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78話 ☆3『鉱石調達』①(多人)

「鉱石調達クエスト?」



 ザイゲンが指差すクエストにはそう書かれていた。



「そうだ、これだけの人数が集まるなんて珍しいから、このクエストをやってみないか?」


「こんなに大勢でクエストなんてやったら、報酬が少なくなりませんか?」



 ザイゲンさんたち3人、アオたち3人、リクたち3人、そして俺を含めると10人もいる、この人数じゃ、みんなバラバラに分かれて別のクエストをやった方が報酬はうまいはずだ。



「クエスト内容を見ればわかる」


「これは……」


「これなら大丈夫か?」



 俺たちはクエストの内容を近くで見てみると、このクエストならこれだけ大人数で受けても大丈夫と思える内容だった。



「どうせ他の冒険者は、これやるのを後回しにしているだろうから、俺らで稼げるだけ稼ごう」


「そうよ! 私たちが最初にやるんだから、ごろごろ鉱石あるはず」



 ザイゲンさんもイラミさんも、このクエストを受ける気になっていた。



「はぁ……ごめんねみんな、みんなだってやりたいクエストあったはずなのに」


「気にすんなって」


「俺はあんな人を見下す態度を素でやる人は嫌いだし、お断りしたいね」


「ソラの言っていることには俺も同意するよ。でも、シンくんの顔に免じて今回は多めに見ようか」



 リクは参加してくれるようだし、ソラやカイト不満がありつつも来てくれるようだ。



「僕は参加するよ!」


「シンくんとのクエスト楽しみですわ」


「……俺たちがやるメリットが大きいな、参加するぞ」



 アオもユカリもハクも来てくれるみたいだ。



「決まりだな」



 ザイゲンさんはクエストの紙を持ってハンナさんの所に向かった。



「このクエストを頼む」


「このクエストですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)3『鉱石調達』


 クリア条件:指定されたg(グラム)数以上を調達


 報酬金:1500(ゴールド) 1500GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)2から(ほし)3冒険者5人以上


 ~依頼内容~


 洞窟にある銅鉱石や鉄鉱石などを調達。


 調達した鉱石のg(グラム)数によって、追加で報酬あり。


 ――


「今回の参加人数ですと、合計200(キロ)以上の調達をお願いしたいのですが、このような内容でクエストを受けますか?」



 あまりの量に驚いたのか、みんな何を言われたのか分からなくなっていた。数秒の沈黙の後、最初に声を出したのがリクだった。



「200っ!? そんなに集めるのか」


「10人でやるから1人20(キロ)ってところだね」



 俺がすぐに1人が調達する平均の量を教えてあげた。



「20(キロ)か……それだったらできそうだな。俺たちは良いが、君たちはそれで大丈夫か?」


「もちろん」


「私も大丈夫ですわ」


「よし、ではこのクエストを受けるとする」


「分かりました、それではクエストを受注します。調達に同行するサポーターを連れてきますので、少々お待ちください」



 ハンナさんは受付から離れ、ギルドから出て行ってしまった。



「サポーターって何?」


「サポーターっていうのは、俺たち冒険者の代わりに、道具や食料を持ってくれたり、討伐した魔物や調達した素材を運んでくれたりと、冒険者がクエストを進行しやすいようにしてくれる職業のことだよ」

「そんなのもあるんだね。でもそれってギルド職員がやるようなことなんじゃ?」


「……ギルド職員でも良いが、サポーターは冒険者に寄り添った対応をしてくれるのが良い所だ」



 カイトやハクが説明してくれたことで、サポーターというのが何なのか大体分かってきた。



「お待たせしました、今回のクエストに参加するサポーターを連れてきました」


「今日はよろしくお願いします! サポーターのキャリーですっ……あっ、リクさんカイトさんソラさん!」


「キャリーは食堂の店員だけじゃなくてサポーターもやっていたのか!」



 見たことある顔だと思ったら、リクの言葉を聞いて思い出した。リクたちと大きな食堂で宴会をしたときに、料理を運んできてくれた店員さんだと。


 店員をやっていた時と違い、今の見た目は動きやすい服装に大きめのカバンを持っている。



「お知り合いの方でしたか、仲が良すぎてクエストを疎かにしないでくださいね。街の入り口に、みなさんが使える馬車を用意しましたので、それを利用して目的地に向かってください。サポーターの方は調達に使う道具や袋を支給しますので受け取ってください」



 そうハンナさんに言われ、キャリーはギルドから人数分のピッケルと鉱石を詰める袋やランタンを持っていたカバンに入れていた。



「カバンの大きさと入っていくものの量が合ってない気がするんだけど……気のせいかな?」


「不思議に思いますよね、これが私の不思議なカバンです。見た目の割には中が広がっていて、いっぱい物を入れることができます! でも、いっぱい入るからって詰め込むと重くなっちゃうんですよね、私にとっては都合が良いです」



 キャリーが俺にカバンの説明をしながら、荷物を全部入れ終えた。



「ではリクさんたち、クエストに行きましょう!」



 こうして俺たちはキャリーに連れられてクエストに出発した。






 ■






「あれが私たちの使う馬車のようですね」



 馬が2匹もいて、馬車も他に比べて大きかった。キャリーが馬車の見張りをしている人から馬車を受け取ると、俺たちを呼んで、馬車に乗るように言ってきた。



「全員乗りましたね、では洞窟に向かって出発します!」



 キャリーは馬を動かすこともできるみたいで、2匹の馬を操り、馬車を進ませていく。






「今更だが自己紹介がまだだったな、俺はザイゲン。こっちの赤いのがイラミで、黒いのがコカだ」


「赤いのって略しすぎでしょ! 私がイラミだよ、よろしく」


「コカ…………よろしく」



 コカという女性は、無口というよりあまり考えて行動していないだけのような印象だ。


 ザイゲンたちの自己紹介が終わると、リクやアオたちの自己紹介が始まった。


 リクたちがザイゲンたちよりも先に(ほし)3冒険者になっていることを知り、リクたちに『守ってやる』と言ったことは失言だったと謝っていた。


 ソラもカイトも、謝ってくれたからこれ以上は何も言わないということにしたみたいだ。


 そうやって雑談を色々していると馬車が止まる。



「着きましたよ、ここが目的地です!」



 馬車から出ると、目の前には洞窟の入り口があり、近くには馬小屋と人間用の小屋があるだけだ。



「それではリクさんたちに道具を配りますね」



 キャリーは、ピッケルに鉱石用袋にランタンを俺たちに配った。



「私は鉱石を外に運ぶのと、連絡係を担当するので、リクさんたちは鉱石を掘って袋に詰めるのと、洞窟内にいる魔物を倒しちゃってください。倒した魔物も私が運んでおきます。ランタンはボタンを押すことで中に入っている魔法石が反応して光らせてくれます、消したいときはもう1度ボタンを押してください。では行きましょう!」



 俺たちはランタンに光を灯して洞窟に入っていった。

ザイゲン、イラミ、コカ、

リク、カイト、ソラ、

アオ、ハク、ユカリ、

そして俺とキャリーの合計11人で鉱石調達クエストに行くことになった。


キャリーが食堂の店員だけじゃなくてサポーターという仕事もしていた。


俺たちはこの暗い洞窟で、200(キロ)以上鉱石を頑張って調達する。






・サポーター


サポーターとは、冒険者の代わりに、道具や食料を持ってくれたり、

討伐した魔物や調達した素材を運んでくれたりする存在である。


雇えばどのクエストにも付いてきてくれるので、ギルド職員よりは融通が利く。

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