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85話 ☆3『鉱石調達』⑧(木クラゲ)

 ザーっと音が聞こえてくる、それは奥に行くにつれてどんどん大きくなっていた。



「さっきから変な音が聞こえるけど、俺だけ?」


「俺にも聞こえるぞ、カイトも聞こえているだろ?」


「あぁ、これは水の流れる音だね。あの先に水があるのかもしれない」



 カイトの言った通り、進んだ先に水が流れているのが見えた。



「本当に水が流れているよ、でもこの水はどこから来ているんだ?」


「ここに来る前に橋を渡っただろ、あの先に川が流れている所があるから、そこから水が来ているんじゃないか?」



 ザイゲンさんがそう教えてくれた。



「お、広い所に出たぞ! 鉱石もいっぱいある」



 リクの言うように、鉱石がたくさん壁にあることが確認できた、しかしこの空間の半分が湖のように水で満たされていて、そちら側にある鉱石を取りに行くのは困難だろう。



「さっきの水はここに行きついていたのか……ん? あれは……」



 カイトが見つめる先には葉の無い木が生えていた。



「こんな所に木なんて生えるのか? 魔物だとしたらウッドォが化けている可能性あるけど、こんな所にいるかな?」


「あれはウッドォではないけど、魔物であることは確かだね……っ! 俺たちに反応して動き始めた」



 木だったものがどんどん形を変えて、クラゲみたいになった。



「やっぱりキクラゲだったか」


「ん、キクラゲ? あのコリコリとした触感の食べ物のこと?」


「違うよシン、キクラゲって言ったら木のクラゲの魔物のことだよ! 食べ物じゃないよ」


「そ……そうだよね。勘違いしていたみたい」


「みんな避けて!」



 その場から離れると、俺たちがいた所にキクラゲの触手が伸びて地面に刺さっていた。刺さっているときは硬そうだったのに、戻るときは柔らかくなってうねうね動いている。



「木なら……私の魔法で……」


「待って、キクラゲに火属性の攻撃は効果が薄いよ」



 魔法を使おうとしていたコカをカイトが止めた。



「キクラゲは木でできていて火属性が弱点に見えるけど、ほとんど水に濡れていて火属性はダメージを与えることが難しい。ここは俺に任せてくれ」


「カイトが1人でキクラゲと戦うの?」


「そうだよ、ちょうど水もあるみたいだし。安心してみていてよ」



 カイトは1人でキクラゲの前に行く。



「おい、止めなくていいのか」


「心配しなくても大丈夫だよ。カイトは水がある所だと強いから」






 ■






「よっ……と」



 キクラゲの触手突きをカイトは避けてどんどん俺たちから離れていく。触手で付けられた小さい穴がいくつもあった。これだけ攻撃されているのにカイトはまだ1回もキクラゲに攻撃をしていなかった。



