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83話 ☆3『鉱石調達』⑥(返る)

 俺はキャリーによって運ばれた鉱石と魔物が置かれている分かれ道の所までたどり着き、アオたちが進んで行った道に向かった。


 こちらの道も、アオたちが魔物を倒しているのか、1体とも出会わずに橋まで着いた。



「ここを進めばアオたちに会える」



 そう言って先に進もうとすると、ドコーンと何かがぶつかったような音が橋の向こう側から聞こえてきた。しかも1度だけじゃなく何度もその音が聞こえてくる。アオたちに何かあったのかもしれないと思い、俺は急いでアオたちの所へ向かう。


 奥へ進んで行くとランタンの光が手前に1つ、奥に5つ見える。近づくと手前でランタンを持っていたのはキャリーだと分かった。後の5つはアオ、ハク、ユカリ、ザイゲン、イラミの持つランタンだ。


 そしてこの場所から、ドコーンという音が聞こえてきているみたいだ。



「キャリー、この音はいったい?」


「あっ、シンさん。この音は今みなさんが戦っているアイアンタートルが壁にぶつかっている音です」


 アイアンタートルは頭と足を甲羅の中にしまい、回転しながら体当たりをしているようだ。

 ザイゲンたちがその攻撃を避けることで、アイアンタートルは壁にぶつかり、この衝撃音を出していた。






「やぁ!」



 イラミは槍で攻撃するが、ガキンッという音を立てるだけで、アイアンタートルにダメージを与えられない。



「くっ……硬くて攻撃が通らない、ザイゲンどうにかしてよ!」


「無茶を言うな、相手は鉄と同じ硬さだぞ。俺の拳がおかしくなる」


「うぅ……コカがいれば魔法で倒せるのに!」


「物理攻撃しかできない俺たちじゃどうしようもない、アオが攻撃できるようにサポートするんだ。ほら、次の甲羅アタックが来るぞ!」



 ザイゲンとイラミは左右に避けることで、甲羅アタックを避ける。アイアンタートルはまた壁にぶつかり一時的に停止する。そこにアオが魔法をぶつける。



「『ウォーター』!」


「クワッ!」


「だめだ、僕の魔法でも全然ダメージになってないよ」


「……俺の毒矢もあの甲羅の前じゃ意味がない、ランタンの光だけじゃ暗くて甲羅以外の肉質が柔らかい所を狙うことができない……」


「私もだめですわ、硬すぎて攻撃が通りません」


「クワァァッ!」



 ハクの毒はアイアンタートルの硬い甲羅に阻まれて毒を身体に仕込む事が出来ず、アオは初級魔法の『ウォーター』でダメージを与えているが、まだまだ倒すには時間がかかるようだ。


 俺はキャリーと一緒に離れた位置からみんなの戦いを見ていた。



(俺がこの戦いに参加してもアイアンタートルの攻撃を避けるだけしかできない、考えるんだ、この状況で有効的なダメージを与えられる方法を!)



 アオのスキルは『ウォーター』の水属性魔法と『アームド』などのバフ系魔法、槍を装備しているけど『ウォーター』を使った方がダメージが出る。


 ハクのスキルは『パラシス』の麻痺毒魔法と『ボイズ』の毒魔法がある、でもこの2つはダメージを与えることで毒が効き始める魔法なので、ダメージを与えられないアイアンタートルには効果が限りなく薄い。


 ユカリのスキルは『ウィンドショック』の風属性攻撃、これは物理攻撃になるのでダメージを与えるには不向きな技だ。


 ザイゲンさんとイラミさんは拳と槍を使って戦っているくらいしか分かってないけど、2人が魔法を使えるなら試しているはずなので、おそらく使える魔法は持っていない。


 俺が使えるスキルも『スマッシュ』と『パンプア』の2つだけ。



(……クソっ、何も良い方法が思いつかない。何か他にないのか!?)






