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67話 『パンプア』鍛錬!(自他)

「攻撃力を上げる魔法は『パンプア』って魔法でいいかな?」



 この『パンプア』は、力が上がり重たいものを軽々持てるようになる。と書かれていて、その効果が攻撃力を上げることにも繋がるようだ。


 魔物との戦いだけじゃなく、日常でも役に立ちそうな魔法である。


 自分だけじゃなく、他人にも使える魔法なのを確認して鍛錬を始める。



「初級魔法とはいえ星属性の魔法だから、完全詠唱が無属性魔法の『スマッシュ』よりも長くなっている……まずはちゃんと発音するところから始めなきゃね」



 魔法書を開きながら、書かれている詠唱を読んでいく。



「我が魔力を星に……流星が如く……天を切り開く……大いなる魔素を集い、不純なる魔を我に、我に適応し糧となる…………あれ? これってもしかして、後半部分の詠唱は『スマッシュ』と同じ?」



 そう気が付いてから、無属性の『スマッシュ』の詠唱を調べてみると、やはり後半の詠唱は同じだった。たまたま一致しただけかもしれないので、他の属性の詠唱も調べてみると、どの属性も後半の詠唱は同じだった。



「そうか、どの魔法も属性が違うだけで、発動までの過程は同じだから、詠唱も同じなのか! これなら、早く覚えられそうだ」



 今度は途中で止めずに最後まで詠唱してみる。



「我が魔力を星に……流星が如く……天を切り開く……大いなる魔素を集い、不純なる魔を我に、我に適応し糧となる…………ナンタ……ライダ……リカル……アイド・ケブン・バイタ……『パンプア』!」



 魔力を込めずに詠唱だけをしたので、もちろん魔法は発動しない。


 そのあと繰り返し詠唱していることで、言葉に詰まらずに詠唱できるようになったが、魔法書を閉じていると、詠唱を1つ飛ばしたり、唱える順番が逆になったりなどしていた。






 ■






 夕方になり、窓から入ってくる光はオレンジ色で部屋を照らす。詠唱を覚えるだけでかなり時間を使ってしまった。



「次は、魔力を込めながら詠唱をしてみる」



 魔法書を『パンプア』のページが開かれた状態にして床に置く。



「……ふぅ…………いくぞ! 我が魔力を星に……」



 俺の身体にある無属性の魔力は星属性へと変換されていく。



「流星が如く……」



 星属性へと変換された魔力が流れを作り動き出す。



「天を切り開く……」



 動き出した魔力は、俺の頭上でモアモアとしている。



「大いなる魔素を集い、不純なる魔を我に、我に適応し糧となる」



 自然にある魔素が、俺の身体に入っていき、俺の魔力に変換されていく。その魔力を星属性に変換させ、頭上にある星属性の魔力は膨れ上がっていく。



「ナンタ……ライダ……リカル……アイド・ケブン・バイタ」



 完全詠唱をすることで、さっきよりも大きな星属性魔力が出来上がった、後はこれを発動するだけだ。



「『パンプア』!」



 魔法名を唱えた瞬間、頭上にあった魔力は消えていった。



「…………力が強くなった気がしないけど、成功したのか?」



 手の平を握りしめたり開いたりしても、いつもと変わらない感じがした。試しに布団を持ち上げてみるが、いつも感じている重さと変わらない。


 こうなると魔法が失敗したと考え、魔法書の『パンプア』のページをもう一度見直してみた。



「あっ……これじゃあさっきの魔法は効果ないわけだ」



 魔法名を唱えれば力が強くなると思いきや、誰に向かって『パンプア』を使うか決めておらず、魔力に指向性を与えていなかったため、魔力は空中で分解されてしまったようだ。



「俺は誰もいないところに『パンプア』を使ったから効果がなかったのか、よしもう一度だ。我が魔力を星に…………うっ」



 詠唱しながら魔力を込めると眩暈がして身体が揺れる。



「そうだった、今日はゴブリンと戦った時に『スマッシュ』を使っていたから、魔力が減っていたのを忘れていたよ……外も暗くなってきているし、今日はこのくらいにして、明日から鍛錬するか」



『パンプア』鍛錬をしている間に、窓からは星が見えるようになっていた。


「じゃあ久しぶりに夜ご飯でも食べようかな」



 俺はギルドの食堂に向かうことにした。夜のこの街は明るく、街灯のおかげで脇道以外は照らされていた。この時間帯を歩くのは初めてだが、昼と同じくらい冒険者の数や馬車の数が多かった。



「以外に人が多いんだな」



 周りをキョロキョロ見ながらギルドに向かう。ギルドの中に入ると昼に比べて人の数が多くなっていた。また、お酒の匂いもしていて、食堂は厳つい冒険者たちがお酒を飲んで騒いでいた。



「お昼と全然雰囲気が違う……」



 冒険者もギルド職員も見たことない人たちでいっぱいだった。いつも俺が持ってくるクエストの受注をしてくれるハンナさんの姿も見当たらない、別のギルド職員が冒険者のクエストを受注していた。


 俺は食堂に向かい料理を注文する、メニュー表は、朝や昼と違ってお酒も含まれていた。俺がお酒を頼むわけもなく、いつもの安い料理を選んだ。


 運ばれてきた料理が変わっていないことに安心して食べていると、ギルド職員がほとんど何も貼られていない掲示板にクエストを貼り付けているのが目についた。



「こんな時間にも新しいクエスト貼るんだなぁ」



 そう思っていると、お酒を飲んでいた冒険者たちも掲示板の方に集まり、クエストを取っていく者もいれば、ため息をついて帰っていく者もいた。


 少し眺めてから食事を再開する。完食して掲示板の方を見るとクエストはほとんど無くなっていた。



「たったこれだけの時間でああなっちゃうんだね……夜は競争率が高いみたいだな……ふぁぁ」



 食べて満足したのかあくびが出る、食器を片付けて自分の部屋に帰っていった。



「明日に備えてちゃんと寝なきゃね」



 俺は布団に入り眠りについた。






 午後は『パンプア』というバフ系の魔法の鍛錬をした。まだまだ、使えるようにはなっていないけど、発動まではスムーズにできたので、すぐに習得できそうだった。


 今日はみんなと再会したり、ゴブリンと戦ったり、宴会したり、新たな魔法の鍛錬をしたりと、長い1日であった。

魔法の紹介


・『パンプア』

力を上げる魔法。自分にも他者にもかけることができる

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