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73話 ☆2『アルンの洞窟へ運搬』③(魔物部屋)

―4階―






「ふん!」


「ス……ラ……」


「ナーゲさん! 新たなスライムが!」


「スラ!」



 ここ階までくると、最初からいるスライムと戦っている間に、魔素が集まって新たなスライムが生まれる。ナーゲさんは、生まれたばかりのスライムを魔力の刃を飛ばして一瞬で倒してしまう。



「この階から通路でも魔素が集まるのか……」


「一気に出てこられるよりマシさ、行くぞ少年」



 少し歩くと、分かれ道が出てきた。



「右と左、どちらが正解でしょうか?」


「俺の記憶が正しければ、どっちの道も行きつく先は同じだったはずだ。ただ、選ぶ道によって難易度が変わる。どっちの道を選ぼうと俺は余裕で突破できるがな。ってことで少年、お前が行く道決めて良いぞ」


「え? 俺が決める!?」


「少年の感で楽な方に導いてくれよ」



 そんなことを言われても、ヒントになりそうなものはどこにもない。左右の分かれ道を交互に見比べてみたり、臭いを嗅いでみたりとしてみるが、どちらの道にも違いがあるとは思えなかった。



「おーい、まだかー」


「ん…………じゃあ、左で」



 ナーゲさんに急かされ、もう適当に行く道を決めることにした。



「よし、左だな。実は俺も左だと思っていた」


「うぅ……簡単な難易度の道でありますように……」



 そう祈りながら先に進んだ。






「ゴブッ!」「ゴブッ!」「ゴブッ!」



 目の前には3体のゴブリンがいた。



「俺たちは難易度の高い、当たりを引いたみたいだな」


「あぁ! ごめんなさい!」



 難易度が高いことに笑っているナーゲさんに俺はとにかく謝った。ナーゲさんほどの強さの人なら、ちょっとでも経験値の多い魔物の方が当たりでも、俺からしたら、強い魔物と戦わされる選択をしてしまったので外れだ。



「「「ゴブッ!」」」



 ゴブリンが飛び上がりながら攻撃しようとしてくる。



「ふんふんふん!」


「「「ゴッ……」」」



 ゴブリンたちは、空中で頭に魔力の刃を受け、地面に倒れこむなり消えていった。



「俺がパーティー組んで戦った時は、倒すのにもっと時間かかったのに、それを一瞬で!」


「だから言っただろ? 余裕で突破できるって」



 ナーゲさんは余裕の笑みを浮かべ先に進んでいく。俺はゴブリンの魔石を拾って先に進むと、壁が広くなってくる。この階のゴールが近くなってきたようだ。広い部屋に近づくと、横に別の道が見えた。おそらくこの道が、さっき俺が選ばなかった方の道だろう。


 俺たちが広い部屋に到着すると魔素が集まり始める。



「グルゥ……」


「っ! 狼!?」


「この階からウルフが出るのか」



 生まれてきた魔物はウルフというらしく、灰色の体毛で赤い目の狼みたいな魔物。牙や爪などが鋭く、攻撃されたら痛そうだ。



「ガウッ!」



 ウルフが吠えるといきなり走り出して俺の目の前まで近づいていた。口を大きく開け俺に噛みつこうとしている。あまりの速さに、俺の身体は付いていかず、ただ茫然と立ち尽くすだけだった。



「ふん!」


「ガッ……」



 俺を攻撃しようとしていたウルフが横に飛ばされる。飛ばされたウルフを見てみると、こめかみに穴が開いていた。ウルフは舌を出し、ビクビクと身体を震わせながら消えていった。


