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242話 ☆2『めぐすり草調達』①(お酒)

 朝になりベッドから出てイスに座り、窓から入る光に体を晒しながら『サーチ』の鍛錬を数回試す。まだ省略詠唱はできないようだが、昨日よりも安定して魔法が使えているようになっているみたいだ。


 これ以上やると、クエストに支障が出るので『サーチ』の鍛錬は切り上げ装備を整えて部屋を出る。外に出ると昨日の雨が嘘のように快晴で気分が良い。


 食堂で食事を済ませた俺はギルドに向かって、今日やるクエストを探していく。



「今日はどのクエストをやろうかな? 討伐系は数枚だけ残っているけど、どれも俺には難しそうなものばかりだな」



 じっくり考えて選びたいが、後ろを見ると他の冒険者たちが掲示板を見ているようなので、邪魔にならない位置に移動する。すると掲示板を見ていた冒険者のうち2人が掲示板の近くまで来て、クエストを見ていた。


 その2人の男は少し前までお酒を飲んでいたのか、お酒の匂いがする。


 口髭を生やした茶髪のボサボサとした髪型のタレ目の男は、顔が火照っていて赤く足取りがふらついている。その隣にいる黒髪で七三分けのツリ目の男は、軽く顔を火照らせているがしっかり立っている。



「あーダメだ、やりたいクエストがねぇ。俺は今日休むことにする。お前も休みにして飲みにでも行かないか?」


「お前昨日も同じこと言って休んで飲んでいただろう」



 茶髪の男が黒髪の男を飲みに誘うが、黒髪の男は相手を見ようとはしないで、掲示板でクエストを選んでいる。



「昨日は仕方ないだろう、大雨でクエストが無かったんだからな」


「だとしても2日連続も飲んでいられるほど(ゴールド)に余裕はねぇよ」


「宿に泊まっているから(ゴールド)に余裕がねぇんだよ」


「俺はお前みたいに馬小屋で寝泊まりはしないの!」


「はぁ……なんで酒はGP(ギルドポイント)じゃなくて(ゴールド)で払わなきゃいけないんだろうな、酒の肴は頼めても肝心の酒が飲めねぇよ」



 男は悲しそうな顔をすると、掲示板から離れて壁に寄りかかりながら、座り込むのだった。その姿を呆れてみていたもう片方の男は、クエストを1つ選ぶと、座り込んだ男の所へ向かい、肩を貸しながら受付に連れて行くのだった。


 俺もクエストを1つ選んで、受付に持っていく。






「ハンナさんおはようございます。このクエスト受けたいのですけど良いですか?」


「シンさんおはようございます! このクエストですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)2『めぐすり草調達』


 クリア条件:めぐすり草を10つ納品


 報酬金:300(ゴールド) 900GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)2から(ほし)3冒険者1人


 ~依頼内容~


 森の暗い所に生えているめぐすり草を10つ採取して、ギルドまで納品。


 ――


「このような内容ですが、クエストを受けますか?」


「はい、受けます」


「それではクエストを受注します。クエスト頑張ってくださいね」


「頑張ります!」



 俺はすぐにギルドを出て、森に向かうためにアルンから出発するのだった。






 ■






 森に向かっている最中の草原で、先ほど掲示板の所にいたお酒の匂いがする2人の冒険者を見かけた。


 どうやら茶髪の方の男は体調が悪いらしく、四つん這いの体勢で草に頭を突っ込み、その茶髪の男の背中を黒髪の男が摩っていた。



「アル、大丈夫か?」


「コールには……これが大丈夫に見えるのか? うぇ……」



 茶髪の人が苦しそうに見えたので、俺も声をかけてみることにした。



「あの、大丈夫ですか?」


「心配してくれてありがとう、でもこいつが体調悪いのは自業自得なので」


「俺たち友達なのにそんな冷てぇ態度はねーだろぉ! うっ……うっ……」



 黒髪の男に適当に扱われた事で、茶髪の男は今にも泣きそうな雰囲気になっていた。



「君はここから離れた方が良い、こいつが君にまとわりついてクエストの邪魔をしてしまうだろう」


「そんなことしないって、なあお前もそう思うだろう?」


「えっと、その……」



 急に話を振られて困っていると、黒髪の男が茶髪の男に『ウォーター』を使い、頭から水を被らせる。



「酔いは醒めたか?」


「なにすんだよぉ!」


「『コールド』」


「うぎゃぁぁぁ! 冷たいぃ!」



 黒髪の男の手から冷気が出ると、茶髪の男を冷やしていく。茶髪の男は水をかけられていたので相当冷えるみたいだ。



「……じゃあ俺は先に行きますね」


「その方がお互いのためだろう」


「待ってくれ! コールを止めてから行ってくれ!」


「だまれ」


「うわぁぁぁ!」



 俺は2人のやり取りを苦笑いをしながら見ると、振り向かずに森へ向かうのだった。






 森に入る前に、今回採取するめぐすり草の詳細を確認するためにクエストの紙を読む。



「えっと、めぐすり草は暗い場所に生えていて、青紫色の花びらが特徴。主に木の根の下にある影ができやすく、光が少しだけ差し込む場所に咲きやすい」



 俺はクエストの紙を袋に入れ、これからの方針を決める。



「なるほど、めぐすり草はここら辺にあるような木じゃなくて、もっと奥の方にある大きな木がある所で探した方が良いってことだね。そうと分かれば出発だ!」



 俺は森の奥にあるはずのめぐすり草を目指して進むのだった。

クエストを選んでいると、お酒の匂いがする2人の冒険者も掲示板の前に立ってクエストを探す。


茶髪の男は「休む」と言っていたが、黒髪の男はクエストを選んで受注するのだった。


俺は『めぐすり草調達』のクエストを受注して森に向かうのだった、その途中で茶髪の男と黒髪の男がいた。


茶髪の男は体調が悪いのか四つん這いの体勢で草に頭を突っ込んでいた。


俺はその2人に声をかけたが、茶髪の男が絡んできて邪魔をするから離れた方が良いと黒髪の男から忠告を受けた。


俺は2人を置いて森に向かい、めぐすり草の詳細を確認してから森の奥に向かうのだった。



魔法の紹介


・『コールド』


冷気を出す氷属性魔法で水属性魔法の派生。冷たい風で対象者を冷やす。水と組み合わせることでより冷たくできる。



新キャラ紹介


・アル


口髭を生やした茶髪のボサボサとした髪型のタレ目の男。お酒が大好きで、豪快に飲むのが特徴。


お酒を多く飲むために、宿に泊まることなく馬小屋で寝泊まりしている。



・コール


黒髪で七三分けのツリ目の男。お酒は嗜む程度で、静かに飲むのが特徴。


水属性魔法が得意で、その派生の氷属性まで使える。



アイテムの紹介


・『めぐすり草』


青紫色の花びらが特徴。主に木の根の下にある影ができやすく、光が少しだけ差し込む場所に咲きやすい。


『暗視ポーション』の素材として使われる。

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