表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/249

84話 ☆3『鉱石調達』⑦(笛)

「何とか勝てたみたいだな」



 ザイゲンがそう言うとアオは緊張が取れてその場で座り込んでしまった。近くにいたユカリがすぐにアオに駆け寄り、肩を貸して立ち上がらせる。



「アオくん大丈夫?」


「ユカリちゃんありがとう」


「……シンが来るまでアオ以外まともにダメージを与えられる人がいなかったからな、俺らより神経をすり減らしていたのだろう」



 ハクがそう言うと、ザイゲンたちがアオたちの前に来る。



「君たちには世話になった。本当は(ほし)3の俺たちが倒していないといけなかったのに、君たちに頼ることになってしまった。特にアオ、君は戦闘の補助がメインなのに戦わせてすまない。俺とイラミの攻撃ではアイアンタートルの硬い甲羅を突破することができなかった」


「いえいえ、僕しか戦えないって聞いて、失敗したらどうしようとか考えて怖かったですけど、それ以上に頼りにされていると思われて嬉しかったです」


「そうか……それは良かった」



 アオは笑顔でザイゲンやイラミを見つめた。



「ところでシンがなぜここにいるんだ? コカはどうした」


「そうだよシンくん! 何かあったの?」


「実は…………」






 俺はみんなに、リクたちが1度集まってどれくらい鉱石が集まったか確認しようと言っていることを伝えた。俺たちの所にもアイアンタートルが出て、コカが1人で倒したことも教えた。






「リクくんたちはもうかなり集めているのですわね」


「コカが1人で簡単にあの亀を倒したのか。やっぱり私たちには相性の悪い魔物だったんだ」


「それじゃあ私はアイアンタートルと鉱石を運びます」


 キャリーはアイアンタートルをロープで縛り背負った。そしてみんなの集めた鉱石袋を両手で持ち移動を始める。キャリーの歩く先を俺とハクが照らしながら進んで行くと、前の方に光が見え始めた。コカの『ライト』の光だ。


