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94話 アオたちとの遊び!③(邪箱)

「ハクもぬいぐるみ買えたみたいだね」


「……意外と高いんだな」


「僕たち3人の中で1番(ゴールド)を使っているのがハクくんなんて、来る前は思わなかったよ」



 脇に2つの袋を抱えているハクを見て、アオは楽しそうに話していた。



「あとはユカリだけだね、今どこにいるんだろう?」


「まだ服を見ているんじゃないかな? そっちに行ってみようよ」



 俺たちは服が置いてある所に向かい、ユカリを探す。



「ユカリ! どこにいるの」


「私はここにいますわ」



 声のする方向を見ると試着室のカーテンから顔だけ出したユカリがいた。



「そこにいたんだね」



 俺たちが試着室に近づくと、顔を赤くしたユカリが慌てて「まだ駄目ですわ!」と言って顔すら隠してしまった。俺たちはその場に立ち止まって待っていると。ユカリがカーテンを開けた。



「どうかしら?」



 出かけるときに来ていた服とは違った服装をしていた。


 服とスカートには淡い緑色のチェック柄が入っていて、ユカリの紫色の髪と合わさって綺麗に見えた。俺は「綺麗だね」と伝えた。


 これにはアオもハクも同意しているみたいでうんうんと首を縦に振っている。



「私もこの服を良いなと思っていましたので、これを買うことにしますわ!」



 ユカリはカーテンを閉め着替えなおすと、さっきまで来ていた服を抱えて店員の所まで持って行った。






「お待たせしましたわ、シンくんたちは何を買ったのかしら?」


「俺たちが買ったのはこれだよ」



 俺は袋を開けて中身を見せた。すると軽く悲鳴を上げたユカリが後ろに飛び距離を開ける。それを見て俺とアオは笑い、ハクは睨むような眼で俺を見ていた。



「ハクと同じ反応をするんだね。大丈夫だよ、これはぬいぐるみで本物の魔物じゃないから」



 袋からぬいぐるみを取り出し、撫でたりしても表情1つ変えずに動かないスライムのぬいぐるみを見て、ユカリはドキドキしながら近づいて来る。



「触っても、いいかしら?」


「良いよ」



 ユカリはつんつんと触って動かないことを確認してから、ぬいぐるみを撫で始めた。



「何ですの!? だんだん可愛く見えてきましたわ。私も欲しくなってきましたわ。いったいどこにあるのかしら?」



 どうやらユカリもぬいぐるみを買うことにするようだ。



「それは僕があとで案内するよ。実はもう1つ買いたいものがあるんだ」


「買いたいもの? ぬいぐるみだけじゃないの?」


「うん。せっかくみんなが休みなんだし、一緒に遊べるものも買わないとね。ついてきて」



 俺たちはアオに付いていく、途中でぬいぐるみが置いてある所を通ったことで、

 ユカリがそちらに向かいそうになるが、なんとかそれを抑えてアオの買い物を優先させる。






「ここだよ」


「おぉぉ! ボードゲームがこんなにたくさん、こんなのも売っているんだね」



 置いているボードゲームは魔物の見た目をした駒を使ったチェスに、サイコロを振ってマスを進んで行く双六など、色々なものが置いてあった。



「いっぱいあるんだね」


「凄いよね、これだけあればみんながやりたいって思えるボードゲームも見つかるはずだよ」



 俺たちがボードゲームを眺めていると店員から声をかけられた。



「もしよろしければ、数日前に買い取ったボードゲームをご覧になりますか?」


「え、良いんですか!」


「もちろんでございます、ささ、こちらへ」



 店員に連れられてテーブルの上に置いてくれた。


 不気味な模様が描かれている変な箱だ。



「これがそのボードゲームですか?」


「そうです、ただ魔力を流さないと動かないみたいで、私も魔力はありますが、冒険者でもない私の弱い魔力では開きもしないのです」


「……中身が分からないのになぜボードゲームと決めつけているんだ?」



 ハクから鋭い指摘を受けて店員は慌てて説明を始める。



「こちらは数日前にフードを被った人物から「買い取って欲しい」と言われたものでして、そのときに箱を開けてもらい中身を確認しました」


「……なるほど、その売りに来たやつは開けられるほどの魔力を持っていたというわけだな。そして、冒険者である俺らならこれを遊べると思って声をかけたと」


「でも店員さんはよく僕たちが冒険者ってわかったよね」


「それは俺とハクとアオが冒険者の格好をしているからじゃないか? 他のお客さんはユカリみたいな恰好で、俺たちみたいに武器を装備していないし」


「おっしゃる通りでございます。冒険者のお客様ならこれを遊ぶことができるのではないかと思いまして」


「なるほど、じゃあ早速開けてみますね」



 店員が中身を知っている理由や、俺たちに声をかけた理由が分かったので、俺は箱に魔力を流して開けてみる。


 すると箱の隙間から光が漏れ出し、箱が開いた。



「中身は駒とマスだけ?」


「上の箱の内側に宝玉みたいなのがあるよ。マスもそこに向かって伸びているみたい」


「駒とマスと宝玉だけ、これでどうやって遊ぶんだ? サイコロもないし進み方が分からない。店員さんは何か聞いてないの?」


「駒に魔力を流して、スタート地点に駒を置くとゲームが始まると説明されましたが、それ以上のことはさっぱりです」


「……よくそんな怪しい物を買い取ったな」


「でも、魔力を流して駒を置けばいいんでしょ。ちょっと試してみるよ」



 そうして俺は駒に魔力を流してスタート地点に駒を置くとピカーっと駒が輝いたと思ったら、急に駒に身体が引っ張られていく感覚が襲ってきた。



「うおぉ!? 何だこれ!?」


「シンくん!」



 辺りが真っ白で何も見えなくなったと思ったら、なぜか草原に移動していた。

ユカリは淡い緑色のチェック柄の服とスカートを買った。


フードを被った謎の人物? から買い取った不気味な模様が描かれた箱あけ、

駒に魔力を流しスタート地点に駒を置くと、いつの間にか草原に俺はいた。


いったい何が起こっているんだ?

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