82話 ☆3『鉱石調達』⑤(鉄亀)
「何だその光は!」
コカの『ライト』で明るくなっていることにリクは驚いているようだ。俺は慣れていたから忘れていたけど、他のみんなはランタンの明かりを頼りに鉱石を集めているんだった。
「これはコカさんの『ライト』って魔法だよ。見ての通り明るくて助かっている」
「こんな明るい状態でシンたちは鉱石集めていたのか! でもシンはどうしてこっちに来たんだ? もう1人はいるみたいだけど、シンたちは4人で採掘していたんだろ?」
「そのことなんだけど、俺たちの行った先が梯子を使わないと上り下りできない所があって、鉱石を運ぶのが厳しいと判断したから俺とコカさんがリクたちの所に来たんだ」
「残りの2人はアオたちの所ってことだね」
「なるほどな」
リクの疑問に対してカイトがザイゲンたちのことを言わなくても何処へ向かったかを察してくれたおかげで、説明する手間が省けた。
「俺たちの所に来たのは良いが、ここにはそんなに鉱石ないよ。これを見てみな」
ソラは鉱石の入った袋を持ってきて俺の前に置いた。袋を開くと半分以上も空きがあり、まだまだ詰められそうだ。
「まだ掘っている途中だが、この場所にある鉱石を集めても足りないだろう。もっと奥に行く必要がある、そこにシンたちの分まで鉱石あるか分からない」
「そのときはアオたちの方まで行って集めてくるよ」
ソラと話しているとリクたちが掘るのを再開したのか、カンカンと音が聞こえてくる。
「俺たちはしばらくここで掘っているから、シンたちは奥に行って鉱石を見つけて来てくれ」
「分かった! じゃあ行きましょう。コカさん」
「うん……」
俺とコカはリクたちを置いて奥に進むことになった。
■
「亀のような生き物がいるみたいですね、魔物かもしれないから鉱石があるのに取りにいけない」
『ライト』で照らされているにも関わらず、魔物はこちらに来ようとしない。好戦的な魔物ではないのだろうか?
「アイアンタートル……鉄みたいに固い……」
アイアンタートルという名前の魔物らしい、確かに甲羅は黒光りしていて堅そうだ。大きさは全長1Mくらいだろう
「鉄みたいに固いなら、攻撃してもダメージが入らないですよね」
「うん……剣の攻撃は効きにくい……でも魔法なら効きやすい……」
「そうか魔法か! じゃあ俺の『スマッシュ』で……」
「待って……『スマッシュ』だと弱い……私に任せて……」
コカは両手を前に出し炎を作り出す。炎はどんどん勢いを増し膨らんでいくが、コカが魔力を高めると、どんどん小さくなっていく。
「これは圧縮!?」
「うん……アイアンタートルは……まだ戦う気がない……威力を上げる時間がある……」
こんな状態なのにアイアンタートルは呑気に鉱石を食べていて、こっちを見てすらいない。
「『ガル・ドン・ファイア』」
コカよりも大きかった炎の球は肩幅くらいの大きさの炎の球まで圧縮され、アイアンタートルに放たれる。ここでやっと自分の状況に気が付いたアイアンタートルが逃げようとするが、逃げ足が遅く当たってしまう。
アイアンタートルに当たったことで、炎の球は激しく燃え上がり火柱を立たせ、熱風がこちらまで届いた。
「クワッッッ!…………」
火柱の中で悶えるアイアンタートルは、何とか抜け出しやっと俺たちを敵と認識して戦闘態勢になる。その身体は熱で赤くなっていた。
「はぁ……はぁ……息が、苦しい。まるでサウナのようだ」
『ガル・ドン・ファイア』の影響か、周りの温度が上昇して息を吸うたびに熱い空気が入ってくる。
「しまった……洞窟内は……火属性魔法……危険だった……でも今がチャンス……」