 俺は緊張が解け、足の力が抜けて尻もちをついてしまう。そんな俺にナーゲさんが手を差し伸べてくれた。



「立てるか? 少年」



 ナーゲさんの手を掴み、引っ張ってもらうことで立ち上がる。



「初めて見る魔物だったのでビックリして足の力が抜けてしまいました」


「少年はウルフを戦うのは初めてか。夜の森や草原に出現する魔物だし、その時間に街の外に行かなきゃ合わない魔物だから、知らないのも当然か」



 ナーゲさんに魔物の詳細を教えてもらった。ウルフは夜に活動する魔物だから俺が見たことなかったのか……夜のクエストを受けるときに戦うことになりそうだ。



「それじゃあそろそろ次の階に行くぞ。次の階はここより危険だから覚悟しときな」



 そう言って壁を消して5階に降りる。






―5階―






 この階に着た瞬間分かった、今までの階と違うと。


 通路はなく、1つの部屋となっていた。『6』と書かれた壁は遠くの方に見えている、そこに向かって部屋に真ん中まで来た時に魔素が集まり始めた。



「スラ!」「ゴブッ!」「スラ!」「グルゥ……」



 目の前にはスライム5体、ゴブリン3体、ウルフ2体の合計10体の魔物が現れた。






「ま……魔物があんなにたくさん!?」


「モンスターハウスってやつだな」



 大量の魔物を見て身体が震えている俺とは違い、ナーゲさんは今まで見てきた中で1番笑顔になっていた。



「少年、俺のそばから離れるなよ。これだけの魔物の数だ、俺から離れたら助けに行けないからな!」


「はい! 絶対離れません!」



 俺はナーゲさんの後ろに移動した。



「ガウッ!」



 ウルフが吠えると、魔物たちは一斉に動き出す



「はぁぁ!」


「ガッ……」「グッ……」



 まず2体のウルフがナーゲさんに襲い掛かるが、魔力の刃で額に穴を開けられ早々に倒される。


 次に襲ってきたのはスライムたちだ。



「ふん!」


「「ス……ラ……」」



 離れた位置にいる2体のスライムは魔力の刃を飛ばされ倒される。残りの3体のスライムは体当たりで攻撃をしてきた。



「「「スラ!」」」


「ふんふんふん!」


「「「ス……ラ……」」」



 体当たりをしてきたスライムには投げナイフを使わずに、そのまま切りつけて倒していった。半分に身体が分かれたスライムがボトボトっと音を立てて地面に転がっていく。



「ゴブッ!」



 ウルフやスライムの戦いを見てゴブリンたちは、標的をナーゲさんから俺に変更してきた。


 ナーゲさんに近づかないように回り込みながら俺を狙っている。しかし、ナーゲさんにはそんな小細工は通用しなかった。



「その距離は、俺の得意な距離だぜ」


「ゴッ……」



 離れていたゴブリンに魔力の刃を飛ばして次々倒していく、気が付けば、あれだけ多くいた魔物は全ていなくなって魔石だけが大量に落ちていた。






「……凄い! こんなにたくさんの魔石が」



 この階の魔石を拾うだけで、魔石を入れている袋の大きさが、倍くらいの大きさになった。



「ほら、次行くぞ。まだ10階まで半分しか着ていないこと忘れていないか?」


「あ、そうだった……これで半分…………」



 もう俺1人じゃ突破もできないどころか、死んでいるほど敵の数が出てきているのに、まだ半分。



「5階と10階は他の階に比べて難しくなっているだけらしいから大丈夫さ」


「10階はこれ以上にヤバいのか…………はぁ……」



 俺はため息をつきながらナーゲさんと6階へ向かった。

4階からは分かれ道が出てきて、外れの道を選ぶと難易度が高くなったりした。


5階はモンスターハウスで、スライムにゴブリンにウルフと、たくさんの魔物が現れ襲われた。そんな相手にもナーゲさんは怯むことなく、僕を守って魔物を倒してくれた。


まだ10階までは半分。


魔物紹介


・ウルフ


灰色の体毛で赤い目の狼みたいな魔物。牙や爪などが鋭く、攻撃されたらダメージは大きいと思われる。動きは速い。


夜行性なのか、夜の森や草原に出現する。群れで行動していることが多く、1体見たら他にもいると思った方がいい。

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