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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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魔王軍リベンジ

あれから名無しの魔王は、帰還した名無しの戦士を目の当たりにし、驚きを隠せずにいた。

名無しの戦士は魔王軍最強の戦士。彼ですられみたちを倒しきれなかったのだ。

これ以上部下に頼る訳にはいくまいと考えていた名無しの魔王だが、彼はプライドが高い。

本当に自身が出るか完全に決めるまでは、相手を試すのが彼のやり方だ。

今回で最後の刺客だ。


「全員だ」

名無しの魔王は、部下たち全員を玉座の間に揃え、命令を下した。

岩の怪人グラントス、サイボーグ怪人のジックをはじめ、彼らは今までれみたちに敗北した戦士ばかりだ。

同時に膝をつき、頭を下げる彼らを、魔王はじっと見つめていた。


その様子を、ナスビは柱の陰から覗いていた。

何やら羨ましそうな顔で…。


「なーにしてんの」

ナスビの小さな心臓が、突然自分に呼び掛ける声で震え上がる。

驚いて振り替えると、そこには不思議そうな目で見下ろしてくるリューガが。

「…リューガか。なに、ちょっと昔の事を思い出したんだ」

ナスビは柱に翼をつけながら話し出した。

「…オイラは昔、ある王に仕えていてね。彼はいつも優しかった。でも、オイラはある日行方不明になって…」

ナスビを見るリューガの右目は青く、左目は黄緑色に光っていた。

「…城の生活の事をよく覚えてないんだけど、気付けばオイラはあの魔王様に仕えていた。同時にオイラは蝙蝠の姿に変えられて」

「なに?」

計算高いリューガも相手の人生までは予測できない。

ナスビは昔は蝙蝠の姿ではなかったようだった。

何かしらの事が起きて蝙蝠にされたようだが、その出来事をよく覚えていないのだ。

「そんで、オイラはあの魔王様を見つけて、この城という職場を手にした。だから仕えてる以上は魔王様のお役にたちたいんだ」

自分の翼を、拳のように握るナスビ。

もっと力があれば、魔王様のお役にたてるのに。

ただただその思いばかりだ。






「…」

ドクロは、家で瞑想していた。

名無しの戦士との戦いを思い返し、家でもできる修行として瞑想を選び、力をつけていた。

兄のテリーが呼び掛けたり外の風が窓を打ち鳴らしたり外で爆発が起きたりしたが、今のドクロの耳には届いていない。

ドクロは精神世界の中心に立っていた。全身の神経が研ぎ澄まされ、ありとあらゆる状況に対応できる究極の集中力を、一時的に習得していたのだ。


「!!」

スッと、全身が迫り来る危機を脳に伝えた。

体が勝手に動くように、ドクロの手が迫ってきた相手目掛けてとんでいく!

…その相手は、いきなり殴られて完全に硬直しているテリーだった。

節穴の目でドクロを見つめ、殴られた額の痛みをこらえながら震える声で聞いてくる。

「…何、してるんだ?」

やはり完璧な瞑想ではなかった。

殺気を放つ相手にのみ対処するのが今の目標だ。

このままではまだまだ、と目の前で痛がる兄を無視して瞑想を再開しようとするが…。


「!」

ドクロの瞑想が、効果を発揮した。

頭が強大な魔力を察知したのだ。

それも一つではない。幾つもの魔力の群れが、森を通っていくのを感じ取った。

急いで窓を開き、森に視線を向けると、ロケットのように空中飛行を開始した。


その気配は、他の仲間たちも察知していたらしく、粉砕男とれみを先頭に仲間が全員集まってくる。

「やはり皆も感じたのね!」

全員は、それぞれのタイミングで頷いた。

ドクロも列に入り、遠くに見える緑の森を目指していく。




森を歩いていたのは、魔王軍の連中だ。




魔王という偉大な存在に仕える彼らにとって、負けた恨みは大きいものだった。

こうして魔王に再びチャンスを与えられた事への感謝を口にしつつ平和な森を歩んでいく。

列の先頭を歩くのは、名無しの戦士だ。


全員が空を見上げる。

同時に気配を感じ取ったのだ。

青空を飛んでいくのは無数の影。


「迎え撃て」

名無しの戦士の指令と共に空目掛けて一斉に飛んでいく魔王の戦士たち!


