表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/248

93話 アオたちとの遊び!②(玩具)

 俺たちは宿屋から外に出てアオについて行く。


 街の奥に進んで行くと、冒険者はほとんどいなくなって、この街に住む民間人の歩く姿が多くなった。周りにある建物も八百屋や民家ばかりになり、冒険者がよく使う武器屋や防具屋や宿屋などはあまり見かけなくなった。



「アオの行きたい所ってどこなの?」


「それは着いてからのお楽しみ。あ、見えてきたよ!」



 アオが指差すところを見ると、周りの建物に比べて大きく、壁の色も派手だった。



「ここがアオの行きたかった場所?」


「そうだよ、さあみんな中に入って」



 建物の扉を開けて中に入ると、外の壁と同じくカラフルな内装をしていた。そこには色鮮やかな服などが置かれていて、綺麗な服装をした人たちが、服を選んでいたりしていた。



「こんなに綺麗な服がたくさんありますわ! ちょっと見に行ってきますわ」



 ユカリはどこかへ行って、見えなくなってしまった。



「アオ、なにここ?」


「ここは服を売っているところだよ、僕が行きたいのはこの奥にあるところ」



 アオに付いて行き奥の方まで来ると、スライムが大量にそこにいた。



「……! 魔物だ」


「スライムがなんでこんなところに!?」



 ハクが発見して距離を取り、俺は剣に手をかけ抜こうとしたらアオに止められた。



「待って2人とも! これは魔物じゃないよ、ほら」



 アオがスライムを1体持ち上げてこちらに持ってくる、しかし、持ち上げられたスライムはピクリとも動かないし、他のスライムたちも動こうとしない。何故? と思っていると、正体が分かった。



「ぬいぐるみ?」


「かわいいでしょ、スライムのぬいぐるみ。本物のスライムは襲ってくるから怖いけど、ぬいぐるみのスライムは襲ってこないから全然怖くないよ。むしろ、顔だってこんなにかわいいし」



 アオはスライムの顔を見つめて、頬を赤く染めてにやにやとしている。少し離れた位置から俺とアオの話しを聞いていたハクも近づいてきて、本当にぬいぐるみか確認しているようだった。



「……触った感触がスライムと全く違う……確かにこれはぬいぐるみのようだな」


「そうそう、本物のスライムは柔らかいけど押し返されるような感触だけど、このスライムは中に綿が入っているから柔らかいけどそこまで強く押し返されないし、抱いていると暖かいんだよ」



 アオはスライムを胸の方で抱き、柔らかさと暖かさを堪能しているようだ。



「僕はこのスライム買ってくるから、シンくんたちもぬいぐるみたちを見てきなよ。じゃあまた後で」



 アオはスライムを抱えて店員の所まで行ってしまった。



「…………どうするか……シン」


「せっかく来たんだし、見て行こうよ」


「……そうだな」



 俺とハクは他のぬいぐるみを見ることにした。



「へぇー、さっきアオが買っていたスライムとは別の表情をしたものもあるのか。泣いている顔に笑った顔、怒った顔に寝ている顔もある。街の外じゃスライムを倒すことばかり考えちゃうから、表情まで見てなかったなぁ。かわいいから俺も1体買おうかな? ハクはどう?」


「…………俺は興味ないな」


「ハクはそんな感じだとおもったよ。あ、あっちに別の色のスライムもいるみたい」



 場所を変えると、そこには赤い色をしたスライムに灰色っぽいスライム、緑色のスライムに黄色いスライムと色違いのスライムがいた。


「こんなのもあるんだね、まだ見たことないけど、こんな色のスライムって本当にいるのかな? お! あそこにあるのもぬいぐるみなのかな?」


「…………これは!」



 そこにあったのは魔物のぬいぐるみではなく、魔法石のぬいぐるみだった。しかも、普段見かける魔法石とは違い、頭よりも大きい。



「まさか魔法石のぬいぐるみもあるなんて思わなかったよ」


「……俺も1つ買ってみるか」


「え!? ハク興味ないって言っていたのにどうしたの!?」


「……かわいいとかはどうでもいいが、こういうのだったら良いかなと思っただけだ」


「なるほど、ハクはこういうのなら好きなんだね。だったらアレも好きそうだな」


「……そんなものまであるのか!」



 俺が指差した所には、本のぬいぐるみが置いてあった。これも頭より大きく、枕みたいに使えそうだった。ハクは撫でたり指でつついたりして感触を確かめていた。



「……俺はこの本と魔法石のぬいぐるみを買うことにしよう」


「よっぽど気に入ったんだね」


「……あぁ、俺は買うつもりはなかったが、無性に欲しくなってな」


「それじゃあ俺もさっき見ていたスライムを買ってくるよ。先に行ってていいからね」



 俺はスライムが置いてある所に向かい、買うスライムの表情を決める。



「やっぱりこの表情が1番好きだな、よしこれにしよう!」



 俺が選んだのは、目は開いていて口角が上がっているけど口を閉じている、普通の表情のスライムを選んだ。


 草原で出会ったとき、だいたいこの顔だった気がするので、スライムを思い浮かべるとこの顔が出てくる。



「シンくんもそれにするの?」


「そうだね、これにしようと思っている。アオは無事に買えた?」


「うん、買ってきたよ。ほら、この袋に入っているんだ」



 袋を開けると、アオが買ってきたスライムと目が合った。



「かわいいね」


「これで僕の部屋も殺風景じゃなくなるよ」


「……シン、俺たちもそろそろ買いに行くぞ」


「今行く」


「えぇ!? ハクくんもぬいぐるみ買うの!」


「……悪いか?」


「いや、意外だったからビックリしちゃっただけだよ。魔法石と本にしたんだね、そこはハクくんらしいね」


「……そうだな」


「それじゃあ俺から先に買ってくるね」



 俺はハクとアオを置いて店員の所までぬいぐるみを持って行った。



「こちら500(ゴールド)になります」


「500っ! ぬいぐるみって高いんだな……」



 俺は500(ゴールド)を払い、スライムを袋に詰めてもらい買うことができた。俺が買っているところを後ろで見ていたハクも金額に驚いていて、額に汗を流していた。


 ハクが買い物をすると「……1000……だと……」と言う声が聞こえるのであった。

アオが案内してくれたところは、服やぬいぐるみなどが売っている店だった。


ユカリは服を見るなりどこかへ行ってしまい、その間に俺とアオとハクはぬいぐるみを買う。


俺とアオはスライムのぬいぐるみ、

ハクは頭より大きい魔法石と本のぬいぐるみを買った。


ユカリは店のどこにいるのだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