表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/248

39話 3回目の実戦訓練!(悪寒)

 今日は、俺とアオとハクの3人でスライムを倒す実戦訓練だ。

 俺たちは朝の鍛錬を終えた後、昼食を済ませて街の外まで出ていて、今はスライムを探しながら草原を歩いている。


「まさか模擬戦終わった次の日に実戦訓練があるなんて……しかも今回は3人で戦うのか……」


「シンくんも怖いよね、僕も怖いよ。でも、ハクくんがいるからなんとかしてくれると思う。僕も後ろで支援するよ!」


「……前線には俺が出るが、2人を守れるほど強くは無いぞ」


 魔物がいる街の外なのに話ながら進んでいた。


「それにしても今日は暑いなぁ」


 お昼の暑い時間帯とはいえ、今までで一番熱く感じている。


「僕たちが入学したのが春で、もうそろそろ3か月になるから夏が近いのかもね」


 アオがそんなことを教えてくれた。


「そっかぁ。もうそんなに学校にいたのか」


 俺はみんなと過ごした時間を思い出しながら、うんうんと首を縦に振っていた。






「…………! いたぞ、スライムだ」


 ハクの言葉に俺とアオは身構える。ハクの視線の先にスライムがいた。俺はその周りを見渡すと別のスライムが1体見えた。


「ハク、目の前にいるスライムの右奥にもう1体スライムがいる。どうする?」


「……さすがに2体同時は厳しい、それに俺たちが倒すのは1体でいい。スライムが1体になるまで待とう」


「分かった。アオもそれでいいよね?」


「うん、それでいいよ」


 俺たちは屈んで様子を見る。しばらく待ってもスライムは減るどころか、別のスライムも合流して3体になっていた。


「これだけスライムが集まると1体だけになるのを待つより、引いて別のスライムを探した方がいいかも」


 俺は2人にそう提案する。2人とも俺の話に乗ってくれた。スライムたちを刺激しないように、静かにこの場から離れた。






 スライムが見えない位置まで離れることに成功して、俺は「はぁ」と大きく息を吐いた。さっきまでの緊張なのか、それとも外の暑さなのか分からないが、額から汗が出ていた。


「2体いるときに戦わなくて良かったぁ」


「……俺だけしかまともに戦えるやつがいないことが幸いだったな。もしユカリが一緒だったら戦っていたかもしれない……」


「そうだね、もし戦っていたら僕とシンくんとハクくんが、スライムと1対1で戦うことになっていたと思う。そうなっていたらハクくんは大丈夫でも、僕とシンくんは危なかった……」


 俺たちは逃げて正解だったと自分たちの行動をよしと考え、さっきとは別の場所に移動してスライムを探し始めた。


 スライムを見つけても2体や、多いときには4体いることもあった。どんどん先に行き、しばらく歩くと森との距離も近くなっていた。


「さすがに森も近くなってきたし、スライム以外の魔物が出ても困るから、進むのは止めて戻ろう」


 俺が森に背を向け、来た道を戻ろうとする。


「……そうだな……! あそこにスライムがいるぞ。しかも1体だ」


「周りにも他のスライムはいないみたいだよ」


 ハクが1匹で行動しているスライムを見つけた。アオも周りを確認して他のスライムがいないことを報告する。


「……アオ、俺に魔法を頼む」


「分かった『アームド』! シンくんも『アームド』! そして僕にも『アームド』!」


 アオが魔法を使うと何かに包まれたようになった。


「アオ、これはなに?」


「それは防御力を上げる魔法だよ。自分の身体を触ってみて」


「これは!?」


 アオに言われた通りに自分の身体を触ると、服を多く着込んでいるみたいな感覚が手に伝わってくる。


(これは模擬戦トーナメントでも感じたことのある感触だ! ということはあのときにはもうアオはこの魔法を使えていたのか)


 俺はそんなことを思い出していた。


「魔法だから重さは無いよ。だから動きに影響は出ないはず」


「本当だ!」


 腕を振ったりしてみるが全く重さを感じなかった。


「……準備はできたようだな。俺は矢で攻撃する、その後にシンとアオは魔法で攻撃してくれ。あとは各自の判断に任せる」


「「分かった!」」


 俺は完全詠唱をして『スマッシュ』を作る、これでいつでも攻撃できる。ハクも矢を持ち魔法を唱える。


「……『パラシス』」


 矢に麻痺毒魔法が付与される。そしてスライムに狙いを定めて放った。その間に俺は『スマッシュ』の圧縮を始める。


「スラ!」


 スライムに矢が当たった。それを見て俺とアオが魔法を唱える。


「『スマッシュ』!」


「『ウォータ』!」


 圧縮して威力の上がった魔力の塊と、水の塊がスライムを襲う。


「スラ!?」


 アオの魔法が当たった衝撃でスライムが飛ばされ、ゴロゴロと転がっていく。俺の魔法は変な方向に飛んで行った。


 すぐにハクが矢を放つ、スライムに当たるがあまりダメージにが入っていない。俺は魔法を当てるために、矢の射線上に入らないように回り込みながらスライムに近づく。


 俺が移動している間も、ハクは矢を放ち、アオは魔法で攻撃をしている。


 ある程度スライムに近くなったので完全詠唱をして魔法を作る。そして圧縮して『スマッシュ』を使った。


「スラ!」


 今度はスライムの頬にかすった。かすっただけだがスライムの身体には傷ができた。


 スライムが俺の方に向かって体当たりをしてくる。俺は腕を使ってガードする。


「うっ!」


 体当たりの衝撃が来るが、思ったよりも痛みは少なく、その痛みもすぐに引いていった。


(アオの魔法のおかげでスライムの攻撃にも加護が耐えられた!)


 すぐにナイフに装備を持ち替えたハクが援護に来る。スライムを何度かナイフで切り、俺の前に立った。


「……シン、大丈夫か」


「あぁ、アオの魔法のおかげで痛みは無いよ」


 ハクの攻撃に怯んだのかスライムが森の方に逃げ始める。


「スラ……」


「逃がすか!」


 麻痺毒が効いてきたのか、スライムは逃げる速度が遅く、簡単に追いつけた。


 俺は剣で攻撃をしてスライムに攻撃するが、剣での攻撃ではスライムにダメージを与えられなかった。その間にもスライムは森に近づいていく。


「剣じゃまだ無理か! だったら魔法で」


 俺は完全詠唱をして圧縮。アオは魔法を使って攻撃をして、ハクも弓矢に持ち替え攻撃をする。


「『スマッシュ』!」


 圧縮された魔法が当たったが、その衝撃でスライムは森に近づいてしまった。


(あと少しで森に入られて逃げられる!)


 俺は急いでスライムの前に移動しようとしたら、スライムが動きを止めた。

 俺の身体にも寒気が走った。


 スライムは森を見つめている、俺もそこに視線をやる。






「グルルゥゥ……」






 そこには赤く目を光らせた魔物がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