熱さに苦しみながらも、コカは次の攻撃を始める。
「『ドン・ストーン』」
空中に石柱を作りアイアンタートルに突き刺さる。赤くなった甲羅は柔らかくなっているのか『ドン・ストーン』の攻撃で甲羅に歪みを作ることに成功。
「クワッ! クワッ! クワッッッ!」
アイアンタートルが異常な暴れ方をしている、前足後ろ足を激しく動かし、壁に突撃していったりとおかしな行動をするようになった。
「『ドン・ストーン』」
コカはそんなに暴れるアイアンタートルに石柱を当てていく。アイアンタートルは力尽き、経験値を出した。
「ふぅ……勝てた……」
「コカさん凄い!」
「うん……ありがと……」
コカは口角を少し上げ、俺に笑顔らしいもので答えてくれた。
「おーい大丈夫か!?」
遠くからリクの声が聞こえてくる。カイトやソラも一緒に来ていて、俺たちを見つけると駆け寄ってくれた。
「凄い音が聞こえて掘るの中断して来ちゃったよ。魔物でも出たのか?」
「アイアンタートルと戦闘していて」
「あの倒れている魔物か!」
リクはアイアンタートルのそばに近づき、それを追いかけるカイト。
「アイアンタートルの甲羅は鉄とほとんど同じだから、魔物だけどこれも鉱石として持っていけそうだね」
「マジか! じゃあ早速運ぼうぜ……って熱っ!」
アイアンタートルをリクが持つと、ジューという音が聞こえ、リクは手を放してしまった。
「何だこいつめちゃくちゃ熱いぞ!」
「それ……火属性魔法……使ったから……」
「だからこんなに熱いのか、でもこれじゃあしばらく運べないけどどうするんだ?」
「取る人いないから心配ないだろ? 魔物も後ろから来なければ俺らを越えていかなきゃここまで来れない。後でサポーターが運んでくれるだろうよ」
ソラはそう言ってリクを納得させていく。
「このアイアンタートルを持って帰れば、結構な重さの鉱石になるだろうし、今ある鉱石とサポーターに運んでもらった俺たちの鉱石を合わせたら、なかなかの重さになると思う。他の人たちがどのくらい鉱石を集めているか分からないけど、そろそろみんな集まってもいいころなんじゃないか?」
ソラの言っていることに俺も賛成だ。
「ってことで誰かに呼んできてもらいたいんだが、シン、頼めるか?」
「良いけど、ソラたちはどうするの?」
「俺たちはもう少し奥を探して引き返すよ。どうせ橋渡らなきゃいけないくらい遠いんだ、結構時間かかるだろ?」
「それもそうだね、コカさんは俺と来ますか?」
「私は……ここに残る……」
「分かりました」
俺はリクたちと別れてアオたちの所に向かうことになった。
「それじゃあシン、アオたち呼んできてね! 分かれ道の所で待っているから!」
リクはそう言って俺の姿が見えなくなるまで手を振ってくれた。俺からは『ライト』でリクたちがハッキリ見えていたが曲がり角で見えなくなった。
さて、アオたちの所に向かうぞ!
リクたちが鉱石を集めている間に奥に行き鉱石を探す、その途中でアイアンタートルと戦闘になり、
肺に熱い空気が入るくらいのダメージを受ける程度で勝利。
鉱石も集まって来ただろうということで、
みんなを集合させるためにシンはアオたちの所に1人で向かうことになった。
魔物紹介
・アイアンタートル
色は黒光している。大きさは個体により変わるが、今回出会ったのは全長1Mの個体だった。
鉱石を主食にしていて、甲羅に栄養を蓄え鉄に変える。
甲羅が固いため、剣のような武器ではなかなかダメージが通らないが、魔法攻撃や斧などの打撃は効く
攻撃方法は噛みつきと甲羅アタック。
魔法紹介
・『ガル・ドン・ファイア』
『ファイア』より2段階強くなった火属性魔法




