!わー!!」

あの謎の落書きまみれの、れみがデザインした事務所を見せなくてはならない!

れみは焦りながら両手を振るのだった…。



同時刻。





「おがえ…おがえりなざいまぜ…!」

赤い巨漢悪魔のアースデストロイアーをはじめとした悪魔たちが、闇の世界で泣きじゃくっていた。

赤い絨毯が敷かれたホールに立つのは、闇姫。

一部の兵士はもう二度と会えないかと思っていた、闇姫だ。

闇姫はただいまも言わず、相変わらず無愛想に歩くと用意された椅子に座って目を薄める。

「城の回りが汚れてる。やはり私がいないと駄目なようだなこの軍は」

手を頭に添えて敬礼する兵士たち。

まさか、この人の前でまた敬礼ができるとは。

兵士たちはこの上ない喜びで溢れていた。



「闇姫チャまぁぁぁ!!」

扉を開いて勢いよく紫の球体状の生き物が闇姫の元へ飛び込んできた!

四天王のデビルマルマンだった。

他の四天王もやはり涙を流し、まだ何も言ってないのに敬礼している。

「四天王もこれか。妹たちにも帰還を知らせないと騒ぎになるな」

闇姫は自分を待っていた人達の事を頭に過らせながらやはり無愛想に振る舞う。



四天王のひし形の生き物、ダイガルが空中に浮かび、最年配兵士として城に響き渡る大声を出した。

「闇姫様が帰られた今、闇姫軍は復興した!もう怖いものなどない!」

軍員全員が、一斉に歓声をあげた。




「あー素晴らしい!」

れなは久々の我が家のベッドに横たわり、夢にも見たゲーム機を全く手放さなかった。

それを部屋の外から見ていた博士の目も幸せそうで、輝いていた。


れみが玄関にれなを連れてきた時は、信じられずにポカンと佇んでいた博士。

れなは仲間たちに言った時と同じように、ただいまの挨拶で帰還を知らせた。

博士はその時、れなを抱き締めたのだ。

れなの人工の肌に宿る体温を、全身で感じ取った博士はすぐに泣き出した。

れなを信じていたからこそ泣かなかった仲間たちと同じ心境だったはずだった。

れなはいつか戻ってくる。そう信じ続けていた。

だが…娘も同然の存在が今、目の前に戻ってくるとやはり泣いてしまう。

博士も親なのだ。

泣きに泣いた後、彼は自身の部屋に戻り、ある写真たてを取った。

そこには、まだ髪が黒かった博士と、長い黒髪の女性が写っていた。

博士は、この写真を見て笑った。



「れなが、帰ってきたぞ…」




「お姉ちゃん」

れみはれなに話しかけた。しかし久々のゲームに没頭しているれなはまるで聞く耳をもたない。

いつもなら怒鳴り付けてるところだが、今回はまあ許してやるとれみは見逃した。

れなに聞こえるよう、わざと大きな声で独り言を言う。

「全く。抱き締めてやろうかと思ったんだけどなー」

背を向け、部屋の真ん中にあるテーブルに手を置こうとした。





ギュッと彼女の体全体に重圧がかかった。

ゆっくりと後ろに振り替えると、そこには目をつぶる姉の姿が。

閉じた目に光る涙…。



「れみ、ありがとね…」

「…うん」



また一つの戦いが終わったのだった。


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