「カイトは避けてばっかりじゃないか! やっぱり1人じゃ厳しいんだよ」


「よく見てみろ、カイトの狙っていることが分かる」


「カイトの狙っていること……あ! もしかして水に近づいて行っている?」



 そう、カイトは避けながら水のある所を目指していた。そしてカイトは水に手が触れられる距離まで近づくと反撃を始める。


 手を水の中へ入れスキルを叫びながらキクラゲに向かって水を飛ばした。



「『ウォーターカッター』!」



 たくさんの水の刃がキクラゲの伸びてきている触手を切っていく。しかし、切れたところからにゅるっと触手が生えてきた。


 カイトは短剣を水に付け「『ウォーターブレード』」と言うと、水から引き上げた短剣には、水が纏わり付いていて、大剣と同じくらい太くて長い見た目になっていた。



「はぁ!」



 カイトはその場でウォーターブレードを横に薙ぎ払おうとする。それを見ていたソラが「みんな伏せろ!」と叫んだ。


 俺たちが伏せた後、何かが頭上を通り過ぎ、後ろを見ると壁に横一線に小さく削られた痕ができていた。



「おいカイト! 俺たちにも当たるところだったぞ!」


「ごめんごめん、まさかそこまで届くと思ってなくて! でも今のでかなりダメージを与えたみたいだよ」



 キクラゲはカイトに攻撃しようとした途端、上下に身体が分かれてドサッと倒れる。でもここでやられないのがキクラゲの生命力の高さ。下にあった触手からは経験値が出てきていたが、上の頭の部分は動きが鈍いながらもぷかぷかと浮かんで、再生を始めようとしている。



「再生なんてさせないよ」



 カイトは再び短剣を水に付けて『ウォーターブレード』にして、片足を前に出しながら腰を落としてウォーターブレードを腰より後ろに構える。



「『インパクト』!」



 身体を前に倒しながら、ウォーターブレードを突き出した。


 短剣に纏わり付いた水は勢いよくキクラゲに向かって放たれる。キクラゲに当たっても水の勢いは止まらずドゴーン! と大きな音を立てて壁に当たった。


 壁は衝撃で円のような形の穴を作り、その近くに瓦礫が出来上がっていた。その瓦礫の隙間から経験値が出てきた。



「みんな終わったよ」



 カイトは手を振って俺らに勝ったことを伝える。



「す、凄い威力だったねザイゲン。私ビックリしたよ」


「あんなに強いとは思わなかった」



 イラミとザイゲンはカイトの強さに驚いているようだった。


 カイトがみんなの所に戻ってくると、ソラから背中をパンッと叩かれ「お疲れ」と言っていた。



「ソラそんなに強く叩かなくてもいいじゃないか……まだ怒っているのか?」


「ああ怒っているさ、普段あんなに威力高くないってことに。俺らに隠れて特訓していたな」


「特訓なんてしてないって、たまたま使った水が強かったんだよ。あの水には魔鉱が沈んでいるだろ? それで水の中に魔素が多く含まれていて、俺の『ウォーターブレード』の威力が上がっただけさ」


「なるほどな、そういうことか」



 カイトとソラが言い合っている所に、ピッケルを装備したリクが遠くから話しかける。



「おーい! 魔物もいなくなったことだし、鉱石集めようぜ」


「分かったすぐに行く。ほらカイト、俺らも行くぞ」


「そうだね」



 こうして俺たちはそれぞれ別の鉱石の前に立ちピッケルを構える。



「皆さん! ここにあるだけの鉱石を掘り出せば、クエストクリアできる量が集まるはずです! 頑張りましょうー!」


「「「おー!!!」」」



 こうして俺たちは鉱石を掘り始めるのであった。

洞窟の奥に進むと水が流れていた。それは拾い空間の所に流れ着いていて、半分ほど水が満たされていた。


その場所には鉱石がたくさんあったが、キクラゲという魔物がいてカイトが1人で戦闘を開始した。


カイトは魔素を含んだ水を使うことで、いつも以上に威力の高い攻撃をしてキクラゲに勝利する。


俺たちは無事にクエストクリアに必要な量の鉱石を集めるのであった。



魔物の紹介


・キクラゲ


木でできたクラゲだが、木には水分が多く含まれていて火属性攻撃が効きにくい。

攻撃方法は触手突きと薙ぎ払い。

突くときは木のような硬さで突き、元に戻すときはクラゲのようにうねうねとしている。



魔法の紹介


・『ウォーターカッター』


水の刃を放ち相手にぶつける。水がある所で使えば数を増やしたり、威力を上げたり、大きくできる。


・『ウォーターブレード』


剣に水を纏わせて水属性を付与する、水の中で使うことで更に強くなる。攻撃すると付与が弱くなる。



技の紹介


・『インパクト』


無属性の衝撃波を出す技。

カイトは『ウォーターブレード』で水属性を付与していたので、水属性の衝撃波となった。

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