れみたちも地上から向かってくる彼らに急降下していく!


「今度こそ私だけの指輪にしてあげるわ!」

金髪で香水臭い髪の男、フィーガーは指輪化光線をドクロ目掛けて放つが、もう同じ手にはかからない。

ドクロは手のひらに魔力を集中させ、黒い光弾ブラックボムを撃ちだし、フィーガーを爆発させた!

つづけてドクロの背後からサイボーグ戦士、ジックが刃の手を構えて飛んでくるが…。

「おらあー!!」

ラオンが、紫の髪を振り乱してナイフで刃を受け止め、怯んだ隙を突いて蹴りをお見舞いする!


セットしてきた茶髪を揺らしながら、魔王軍の歌姫、アルトとソプラノは遠距離から音波を放って狙撃を仕掛けようとしていた。

だが、れみたちも伊達にチームを組んでる訳ではない。

そんな狙撃は通用しないと、葵が飛び出して二人の前に立ちはだかる。

「げ、音痴女!」

葵の顔を見ただけで空を飛んで逃げ出す二人…。

葵は、唖然としていた。



「あの時の復讐だぜ粉砕男ー!!」

岩の怪人、グラントスが岩の体の重さを感じさせない凄い勢いで走ってくる!

森の草を散らしながら粉砕男も走り抜け、同時にお互いの両手を握りあい、ジリジリと睨みあう。

即座に膝蹴りを打ち込む粉砕男。

グラントスの岩石の装甲に衝撃を走らせ、転倒させる!

魔王軍の部下たちは次々へとダウンしていき、名無しの戦士は相変わらずの余裕でそれを見つめていた。

全員が倒れた戦士たちを確認すると、名無しの戦士に目を向ける。

右手から稲妻の刃をもつ剣を射出する名無しの戦士。


「行くぞー!!!」

粉砕男がダンプのような勢いで突進を仕掛けるが、名無しの戦士は後ろに軽く跳び跳ねてそれを回避する。

続けて頭上からナイフを振り下ろすラオンが飛んでくるが、剣を構えて即座に受け止める。

背後から葵の放った銃弾、ドクロのブラックボムが狙撃弾として撃ち出されるも、振り返り様に剣を振るい、二つの弾丸を同時に切り落とす。

ブラックボムの黒い爆発が目の前で起きても、名無しの戦士の表情は一切変わらなかった。

「次は私の番か」


名無しの戦士は回転しながら剣を振る事で、周囲に大量の稲妻を撒き散らしてくる!

両手を構えて防御する仲間たちだが、散乱する稲妻の威力は極めて高く、腕にぶつかると全身に電気が走る。

空中から撃ち落とされ、次々に地面に落とされていく。

この程度でひく訳にはいくまいと立ち上がるが、ここで名無しの戦士は全員の意識を越える程の速度で地上へ降り、同時に剣を突き出して一人一人突き飛ばしていく!

地割れが起きるのではないかという程の勢いで叩きつけられる仲間たち。

事前にその光景を見て両手を構えるれみだが、膝が震えていた。


「ぐっ…強い…」

地面に舞い落ちた土を握りながら、ラオンは悔しさを噛み締めた。

倒れてうずくまる仲間たちを、名無しの戦士は見向きもしない。

残った相手、れみを見ると呆れたようなため息をついた。

「子供相手に本気を出すような主義ではないが、魔王様の命だ」

仲間たちに近づいた時と同じ速度でれみに接近し、剣を振り下ろす!

幸い小さいれみは即座にかわす事ができたが、バランスを崩して転んでしまう。

仲間たちは体にかかった稲妻のショックで動く事ができず、目の前でれみが攻撃されるところを見つめるしかなかった。

悔しさのあまり、涙が出るような感情だ。

「れみ…!」

れみ目掛けて振り下ろされる剣!

頭を両手で覆うれみ!!


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