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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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怒れれみ!星を揺るがすクソガキたち!

「これがオイラの真の姿。元に戻る為の力が不足してたけど魔王様の宝石が破壊されて、そこから力を奪えた訳さ!」

ナスビは人型の両手を嬉しそうに振り上げ、悪役らしい笑い声をあげてみせた。

歯を食い縛りつつれみがナスビに向かっていき、何も言わず拳を突きだす。

ナスビは今まで散々食らってきた拳を難なくかわし、逆に殴りかかるふりをしてれみを驚かせた。

「本来の姿プラス魔王の力を得たオイラに、勝てると思ってるの?」

ナスビは小さな体で他の仲間たちも見下ろすような目で見つめていた。


やるしかない!

ドクロとテリーは鎌を魔力で召喚し、ナスビに斬りかかる。

しかしナスビは彼らの背後に回り、背中に蹴りをかました。

すかさず葵が放つ銃弾が飛んできたが跳ねてまたもや難なく回避。

ナスビは背中から蝙蝠の羽を広げると空中に飛び上がり、両手の指先から紫色のレーザーを放って地上の敵を全員凪ぎ払う。

手で顔を覆い、思った以上の力に驚愕すると同時に、ナスビの隙を見つけようと必死になる。

だがまるで隙がない。とにかく速いのだ。

子供の体型もあって余計に身軽なのだろう。

そのままナスビは近くにあったビルにレーザーをぶつけ、切断した。彼なりの見せしめだ。

「どうした?まるで反撃がないな!このまま世界征服も悪くないかな?」

良い気になったナスビはそろそろとどめを刺そうとしていた。



「待て!!!」

レーザーの間を何とか潜り抜けてきたれみがナスビの前に飛行してきた!

魔王との戦いで体力が残ってないなか、このレーザーから抜け出した事に驚くナスビだが、同時に自身の勝率を確信して笑いだす。

「どこまで馬鹿なんだ?弱ってる君とパワーアップしたオイラ、どっちが勝つかもう分かりきってるだろ?」

「逃げない。私は逃げないよ」

れみは、今度こそ姉のようになりたいと誓った。

姉のように…れなのように、自分も地球を守れるんだと…。

やれやれといった態度のナスビにれみは宣戦布告。

「ここでは全力を出せない。来い!」

ロケットのようにその場から飛び出していくれみ。ナスビはそれを追いかけ、れみは何を考えてるのかと、呆れぎみに考えていた。

勝てる訳の無い自分に立ち向かう愚かさを、到底理解できないのだ。


雲を抜け、大気圏を抜け、宇宙へと出たれみは近くにある星を見渡した。

「…あそこだ」

無人の岩だらけの星を見つけたれみは無重力に抗いながらそこへ向かう。ナスビの羽も無重力をものともせず、何の問題もなく向かってきた。


惑星は大気もなく、戦闘を彩る風もなかった。

そんななか、れみは両手を構えて力を解放する。

ナスビもそれにこたえるように右手を紫に光らせる。

二人の足元に入るヒビ。

惑星は、悲鳴をあげようとしていた。



「…とりゃあああ!!」

れみの足元の地面が砕け、吹き飛ばされるような勢いでれみはナスビに拳を放つ!!

ナスビは相変わらず姿勢を崩さず左手を構え、その渾身の拳を受け止める。

れみのラッシュ攻撃として拳が続くがそれらもどうって事ないとばかりに受け止め続け、笑みさえ浮かべるナスビ。

魔力を集めた右手で逆にれみを突き、そのまま吹き飛ばす!

吹き飛んだ際の衝撃波が地割れを引き起こし、れみは近くにあった岩に叩きつけられる。

「くっ…ま、まだ…」



ナスビは、岩に叩きつけられたれみの前に凄まじい速度で寄ってきた。

そして、魔力を集めた手をれみの首に添えて、黒い目を見せる。

「お前の姉…れなだろ?お前について調べてた時に出てきたよ。今はどっか行ってるんだってな」

れみはナスビの手を掴む事ができなかった。

「どうした?助けを求めろよ。大好きなお姉ちゃんが、助けに来てくれるかもしれないぞ?」

ナスビは一旦手を離し、最高に馬鹿にした口調でれみを指差した。

「…なーんて。助けに来てくれる訳ないじゃん!そもそも帰ってくる訳がないよね!どっかで死んでたりして?」


れみの緑の目が、揺らめいた。

糸のように、何かが頭の中で途切れた。

そして、呟いた。









「ふざけんじゃねえ」







「ん?」

れみの手が、足が、震えだす。

叩きつけられた岩に徐々に入る亀裂。







「ふざけんじゃねえええ!!!!」

大声で叫び、両手の裏拳で岩を破壊したれみは、ナスビが想定できない速度で向かっていき、ジェット機よりも速い拳をナスビの顔面にぶちかました!

当然ナスビは吹き飛ばされる。吹き飛んでる最中にれみは先回りし、更に蹴りをかました!

方向を変えて吹き飛ばされるナスビに更に先回りして殴り…とれみは怒りのままに攻撃を続けた。

ハメられるナスビは叫び声をあげながら飛ばされ続け、最後はかかと落としで地面に叩き落とされた!




「くっ…」

地面にクレーターを作り、頭を抑えるナスビだが休んでる時間など無い。

ふと空を見ると、二つ編みを振りかざすように揺らしたれみがすかさず目の前に降りてきた。

降りてくるなり回し蹴りを繰り出し、ナスビは両手で受け止めつつも冷や汗をかいていた。

思わぬパワーアップに少し対処が遅れだしたのだ。

すかさず足払いを仕掛けようとするがれみは突然後ろに下がり、指を構えて無言でレーザーを放った!!

ナスビに直撃し、弾けるレーザー。ついにナスビの逆鱗に触れる。

「舐めやがってええ!!」

ナスビも後ろに下がり、羽を広げて紫の光線を両手から連射してくる。

何十個もの巨大な光線はれみ一人を狙い撃ち、容赦ないリンチ攻撃を展開した。

「くああああああ!!!」

全身に紫のプラズマが走り、苦しむれみを嘲笑うナスビ。

そろそろとどめを刺そうとナスビは右手を掲げてエネルギーを集めだした。

れみは、目も開けられない苦痛に襲われ、暗黒の中、助けを求めた。


(痛い…苦しい…!!助けて…助けてお姉ちゃん!!)


こんな相手、れななら…姉なら倒せるはずなのに。

自分には勝てない…!



れみの目から、涙が流れる。表情は崩れ、柔らかい笑顔を浮かべた。


(そうだ…お姉ちゃん…いないんだ)

暗い空を見上げ、ナスビに気づかれないように白い涙を流すれみ。




涙は、れみの悲しい笑顔を映し出しながらゆっくりと落ちていき、そして弾ける。


姉のようになろうとした自分を、れみは後悔していた。

(…はは。お姉ちゃんには敵わないや)










ナスビの片手に形成される、巨大なエネルギー弾。

「反撃はなしかい?仕方無い、このまま星ごと破壊してやる!」

振り下ろされる手と共に向かってくるエネルギー弾…!

れみは、目をうっすら開いて覚悟を決めた…。








直後…。










れみの耳に、ガラスが割れるような音が響いたかと思うと、エネルギー弾が突然挙動を変えた!!



空の果てに飛んでいき、爆裂するエネルギー弾。







「…!!」

れみもナスビも、驚愕した。


れみは顔をあげる。




「れみ、よく耐えたね」






れみは再び、涙を流した。

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