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98話 邪箱の不思議な冒険!④(幹部)

 通路を進んで行くと上に続く階段があり、そこには中腰にならないと行けないほど天井が低い通路があった。



「ここしか道はないし、出口はこっちであっているよね? あれ、行き止まりだ」



 狭い通路を進んで行くと行き止まりに辿りついてしまった。あちこちペタペタと触っていると、天井だけグラグラっと動かせる。



「ここから出られるみたいだね」


「……シン、魔物が周りをうろついているかもしれない、慎重にな」


「分かった」



 俺は天井を数(センチ)持ち上げて周りに怪しいものはないか確かめる。



「……どうだ、地上に出て大丈夫そうか?」


「うん、周りには誰もいないみたいだよ」


「……よし、なら地上に出よう」



 俺は天井をグッと持ち上げて地上に繋がる道を開け外に出た。



「ここは……街の外みたいだね。まさかこんな所から街に出入りできる場所が作られていたなんて思わなかったよ」


「……そうだな、アオたちも待っているだろうから呼びに行くぞ」



 俺たちはアオたちの所に向かうために歩き始めた。


 しばらくすると、アオやユカリの背中が見えてくる。どうやら街の入り口を見ていて後ろから来る俺たちに気が付いていないようだ。


 ここから声をかけることも出来るが、それだと街にいる魔物に気が付かれてしまう可能性があったので、もっと近づいてから声をかけようとした。


 その時、俺はパキッと地面に落ちていた枝を踏んでしまい、その音に驚いて振り向いたユカリが俺らを発見して悲鳴を上げてしまった。


 ユカリの悲鳴にアオも驚いて一瞬声を出してしまうが、すぐに俺らだと気が付いてユカリを落ち着かせている。



「ユカリちゃん落ち着いて! シンくんたちだよ」


「あ……本当ですわ、まさか後ろから来るなんて思っていなくて思わず声を出してしまいました。もっと早く声をかけて欲しかったですわ!」



 ユカリは怒りながら俺やハクに言ってきた。



「ごめん、まだまだ遠くにいたから声をかけると街にいる魔物にバレると思って、あえて声をかけなかったのがダメだったね」


「……こんなことなら早めに声をかけるべきだったな、見てみろ、今のユカリの悲鳴で魔物たちが出てきたぞ」


「あいつは街で俺らに話しかけてきた魔物じゃないか!」


「……他にも何体か出てきているな」



 街の入り口には、ベアードが辺りをみている。



「さっきここらで人間の声が聞こえた気がしたが……」


「入り口は俺が見張っておくから、お前はもう少し先を見て来てくれ」


「分かった、今日は街で人間を見ているし、酒場でも通報があったから、もしかしたら近くに人間が隠れているのかもしれない」



 ベアードがこちらに近づいて来る。



「……まずいな、さすがにこの状況じゃ話し合いで解決はできそうにない」


「ごめんなさい、私のせいですわよね」


「そのことはもう気にしなくていいよ。とにかくこのピンチから脱出しないと」


「僕とユカリちゃんはずっとここにいたから逃げ道とか分からないけど、シンくんとハクくんは逃げ道を知っているの?」


「知ってはいるけど……」


「……今は無理だな、そんな所に逃げてしまえば、魔物に場所を教えてしまうようなものだ」


「そうだよね、俺とハクが使った所が使えないとなると、森に逃げるのが今の最善策になるかな」



 みんなも森に逃げる案に賛成のようだ、こうしている間にもどんどんベアードは近づいて来る。



「アオは『ウォーター』を使ってベアードの気を逸らしてほしい」


「え? 僕の魔法じゃあの魔物は倒せないよ」


「倒す必要はないよ、ベアードの頭上を山なりに通過するように『ウォーター』を使ってほしいんだ。そうすれば少しの間、目線は『ウォーター』に向かうからその隙に森まで逃げるんだ」


「う……うん、やってみる……『ウォーター』!」



 アオは魔力を込めるとベアードの頭上を山なりに『ウォーター』が通り過ぎ、そして地面に落ちて消えていった。



「何だ、この水の塊は!?」


「今だ、逃げるぞ!」



 ベアードが他所を向いているうちに森へと全力で走っていく。



「うぉぉ! やはり人間がいるではないか! 森だ、森に逃げているぞ!」



 ベアードは咆哮を上げ、街にいた他の魔物にも俺たちの存在を伝えている。ぞろぞろと他の魔物も街から出てきて俺たちを追いかけ始めた。






 ■






「はぁ……はぁ……逃げ切ったかな?」


「うん、もう追ってきていないみたいだよ」


「……逃げるためとはいえ、森の奥に入りすぎてしまったな」


「そうですわね、来た道を戻ろうにも魔物が見張っているかもしれませんし、安全を考えるなら別の道を探すしかありませんわ」



 そのとき、ガサガサっと音を立てながら草むらが揺れる。咄嗟に俺らは武器を出し、ユカリを守るように前に出る。



「おぉ人間か、どうした? 迷いでもしたのか?」



 草むらから現れたのは、冒険者のような恰好をした人間のようだ。



「ハク、これって……」


「……あぁ、街で冒険者が言っていたチュートリアルってやつかもしれない」


「どうした、こそこそ話して。俺は怪しくないぞ」


「あの、あなたは誰ですか?」


「俺はチュートリアル冒険者さ、長いから冒険者Aと呼んで構わないぞ!」


「冒険者Aは街であったんですけど……」


「何!? それじゃああんたら、いきなり街に行っちゃったんか! なら俺のことは冒険者A以外で呼んでくれ」


「じゃあチューさんで」


「良い名だな!」



 ガハハハッと笑って俺たちに名前を付けられて喜んでいるチュートリアルの冒険者のチューさん。



「来るのが遅いぞ……」


「「「「!?」」」」



 全身を隠すようにフードを被った者が俺らのすぐ横に立っていた。物音も立てないのはまだしも、声をかけられるまで俺ら4人が気が付かないなんて。



「いきなり魔王幹部からお出ましとは……」


「魔王幹部!?」


「どういうことなんですかチューさん!」


「ふふふ……」



 いきなり現れた魔王幹部、いったい俺たちはどうなるのだろうか?

街の外と中に通じる出入口から地上に出てアオとユカリに合流する。


その時にユカリを驚かせてしまって、悲鳴を聞いて魔物たちが辺りを探し始めた。


なんとか森まで走り魔物からの脅威から解放され、チュートリアル冒険者のチューさんと出会う。


そこに魔王幹部らしき者も現れてこれからいったいどうなることか。

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