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33話 模擬戦トーナメント!⑥(慣れ)

 模擬戦の3回戦が終わり、みんな校内に帰っていく。俺とアオ、ハクとユカリはその場に残っていた。


「……俺は向こうで鍛錬をするが、シンたちは鍛錬やるのか?」


「俺はもちろんやるよ! アオはどうする?」


「僕は休もうかな……負けが続いて不安になって、鍛錬に実が入ってなかったし……」


 アオは両手で頭を抱えて、ため息をついていた。


「私はもちろん鍛錬をしますわ! 負けても悔いが残らないようにしたいですもの。私はあっちで鍛錬してきますわ」


 ユカリはそう言って俺たちから離れていった。


「じゃあ僕は先に帰るね、みんな頑張って」


 アオは校内に帰っていった。ハクも自分の鍛錬をするためここから離れて、残っているのは俺だけになった。




 ■




「さて、模擬戦中にやってきた鍛錬はほとんど役に立ってないし、なにを鍛錬するか……」


 今までやってきたことを思い出す。魔法を試合前から準備すること、

 ガードした後に武器以外での攻撃手段として蹴りをすること、

 ガードだと相手の力に負けて防戦一方になるから斜めにガードすることによって受け流すこと。


「魔法は良いとしても、ガードに関しては相手が剣を使っていることを想定してるだけだしな……」


 相手が剣を使っているなんて都合の良いことは、中々起こらないと分かっていた。だから他にできることは無いか考える、今思いつくことは武器を変えたイメージの相手を作ること。俺が今までやってきた鍛錬を、剣以外を装備した相手に通用するか試してみることにした。


(この模擬戦で使われた武器は、斧・槍・弓・棒・ナイフ)


 まずは斧を装備した相手をイメージする。


 当たればダメージは大きいが、攻撃は遅い。そして剣でのガードは無理で、受け流すことも難しそうな武器だ。


 相手が斧を振りかぶって攻撃してくる。縦振りは横に移動することで避けることができる。斜め前に避ければ相手の背後も取れる。


 次は横振りをしてくる。これをしゃがむことで避け、剣で切り上げる。


「リクに横振りをやられたときにしゃがんで避けられることを知っていたのが大きいね。斧はとにかく避けること優先だな。次は槍……」




 イメージの相手は槍に武器を変える。


 リーチが長くて、突き攻撃は速い。縦振りや横振りは剣でのガードは可能だが、突きなどの攻撃はガードが難しい。突きをされたときは槍の横を叩けば受け流せそうだ。


 相手が槍で振りかぶって攻撃してくる。縦振りの攻撃には剣でガードする、そのまま足に力を込めて相手を蹴る。今回は蹴ってもイメージの相手はその場で耐えていた。模擬戦で試したときに相手が思うように飛ばなかったので、それがイメージに反映されている。


 一旦離れて落ち着く。もう一度振りかぶって攻撃してもらう。今度は剣を斜めに構えて受け流す体勢になる。槍は斜めに逸れて地面に攻撃が当たった。その隙に間合いを詰めて剣で切る。


 受け流しを試したので、次は突いて攻撃してもらう。俺は後ろに下がりながら剣で槍の横を叩く。槍は剣で叩かれて、なにも無いところを突き、その隙に前に出て剣で切る。


「槍はガードしたら攻撃、受け流したら攻撃とすぐに反撃をした方が良さそうだな。次は弓……」




 イメージの相手は弓に武器を変える。


 遠距離から攻撃できるし、攻撃の速さもある。剣でのガードは難しく、受け流しは通用しない。放たれた矢を叩き落とす人もいるが、俺にはできないので避けることを考える。


 相手が矢を放ってくる前に俺は移動をして狙いをつけさせないようにする。矢を放ってきても、移動をしているのでなかなか当たらない。移動する方向を変え、速度を上げ下げすることにより、もっと狙いづらくしながら近づいていった。


 近くに来るほど矢を見てから避けることが難しくなっていく。矢が避けられるギリギリまで近づいて矢を使い切ることが起こるのを待っていた。


 持っていた矢が無くなり相手は攻撃手段が無いので一気に近づいて剣で切る。


「はぁ……はぁ……ずっと動くから疲れるな。でも今の俺にはこの方法しか弓を攻略できない」


 矢を避けるために普段の鍛錬ではしないような動きを連続でしていたので、いつもより疲れるのが早かった。顔は汗まみれになり服の袖で汗を拭く。


 体力をかなり消耗したので座って休憩をする。肩で息を吸うほど呼吸が乱れていたので、呼吸が落ち着くまで目を閉じる。




 10分ほど休んで落ち着いてきたので、目を開け立ち上がる。次は棒を使ってくる相手の立ち回りを考える。


 イメージの相手は棒を装備して構える。


 槍と見た目はあまり変わらないが、槍よりも軽くて短いので攻撃が速い。攻撃範囲は広くはないけど、持つ位置によって少し範囲が広くなったり狭くなったりする。


 剣でのガードは可能だが、手数が多いので捌き切るのは難しいだろう。受け流しても、すぐに体勢を直して攻撃をしてきそうである。


 相手が棒を振りかぶって攻撃してくる。縦振りの攻撃には剣でガードするが、剣にガードされた後すぐに棒を引き、横振りをしてくる。これには対応できずに当たってしまう。イメージが相手なのでダメージは無い。


「……もし模擬戦だったら負けてるな……続けてみよう」


 もう一度振りかぶって攻撃してもらう、縦振りの攻撃を剣でガードする、俺は横振りをされる前に近づいて体当たりをする。相手は横振りをするために棒を引いているので、体当たりすることができた。


 体当たりしたことにより相手の体勢が崩れたので、剣で切る。


「ガードはこんな感じで大丈夫かな?」


 実際はこんなに上手くいくことはないだろうと分かっているけど、今はこれでよしとして、今度は受け流しを試してみる。


 振りかぶって攻撃をしてもらい、斜めに構えた剣で棒を逸らす。しかし、棒は地面に当たるギリギリで止まる。これは、槍と違って重心が真ん中にあるからだと考えられる。


 そして、棒を引き、横振りをされて攻撃が当たってしまう。


「まだまだ俺は棒に詳しくないみたいだな。棒はこのくらいにして次にいくか」




 イメージの相手はナイフに装備を変える。


 攻撃範囲はかなり狭いが、かなり速く攻撃してくるだろう。これだけ小さいとガードするのも難しい、受け流すことも厳しいだろう。


 今までやってきたように、まずは振りかぶって攻撃してもらう。それをガードするが、やはり武器が小さいことでガードが上手くできなくて身体に当たってしまった。


(ガードはほぼ無理、なら避けることを優先する)


 もう一度振りかぶって攻撃してもらう。それを横に移動して避けるが、すぐに横振りをされて簡単に当てられてしまった。また縦振りをしてもらう。今度は後ろに移動することで完全に避けることができた。


 攻撃範囲に入らなければ攻撃に当たらないので、こちらは剣の攻撃範囲を利用して攻めていくが、近づきすぎるとナイフにあっさり切られてしまう。


 体当たりも試すが、体勢が崩すことができても、ナイフを振ることを止めることはできなかった。


「ナイフもどうやって攻略すればいいか思いつかないな……」




 今日の自由鍛錬では模擬戦で見た武器を一通りイメージで戦ってみた。

 相手が斧と槍の武器で来たら、ある程度動けるようになった。

 弓も少しだけ動けるようになった。

 棒とナイフは、どう戦えば良いかは今の俺には分からなかった。

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