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23話 魔法鍛錬!⑨(1人)

 今日も『スマッシュ』を的に当てるために鍛錬をする。的を狙いつつ、魔法から意識を外さないようにしていた。


「だんだん狙ったところに近づいていますね、シンくんの魔力は空になったので今日の鍛錬は終わりにします」

「……ランド先生、魔物との実戦はまたやるんですよね? そのときに俺の『スマッシュ』は使い物になりますか?」

「……使い物にならないでしょう。でも、これはシンくんだけのことではありません。他の人にも言えることです。まだまだみなさんは1人で魔物を倒せないですから」


 最後にニコッと口角を上げてランド先生は帰っていった。


 


 次の日は『スマッシュ』の的当てを1人でしていた。ランド先生は今朝から用事があって3日は帰ってこないらしい。ランド先生がやっていたことは他の先生が代わりにやってくれているが、魔法鍛錬は個人でやっていたため代わりの先生はいなかった。


「しばらくランド先生はいないから自分で確認しながらやらなきゃな。まず的に向かって手を突き出す、次に『スマッシュ』の完全詠唱をする、詠唱中に狙いがブレないように意識しつつ魔法の意識も忘れない……よし!」


 確認が終わった俺は今日1回目の『スマッシュ』を使った。狙いも悪くなく魔法にも意識したつもりだったが的には当たらない。しかし、的の手前で落ちた。


 今度は魔法に意識を集中してやってみる。2回目に放たれた『スマッシュ』は的を通り過ぎ壁に当たる。当たった壁の部分を見ると、的と高さはあまり変わっていなかった。横にズレただけで縦のズレは大丈夫なようだ。


 次は、魔法の発動直前に狙いを意識してやってみる。魔法から意識を離し過ぎて空高く飛んでいった。そのまま落ちることなく空中で魔法は消えた。


「はぁ……はぁ……今日もダメか、魔力は余っているけど魔法を使えるほどではないな」


 魔力が足りなくなったので今日は帰ることにした、そして次の日……




 やることの確認をして鍛錬を始める。今日は瞑想で魔力を落ちつけてから魔法を使ってみた。魔力の流れも安定して魔法を使うことができた。そして魔法は的に当たった。


「おっしゃぁ!」


 俺は握りこぶしを作り、はしゃいでいた。まぐれで当たっていないか確かめるため、もう一度同じように瞑想をしてから魔法を使う。そしてまた的に当たった。


「まぐれじゃなさそうだな!」


 瞑想した後なら当てられることが分かったので、昨日のように瞑想しないで魔法を使う。そうすると魔法は的の端に少し触れた。


「一応当たったな、でもこれはギリギリっぽいな……また明日やるか……」


 使える魔力も無くなり、次の日が来ることを寝て待つ。




 朝になり天気は良かった。他の先生にランド先生がいつ帰ってくるか聞くと、ここに帰ってくるのは夕方か明日の明け方になることを教えてもらった。他の先生が代理でお昼の授業をやることも今日で最後だろう。俺は1人で訓練所に向かった。


「今日のうちにちゃんと『スマッシュ』を当てたいな」


 俺はそう言いながら今挑戦している的から10メートル離れたところに立った。完全詠唱を唱え魔法を使う、まず1発目は的に当たる。続いて2発目も飛ばして的に当てる。


「ここまでは順調……あと1発、上手くいくか……っ!」


 俺の魔力をすべて込めた魔法は的のど真ん中に当たった。全魔力を注いだため久々に目眩で膝をつく、そんな俺に手を差し伸べる人がいた。


「シンくん、立てますか?」

「ランド先生!」


 俺はランド先生の差し出す手を掴み立ち上がる。


「最後の『スマッシュ』見てましたよ、私がいない間に良く当てられるようになりました」

「はい、色々なやり方をしてなんとか当てられるようになりました」

「そうですか、では明日からの鍛錬も楽しみですね。私もくたくたですし帰りましょう」


 今日の鍛錬は終わり明日から再びランド先生の指導で鍛錬ができるようになる。そして次の日。




 ランド先生と2人で訓練所に向かう。訓練所に着くと、的のある真ん中の場所から5メートル左側に的を置き、今度は真ん中にある的の場所から5メートル右側に的を置いた。

 そして昨日俺が立って魔法を使っていた場所から出入口の方の壁に歩いていく、真ん中の的から20メートルは離れた場所で止まり地面に印を付けた。


「シンくん、今日からはここから的を狙ってもらいます。ただし、私が言った的に向かって」

「ランド先生が言った的を狙えば良いのですね? 遠くはなりましたがまた頑張ってみます! ではまずどの的を狙えば良いですか?」


 俺が聞くとランド先生は間をおいてこう言った。


「狙う的はシンくんが完全詠唱を唱えた後……魔法名を言って魔法を発動する前に言います」

「えっ……それじゃあ狙いが……」

「昨日のシンくんの的当てを見て思いました。シンくんは狙いを予め定めておくことで飛距離を伸ばしたんだと。でも実戦で敵も自分も動きながら戦うことは当たり前です。止まって狙っている時間も余裕も無くなります」


 ランド先生の言っていることは当然のことである、敵対心のないスライムには通用しても、他の魔物には通用しない。


「この課題がクリアできないと2週間後に予定された実戦訓練は厳しいですよ」

「2週間後に実戦……」

「前にも言ったように、まだまだ1人では厳しいですから、気負いしなくても大丈夫です。ここでの成果をぶつける、それが良かったか悪かったかは終わってから考えましょう。さあ、始めますよ、用意してください」


 そこからは実戦に向けて2週間頑張った。


 言われたところに魔法は当たらないこと、狙いを決めることが遅かったこと、魔法が届かないことがよく起こった。

 俺が狙いを絞っているのを見透かされて、別の的を狙うように言われたりなど策を考えても的に当たることは無かった。


 そんな状態で実戦訓練当日になってしまった。

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