 そこでふと俺にあることを思い出した。


 何故キャリーはギルドで、カバンの大きさに比べて入る量がおかしい不思議のカバンに

「いっぱい入るからって詰め込むと重くなっちゃうんですよね、私にとっては都合が良いです」と言ったのか。






「キャリーさんは何故鉱石や魔物をあんなに運べるくらい力が強いんですか?」


「え? 今それを聞くことですか!?」


「教えてください、アイアンタートルの戦いに役に立てるかもしれないので」


「は、はい。えっと、私はとあるパッシブスキルを持っていまして『ウェイトパワー』と言うんですけど、重くなればなるほど私の力が上がるというパッシブです。これのおかげで重いものを持っていても、いつもと変わらない重さに感じるくらい力が上がるのです」


「なるほど、だからあのとき重くなることが都合良いなんて言ったのか…………キャリーはその『ウェイトパワー』はどのくらいまで力が上がるの?」


「どのくらいかは分かりませんが、重すぎる物になると力が上がっても物を持ち上げられなくなることがありました」


「分かった、じゃあさ……あのアイアンタートルをひっくり返すことってできる?」



 鉄のように固い魔物だ、重さも相当あるだろう。キャリーは「ひっくり返すどころか、持ち上げることも出来ます!」と答えた。それを聞いて俺はみんなに指示を出した。



「ザイゲンさん! アイアンタートルを壁にぶつけて動きを止めてください!」


「! シン、いつからそこにいたんだ。動きを止めてどうするつもりだ?」


「キャリーがアイアンタートルをひっくり返すので、動けなくなったとことをハクの『ボイズ』で毒状態にさせます」


「……ひっくり返っている間に柔らかい部位に攻撃するってことだな」


「そういうこと、じゃあザイゲンさんよろしくお願いします!」


「分かったやってみよう。ほらこっちだ」



 ザイゲンはアイアンタートルを挑発して攻撃を誘っている、こちらの言葉は理解していないようだが、挑発されていることはなんとなく分かっているみたいなので怒っている。


 甲羅アタックをザイゲンに向けて勢いよくぶつけていく。それをギリギリのところで避けて壁にぶつかった。



「キャリー!」


「任せてください!」



 アイアンタートルに向かって走りだし、甲羅を下から上へ押し上げる。



「ふぐぐぐぅぅぅっ!」



 歯を食いしばり、両手を震わせながらも少しずつアイアンタートルが傾いていく。



「クワッ、クワッ!」



 足をバタつかせて抵抗しているが半身は空中にバタバタさせているだけで、キャリーの行動を止めることはできなかった。



「せーのっ! それ!」



 ゴロンと音を立てて、アイアンタートルはひっくり返った。すぐに起き上がろうと首を伸ばして地面を触り、押すように自分の身体を起こそうとしている。


 その伸ばした首にハクのナイフが何度も切り傷を入れる。魔法の『ボイズ』でナイフに毒を付与したことにより、毒にかかったであろう。



「クワァァァ!」



 アイアンタートルは近づいてきたハクに噛みつき攻撃をする、しかしバックステップで軽やかに避けた。ダメージはそこまで入っていないが、傷口から毒によって有利に戦闘が進むだろう。


 ここまでくれば、毒で動けなくなるまでひたすら逃げを選択する。たびたびハクの毒攻撃をして毒が弱くならないように気を使いながら戦い、アイアンタートルは経験値となって俺らの身体に入って来た。

アオたちを呼びに行くはずが、アオたちもアイアンタートルと戦っていた。

しかも魔法攻撃は『ウォーター』を使えるアオのみで、他は物理メインだったこともあり、

戦うのは大変だった。


俺は作戦を考えキャリーがこの戦いにおいて使えるパッシブを持っていることをしる。

それを利用してアイアンタートルをひっくり返して、ハクの毒で弱らせていって倒した。



新パッシブ


・『ウェイトパワー』

重くなればなるほど力が上がる。荷物持ちのサポーターとしてこのパッシブが使えるのは優秀。

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