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ワンダーワールドⅡ  作者: 白龍
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襲来!モンゴリアンデスワーム

広大な砂漠に一人の旅人が迷い込んだ。

見渡す限りの砂、砂、砂…遠くに見える地平線を越えたとしてもまた再び砂の大地が広がっているのだろう…。喉の乾きもあって旅人の心はもう絶望していた。


その時…。

「…ん」

薄れゆく意識のなか、僅かに大地が揺れているのを感じた。

ただの地震ではない。何かが大地を直接振動してるような音だ。

旅人は周囲を見渡す。砂だらけの地面の底に、死神は潜んでいた。



地面が盛り上がり、砂の雨を降らせながらそれは現れた。

それは、巨大な口を開くと旅人目掛けて飛んでいき、恐怖も感じさせない速さで口に納め、意識を失わせた…。





「モンゴリアンデスワーム?」

れみの事務所に、灰色のヘルメットを被った探検家が訪ねてくる。

探検家が手渡した紙には赤い内臓のような体に巨大な口を持つ何とも不気味な生物だ。探検家はこの生物をモンゴリアンデスワームと呼んだ。

「ここの近くの砂漠で目撃情報が相次いでる。UMAハンターとしてこのチャンスは見逃せないんだよ!!護衛!護衛!」

この探検家は護衛が欲しいらしい。しかしそんな軽い気持ちで砂漠に行こうなどというこの探検家にはあまり賛同できなかったれみは断ろうとする。

「2万払うから!!」

…その言葉で、れみは考える間もなくOKサインを出してしまったのだが。



れみは飛んで探検家を砂漠まで連れていこうとしたが探検家は電車で行くと言って聞かない。

何でも地道に行った方が探検家「らしい」からだそうだ。

その時間は丁度人の出入りが激しい朝の時間帯。

探検家は満員電車に呑まれ、全方位から押し潰される。

「うおおおお待ってろデスワームウウウウウウ!!」

潰れそうなくらい不細工な顔になる探検家を、電車の外から飛びつつ眺めるれみ。


「砂漠、砂漠」

駅のアナウンスが、砂漠への到着を伝える。

ぜえぜえと息を切らしながら探検家はホームに降りる。他の乗客はほとんど降りなかった。まあここは砂漠だし、当然だろう。

ホームの柵の向こう側に広がる砂を見て大いに喜ぶ探検家の姿は砂漠で死んだ者からして見れば不謹慎極まりない。

「早速降りるぞ!」

大急ぎで階段を降り、改札を抜けるとそこにはれみが小さな体で堂々と佇んでいた。

「砂漠よ。覚悟できてんの?」

「逆に聞くけど覚悟ないように見える!?」

全然見えない。呆れて何も言えなくなるれみだがもうここまで来たら付き合うしかない。



駅を後に、ついに砂漠に足を踏み入れる。

「モンゴリアンデスワームやーい!」

探検家と共に適当に声を出すれみだがこれだけ広い砂漠だ。たった一匹の生物をどう見つければ。

太陽が熱光線の如く太陽光を放つ。探検家は汗を拭き、それでもモンゴリアンデスワームの名を叫び続ける。

ここまでさせるモンゴリアンデスワームとは何なのだろう?あんな大腸みたいな生物を何故求めるのか。

もしかしたらとんでもない危険生物なのでは…。

何よりこの探検家では心配しかない。


「いないなぁ」

ピラミッドを遠目に砂漠の暑さにバテかけていたれみ。探検家はまだ叫び続けており、この気力だけは認めてやりたいところだ。

「デスワームを見つければ僕ぁ最高の探検家になれるのさ」

最高の探検家になる為の彼なりの努力だった事もあり、責める気になれない。

「とりあえず喉乾いた!探検家でしょ?水頂戴」

「え?持ってないよ」

はぁ!?と大口を開けるれみ。ここまでとなるともうダメだ。怒りが頂点に達したれみは探検家に飛びかかり、顔面にビンタをかました。

砂を巻き上げながら吹っ飛ばされる探検家。

全くこいつは…探検家としての自覚をつかせようとれみが怒鳴ろうとした。



すると突然大地が揺れる。

地震ではない。何かが大地を直接振動してるような音だ。


「…!」

嫌な予感は的中。大地が盛り上がり、砂を被りながらそいつは現れた。

れみは急いで探検家を突き飛ばす。


現れたのは真っ赤な長い体に円状の口を持つ、10メートルほどもある巨大なワーム。

「モンゴリアンデスワームだ!!」




万歳する探検家目掛けて向かってくるデスワームの口。

れみは探検家をまた突き飛ばして避けさせる。デスワームの口は砂の大地に大穴を空けた。

やはりろくでもない生物じゃないか!れみの足がデスワームの顔面に直撃する。

同時にデスワームは緑の毒液を吐いてくる。

探検家はこの状況でもまだ甘い心を捨ててはいなかった。

カメラを取りだし、デスワームの毒液の写真を狙いだしたのだ。

れみは怒り狂う…というかこれは怒りというよりイライラと言った方が的確だ。

そんな探検家の姿にしめしめとでも言うようにデスワームは毒液を吐き出してきた!

カメラを下ろした探検家の目に映る、死の毒液。

れみは彼を突き飛ばし、毒液をもろに浴びてしまう。

「ぐっ!…あ、アンドロイドでも私のように高性能だと毒も浴びてしまうのさ…」

わざわざ説明しながら倒れるれみ。もがき苦しむれみを見て探検家は更に腹立たしい事を口にした。

「素晴らしい!これがやつの毒液!」

毒まみれのれみの写真を撮りまくる探検家。

れみは怒りを通り越し、彼への呆れを心に浮かべた。

そして、ある行動をとる。


れみは毒に耐えながらモンゴリアンデスワームに向かっていき、その体を掴む。

そしてそのまま回転し、数十メートルのモンゴリアンデスワームを振り回し、十分に速度が出たところで投げ飛ばす、ジャイアントスイングを繰り出した。

モンゴリアンデスワームは砂漠の果てまで届かんばかり…というより、本当に砂漠の果てまで飛ばされた。

遠くで巻き上がる砂嵐。

探検家は一部始終を見て大口を開ける。

「なななななな何て事を!!あんなに遠くまで投げたら写真撮れないじゃん!」

れみはここで初めて怒りの形相を見せ、彼を凍りつかせてみせる。

「もうあんたなんかの依頼には協力しない。取引拒否します。探検家って事はテクニカルシティ世界情報局で働いてるんだよね?訴えさせてもらうから」

それだけ言い残すと、れみは彼を掴み、駅の方へ投げ飛ばす。

飛ばされながら彼は叫ぶ。

「待ってくれ!!訴えないでくれ!そんな事されたら僕は終わりだー!!」

れみは小声で呟いた。

「嫌だね」




その後、れみは無事に世界情報局に彼の不適正な業務態度を訴えた。

何事も、マナーは必要なのだ。





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