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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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れみの決意の戦い

「約束通り一人で来たんだな。ポケットに仲間を隠してないか確認しちゃうぞお〜」

ナスビはれみに近づき、スカートのポケットに手を突っ込もうとするが、すぐに蹴飛ばされて飛んでった。

やれやれと首を振るリューガ。

それはさておき、約束通りに一人で来たれみに魔王は少し驚いたのか、一旦間を置いてから笑った。

「ふふふ…。お前の純粋な心はお前の首を締める事となる」

魔王は片手をれみに向ける。れみは恐れる事なく魔王を真っ直ぐ睨み付けた。


その時、魔王の背中から黒い砂埃のようなオーラが放たれた。

オーラはあっという間に広がり、れみ、魔王、リューガを取り囲み、一つのドームとなって空中に浮遊した。

「ここなら誰にも邪魔される事なく戦える。子供相手に我が力を振るうのは尺だが、お前を放っておけば我々の大きな障害となる。悪く思うな…」

魔王は指をボキボキとならした。大きな指から放たれた音は、ドームの壁に遮断される。

暗黒の部屋のなか、二人は迫りあった。



先に拳を突き出したのはれみだった!

魔王はわざと手で受け、こちらの実力を試してくる。

この程度かとばかりにれみの拳を軽く凪ぎ払う。

ドームの壁を蹴って突撃し直すが、魔王はまるで全ての挙動をはじめから読み取ってるかのように腕を構え、それを受け止めた。

逆に容赦ない蹴りをぶちかまし、れみはドームの壁に叩きつけられ、衝撃波が生じた。

観戦してるリューガの帽子が、飛ばされそうなほどに揺れる。


れみはもう既にかなりのダメージを負っていた。だが魔王に慈悲などない。

空中で走るように接近し、壁に叩きつけられたれみを押し潰そうと拳を放つ。

れみは両手でそれを受け止めるが、背中は壁、正面からは拳といわゆるサンドイッチ状態に。

魔王の赤い目が、れみの緑の目をじっと睨む。

「緑の目…」

魔王の拳に、より力がこもる…。

れみの目の…色に反応するように。




その頃、仲間たちは宙に浮かぶ黒いドームを見てれみ救出作戦に望んでいた。

「れみ…!必ず助けるぞ!」

ラオンがナイフを構えて飛び出そうとしたが、ドクロが彼女を止める。

下手に近づけば何をされるか分からない。それに空中には紫のカラスの大群がこちらを睨んでる以上下手に近づく事はできない。

「どうすりゃ良いってんだよ!」

暴れるラオン。勿論全員は必死に考えた。


「…くそっ、今はもう考えてる暇なんてない!あのドームをぶっ壊す!」

全員が力をあわせ、お互いの手の平からそれぞれの力を凝縮した光線を発射!!

そのエネルギーで空気が振動され、大地全てが揺れ動くのをはっきり感じた。

虹色の光線は暗黒のドームに炸裂し、空が赤く染まるほどの爆発を引き起こす!!





しかし…ドームはびくともしない。あれほど強力なエネルギーがまともにぶつかったにも関わらずだ。

これはあまりの予想外。あの葵ですら「あれ?」と小さな声をあげたほどだ。

地上を見下すドームは、ラオンたちの非力さ…いや、魔王の絶対的な力を象徴するかのようだった。

「このままじゃれみが殺されるぞ」

れみを死なす訳にはいかない。

何とか、何とかこの状況を打破する方法を考えるのだ。

何とか…。



「!!」

葵の脳裏に、何かが光った。









「エメラルドの石よ!」

全員の視線が葵に集中したところで葵は興奮ぎみに説明した。

「魔王から集めた勇者エメラルドの欠片のあの石!あれに私たちの魔力を込めれば何か起こるんじゃない!?」

エメラルドの欠片を利用するなどという方法は、誰も考え付いていなかった。

まだ不完全なあの欠片だが、魔力を込めれば。そんな使い方があったとは。

「試してみる価値はあるな!」

あの石は事務所に置かれてる。全員は大急ぎで事務所へ突っ込んでいく。





「あった!れみが不用心で助かった!!」

ドクロの叫びと共に、タンスの上に飾られていた三つのエメラルドの石が緑の輝きを放つ。

インテリアとして置いておいたのだ。他の石は、恐らくどこかに保管しているのだろう。

この石ころ三つで本当にれみを助けられるかまだ疑問はあったが…今はこれ以外に方法はないし、残りの石を探す時間も残ってない。





「いくぞ!」

エメラルドの石は玄関に三つ並べられる。

全員は息を揃え、右手を構えた。魔力を高める為、目を閉じる。

体に宿る魔力の巡回を高めながら…そして、れみの無事を祈りながら…。

全員の体から放たれる神々しいオーラ。あと少しだ…!



その時!上空の紫カラスたちが突然大合唱を始めた!

驚いて目を開く一同。

同時に紫カラスたちは何かを察したのかこちらに向かってきた!

「な、何!?カラスは光る物を狙うから!?」

「魔力を高めすぎて気づかれたか…さっさと片付けるぞ!」

飛んでくるカラスたちにエネルギー派を放って撃ち落とす!!




「ぐふっ!!」

れみは拘束から何とか解放されたが、それだけで有利になった訳ではない。

魔力の拳や足は小さなれみに何発も炸裂し、その度に彼女を吹き飛ばし続けた。

もう空中飛行を保つのも困難な状態だ。

「そろそろとどめといくか…」

魔王は両手を構え、紫のオーラを纏い始める。

れみはどうしたら良いか分からなくなる。度重なるダメージに、頭も上手く働かなくなってきたのだ。

リューガの桃色の右目、青の左目がれみを哀れむように見つめていた。

そしてその口は、ひきつったように笑っていた。

「…どうしよう…。助けて…」

「助けなど来る訳がないわ。くらえ!!」

禍々しい光線が放たれ、ドーム全体が大きく揺れ動いた!!



まさにその瞬間。





れみの頭に、声が響いた。



「避けて!!」と。









「!!」

何かに動かされるかのように動くれみの体。

片方の二つ編みに光線がかすり、かすった部分は欠けたように消滅する。




そして光線がとんだ先は、ドームの壁。

黒い壁は紫の光線を受け止め、激しく弾かせる。

紫の光がドーム全体を照らすなか、魔王はれみを嘲笑う。

「フハハハ。避ければ出れると思ったか?このドームは私の魔力で作ったのだ。私の光線で壊れる訳がない」








「撃って!!」






頭に響く声のまま、れみは指を構えて白いレーザーを撃つ。



「何っ!!!?」

魔王は驚愕する。

魔王の光線が当たっていた壁に、今度はれみのレーザーが炸裂!!




レーザーと魔王の光線の光線の魔力が入り交じり、一瞬未知のエネルギーへと変化する。

その未知のエネルギーはドリルのように壁に突き刺さり、衝撃を与えた。

黒い壁に刻まれていくヒビ。





そして…ドームはガラスのように粉々に砕け散った。

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