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230話 2回目の☆2『ウッドォ討伐』③(横取り)

 先を行くギルド職員を追いかけるが、さっきまで背中が見えていたはずなのに急にいなくなってしまった。周りを見渡してもどこにもいない。森の中は隠れる場所はたくさんあるので、俺の視界から外れた時に隠れたのだろう。


 意識をギルド職員から、魔物を探すことに聞き替えると、少し先の方で怪しい木を見つける。



「あれはウッドォかな」



 身を屈めてしっかりと確認をする。周りの木と違って、あの木には葉が生えていない。ウッドォで間違いないだろう。


 ウッドォは俺が近づくまで動きを見せるつもりはないようなので、今のうちに『パンプア』で力を上げていく。



「『パンプア』! よし、これで準備は整った。あとは一気に倒すだけ…………はぁぁぁ!」


「アァッ!」



 一気に駆け出した俺の接近に気が付いたウッドォは枝を伸ばして攻撃してくる。俺はそれを左へ右へと交互に避けて、ウッドォの懐まで潜り込むことができた。


 ウッドォは伸ばした枝の先端を俺の背中に突き刺そうとしてくるが、ここまで近づくことができれば、俺の攻撃の方が早くウッドォに届く。


 走った勢いのまま剣をウッドォに突き刺し、上に向かって剣を振る。ウッドォの体は割れて、後ろから迫る枝の攻撃は止まった。



「ア……アァ……」



 ウッドォの体からは生命力が無くなり、静かにその場を倒れ込む。そして、経験値を吐き出すのだった。俺がウッドォ倒したら、草むらから背の低いギルド職員が姿を現した。



「おお、綺麗に攻撃しましたね。これなら十分に討伐数として入れられますよ」



 ギルド職員は俺の倒したウッドォを回収していく。



「それじゃあ私はこれで失礼します」



 ギルド職員が立ち去ろうと、木の陰で姿が見えなくなったと思ったら、後ろ歩きをして戻って来た。



「ウッドォはあそことあそこに2体ずついますよ」


「え!?」



 ギルド職員はウッドォのいる場所を俺に教えると、この場から離れるのだった。


 ここから見てもウッドォかどうか分からないので、俺はギルド職員が教えてくれた場所を見に行くと、確かに他の木とは違いがありウッドォだと分かる。


 どうやってあの距離から見つけたのかは分からないが、『パンプア』の効果が切れる前に、ここにいるウッドォたちを倒していく。



「はぁ!」


「アァ……」



 1体のウッドォはあっさり倒せたが、近くにいたウッドォはそれを見ていたようで俺に襲い掛かる。



「アァッ!」



 俺の背後から噛み付いて来ようとしたので、前に転がって回避する。体勢を直してウッドォの方に体を向けると、細くした枝をある程度伸ばし、それを鞭のようにしならせて攻撃をしてくる。


 枝を鞭として使うのには射程を短くする必要があるようで、近づかなければ当たることはなさそうだ。


 俺はウッドォから目を離さないように、ウッドォの姿を視界に入れながら後ろに飛び距離を取る。


 上から振り下ろされた枝は、空気を裂くような音が聞こえ、枝が地面に当たるとパンッと音が鳴り枝は折れる。地面も今の衝撃で抉れているので威力は高いようだが、俺との距離がありすぎて空振りに終わる。


 そして折れた所から新しい枝を生やして、ブンブンと振るのだった。



「あの鞭の嵐を突破しながら剣で攻撃するのは厳しいぞ」



 鞭を振り回すウッドォはいつまで待っても攻撃を止めないので、俺は痺れを切らして攻撃を始める。



「『ファイア』!」


「アァッアァ!」



 火の球を飛ばしてウッドォを燃やす。このウッドォも討伐対象に入れてもらえなくなったが、これで攻撃を止めたので倒すことができる。


 俺は走り出し、剣を横に振ってウッドォの体を上下に分けて倒した。火は体全体に燃え広がり、ウッドォは全身黒焦げとなって経験値を吐き出す。


 俺はすぐにギルド職員が教えてくれた、別の所にいるウッドォの所へ向かった。今の戦闘で、もしかしたら気が付かれて逃げられたり、戦闘態勢になっているかもしれないからだ。


 だが、距離が離れていたこともあり、向かった先にいるウッドォたちは、逃げることも戦闘態勢に入ることもしていなかった。



「よし、このまま……おっと、『パンプア』の効果が切れたか。かけ直さないと……『パンプア』!」



 俺は身を屈めて物音を立てないようにゆっくりと、ウッドォに近付いて行く。


 目の前のウッドォに集中していた俺は、足元にあった枝に気が付かずに踏んでしまい、パキッという音を鳴らしてしまう。



「っ!」



 俺は焦ったが、ウッドォはピクリとも動かない。枝を踏んでしまった音に気が付かなかったのか、それとも気が付いたうえで動かないのか。


 どちらか分からないが、しばらくは大人しくして様子を見る。すると、ウッドォは動き出して、枝を俺の所に伸ばしてくる。


 俺はゆっくり後ろに下がると、ウッドォの枝は、俺がさっき踏んで音を鳴らした場所まで伸びていた。そこから左右に枝を伸ばして辺りを調べると、何もいないことを確認して、伸ばした枝を戻していった。



「俺のいる所を警戒しているようだな。だったら別の所を警戒させてやるよ」



 俺は手の平に『ウォーター』を作り、ウッドォの頭上を越えるように飛ばした。そして地面に落ちて音が鳴ると、ウッドォは音の鳴る方へ体の正面を向ける。


 この隙に俺は、足音を立てないように走りながらウッドォの背後を取り、剣で切りつけるのだった。ウッドォは悲鳴を上げる暇すらなく経験値を吐き出す。だが、もう1体のウッドォには気が付かれたようで、戦闘態勢に入られてしまった。


 そのウッドォが、枝を鞭のように変え始めたので、ウッドォの姿が完全に見えなくなるまでこの場から離れようとすると、どこからか『ファイア』が飛んできて、俺が狙っていたウッドォが倒されてしまった。


 経験値は森の奥の方へ向かって行くと、ゴブリンと戦っていた2人組みの冒険者の片方に入って行った。



「ああすまん、こいつお前の獲物だったか。目の前にいたからつい倒しちまった」


「いえ、気にしてないですよ」


「おいおい横取りには気を付けろよ」



 ウッドォを倒してしまった冒険者は申し訳なさそうな顔を見せ、仲間の冒険者に小突かれながらこの場を離れるのだった。



「ここまでの戦闘だけで3体は討伐した扱いになるのかな? あと2体を見つけてクエストクリアするぞ!」



 俺はそう言って、森の奥に進むのだった。

ギルド職員を追いかけていると急にいなくなった。辺りを探していると怪しい木を発見する。それはウッドォだったので、『パンプア』で力を上げて、一撃で倒すのだった。


その後ギルド職員が現れてウッドォを回収すると、別れ際に他のウッドォの場所を教えてもらった。


そのウッドォたちと戦っていると、最後の1体を他の冒険者に横取りされてしまった。


俺が討伐した扱いになるウッドォは3体で、あと2体を討伐する必要があり、俺は森の奥に進むのだった。

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