「おーい!」


「やっと来たか! 遅いぞ、シン!」



 リクの手を振るしぐさが見えた。



「わぁ……『ライト』ってこんなに明るいんだね!」


「……これだけ明るければ、毒矢を当てることができてもっと楽に魔物を倒せていたかもしれないな」



 俺たちはリクたちと合流することができた。



「あれ、こんなに鉱石袋はなかったような?」



 キャリーが集められた魔物や鉱石袋の数が多くなっていることに疑問を持っているようだ。



「ここに来る途中に一緒に運んだんだ、なかなか重たかったぞ」


「アイアンタートルは運ぶのが大変だったね」


「わわわぁ、無理をしなくてもサポーターの私が運びましたのに」


「じゃあここにあるやつを外に運んでくれ、運ぶのってかなり大変だったし」


「任せてください!」



 キャリーは追加で2つほど鉱石袋を掴み入り口まで歩き出した。まだまだ残っているが、もう手がふさがっていて持ちきれないので、2回に分けて運ぶみたいだ。


 俺たちは洞窟の入り口まで帰って来た。






 ■






「やっと洞窟の外だ! 明るくて太陽が眩しい」



 俺は額に手を置き、目に直接太陽の光が当たらないように影を作った。みんなも同じように眩しいからか目を細めている。


 しばらくするとキャリーは俺たちが集めた鉱石と倒した魔物を全て運び終えた。



「では今から重さを図る道具を持ってくるのでもう少し待っていてくださいね」



 キャリーはそう言って洞窟の外にあった小屋の中に入っていった、ガサガサっと小屋から音がすると、平らな四角の板のようなものを持ってきた。


 縦横の大きさはキャリーの肩から膝くらいまであって、厚みは10(センチ)ほどだった。



「これをここに置いて……っと。ふぅ……準備ができました!」


「キャリーちゃん、これは?」


「これは重さを図れる便利な板です! ここにものを乗せると重さが分かるんですよ。50g(グラム)刻みでしか分かりませんが、いっぱい運ぶので誤差みたいなものです!」



 体重計みたいな物かと俺は思った。キャリーは鉱石袋をそのまま板に乗せていく、すると板から『15750』という数字が浮かんできた。



「この数字が重さってことか」


「そうですよ。15750なので15.75(キロ)ですね、紙に重さを書いて……次行きます!」



 こうして次々乗せては重さを記録していき、全員の鉱石袋を調べ終わった。



「全部終わりました、合計で270(キロ)といったところですね」


「お! じゃあクエストクリアだな」


「待ってくださいリクさん! この重さは鉱石だけじゃなくて、鉱石の周りに付いている石の重さも含まれています。なので、実際は200(キロ)に届いていません」


「まだ足りないんだな、よしそれじゃあ追加で掘ってこないと!」


「そういうことになりますね……みなさん最後のひと頑張りお願いします!」


「「「おー!」」」



 こうして俺たちは再び鉱石を求め洞窟内に入っていくのだった。






 ■■






 俺たちは分かれ道の所まで来ていた。



「今度は誰と誰が組んで先に進むんだ?」



 リクがそう聞いてきた。



「そのことなんだけどさ、もうあと少しで鉱石の量もクリア条件に達成するし、みんなで同じ所に行っても良いと思うんだ」


「シンの言う通りにしてみよう。もう鉱石があるとしたら俺たちが引き返した場所より更に奥だろう、苦戦する魔物も出るだろうし、戦える人数は多い方が良い。どうだ?」


「私はそれで良いよ」


「私も……」


「僕はもちろんみんなに付いていくよ」


「私も付いていきますわ」


「……ここで俺だけ別行動なんてことはしないさ」



 俺の案にザイゲンが助け船を出してくれたおかげもあり、みんなで奥に進むことになった。そして、コカがアイアンタートルを倒した所まで辿り着いた。






「ここから先……まだ行ってない……」


「分かりました。みんな! ここから先は隊列を組むことにしましょう。まずコカさんは前を『ライト』で照らすために前列に、ザイゲンさんとリクはコカさんの前に出て、急な魔物との戦闘に備えて、後は離れすぎなければ自由にしてくれれば大丈夫。コカさんにザイゲンさんにリク、勝手だけどそれで良いですか?」


「良いよ……」


「良いと思うぞ、俺もそれに賛成だ」


「良いぜ! ガンガン奥に進もう!」



 俺たちは奥に進んで行った。途中で鉱石を見つけて掘って袋に詰めたらその場に置いていく。帰りに持ち替えるのでここに置いといてもいいという判断をした。


 こうして奥に行くたびに次々と鉱石と魔物が出てくる、幸いにも魔物はウルフと、この人数で相手にするには簡単すぎる相手だった。






「えい! えい! 『ウィンドショック』!」


「ガルッ!」


「明るいから戦いやすいですわ」



 ユカリの連続攻撃によってウルフは経験値となった。



「やるねぇ、それじゃあ俺の戦い方も見せないと」



 ソラは笛のような物を口に咥えると。そしてプー!という低い音をウルフに聴かせる。するとウルフは目をグラグラさせながら身体が左右に揺れていた。



「『ドン・ウィンド』!」



 ソラの魔法は切れ味を強めにしているみたいで、ウルフの首がスパッと切れ経験値となった。






「ソラって笛を使って戦うんだね」


「あぁ、この笛で身動きを止めてから魔法で攻撃が俺の得意な戦い方だ」



 ユカリとソラがウルフを倒してくれたおかげで、ここにある鉱石を袋に詰めることができた。キャリーの話しだと、クリア条件の200(キロ)までもう少し欲しいみたいだ。


 俺たちはどんどん奥へと鉱石を求めて進んで行く。

全員と合流して外に出て鉱石の重さを計る、

キャリーの計算によるとまだクエストクリアに必要な鉱石が足りないみたいだ。


俺たちは再び洞窟に入り鉱石を探し始める。

今度は全員で同じ所を探して、魔物と戦いやすくする。


ユカリとソラが魔物を倒して、俺たちは更に奥へと進んで行った。



魔法の紹介


・『ドン・ウィンド』


『ウィンド』より1段階強くなった風属性魔法。

ソラは魔法の使い方を工夫しているので攻撃範囲を狭くすることで切れ味に特化している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