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229話 2回目の☆2『ウッドォ討伐』②(共有)

 俺たちが森へ向かうために道中の草原を歩いている。もう少し進むと森に入れるというところだ。そんな時、近くで人の声が聞こえる。



「うらぁ!」


「スラ!」



 どうやら冒険者が草原でスライムと戦っているようだ。


 背の高い草から飛び出し、跳ねて逃げるスライムを、冒険者が剣で一刀両断して倒して経験値を得ていた。そこに背の低い男性のギルド職員現れて、切られて動かなくなったスライムを回収していく。


 冒険者は剣を鞘に納めて、持ってきた水筒を開けて水を飲み、額に浮かぶ汗を布で拭いて一息ついた。



「よし、これでクエスト完了だな」


「はい、お疲れ様です」


「じゃあ俺は帰るから、あんたも暑さに気を付けて頑張れよ」



 冒険者はギルド職員をそう言って、アルンのある方向に向かって歩き出すのだった。


 ギルド職員は他に倒された魔物を回収していくと、魔物をぎっしり詰め込んだ袋を背負って立ち上がる。その時に、俺とハクはギルド職員と目が合った。



「冒険者さんこんにちは。お2人はどんなクエストでここへ?」


「俺は『ウッドォ討伐』ですよ」


「……俺は『ゴブリン討伐』だな」


「どちらも討伐系のクエストですね、他にも私と同じように冒険者さんが倒した魔物を回収するギルド職員が近くにいますが、私が回収したこの魔物たちを運び終えたら、すぐお2人の所に向かいますね!」



 ギルド職員は素早い動きで走り出し、背の高い草ですぐにギルド職員が見えなくなった。



「俺たちが行く場所伝えなくて大丈夫だったのかな?」


「……大丈夫だろ。他にもギルド職員はいるようだし、俺たちはいつも通り魔物を倒せばいい。行くぞ」



 ハクが森に向かって行くので、俺は後ろをチラチラと振り返りながらハクに付いて行くのだった。






 森に入ると、2人の冒険者が複数のゴブリンと戦っていた。俺とハクは草むらに身を隠して様子を見る。



「そい、そい!」


「「ゴ……ブッ……」」


「はぁっ……はぁ!」


「「ゴ……ゴ……」」



 冒険者たちは見事な連携でゴブリンたちに攻撃の隙を与えないように動いて、あっという間にゴブリンを倒してしまった。



「ここにはもうゴブリンはいないな?」


「ああ、場所変えようぜ」



 冒険者たちは武器を肩に担ぎながら、森の奥へと進むのだった。


 俺たちが草むらから顔を出すのと同時に、他にも草むらに隠れていた人が顔を出す。どうやら草原で会ったギルド職員とは別の人のようだ。



「あ、冒険者さんでしたか。どうも」



 ギルド職員は俺たちに軽く会釈をすると、倒されたゴブリンの回収をしていく。ゴブリンを袋に詰め終えると、袋を担いで森から出ていくのだった。



「行っちゃった……」


「……シン、俺はここから別行動をする。さっきの2人組の冒険者はゴブリンの討伐をしていた。もうこの近くにはゴブリンはいないだろう。俺はもっと奥に進んで探す、シンは自分のクエストに集中してくれ」


「うん分かった。気を付けてね」



 ハクは2人の冒険者が向かった方向とは別の方向に歩き出すのだった。


 俺も、討伐対象のウッドォを探しに移動するのであった。






「スラ」



 歩いていると目の前にスライムが現れるが、こちらをじっと見つめるだけで何もしてこない。今の俺の目的はスライムではないので、無視して歩き始めると、誰かが俺を見ているような視線を感じた。



「スラ?」


「このスライムじゃないな」



 体を傾けて俺を不思議そうに見つめるスライムと目が合うが、このスライムとは違う視線を俺は感じていた。


 俺は剣を構えて、辺りを警戒しながらゆっくりと後ろへ下がる。下がり続けていると、背中にトンと木の幹が当たる。どこから視線が来るのかを集中して探していくと、上が気になり始めたので、俺は上を向いた。


 上には何もいなくて、枝や葉の邪魔が無く太陽が見えていた。



「ん?」



 違和感を覚えた俺は、上を向いていた頭を下に向けて自分の足元を見る。背には木があるのに、俺の足元にはその木の根が無かった。



「アァッ!」


「っ! お前か、視線の正体は!」



 俺はすぐにその場を離れようとしたが、枝を伸ばされて逃げ出せなくなった。俺の背にいたのはウッドォで、俺が近づいてくるのを狙っていたようだ。


 俺とウッドォのやり取りを見ていたスライムは、その場で飛び跳ねたあと、どこかへ逃げて行った。これでここにいるのは俺とウッドォだけとなった。



「アァッ!」


「ぐっ!」



 ウッドォは俺の肩に噛み付きダメージを与えてくる、逃げ出そうにも手首が動かせる程度で、剣をまともに振ることができず、ウッドォが俺を拘束する枝を離してくれそうになかった。


 俺は、剣を持っていない方の手の平をウッドォの体に付けると『ファイア』を唱える。



「アァッッッ!!!」



 ウッドォは俺の『ファイア』に耐えられなくなり、俺を拘束する枝を外して離れていく。ウッドォの体には火によって燃えたことで、広範囲で黒く焦げていた。



「えい、やぁ、はぁ!」


「ア……ァッ!」



 左右に伸びた枝を切り落として攻撃手段を減らし、ウッドォの体に剣を付けて横に薙ぎ払う。木の破片が飛び、ウッドォは苦しそうにしていた。



「トドメだ!」


「ア……アァ……」



 焦げた所を狙って剣を振り、脆くなったウッドォの体を切り裂く。ウッドォはそのまま倒れてしばらくすると、経験値を吐き出した。



「ふぅ……まずは1体倒した」


「あちゃー、これダメですね」


「あ、草原で会ったギルド職員の人」



 俺が倒したウッドォのそばには、背の低いギルド職員が、倒されたウッドォの体を触り、黒く焦げた部分を掴むと、ボロッと手の中で崩れてしまった。



「火属性魔法を使ったことで、木材としては使えなくなっています。これでは冒険者さんのクエストクリアには含まれない討伐になりますね」


「なんで俺のクエスト内容を!? 倒し方に指定があるとは言っていませんよね?」


「今の時期に出している『ウッドォ討伐』は、なるべく傷付けずにということで話が通っているので分かりますよ」


「そうなんですね」



 俺はギルド職員がクエストの内容まで把握していることに、ちゃんと情報共有をしているんだなと感心した。



「ああそうだ! ギルド職員さんに聞きたいんですけど、なるべく傷付けずにってのは、どこまでダメージを与えて良いんですか?」



 俺はここが気になった。火属性の攻撃は厳禁とハンナに教えてもらったが、それ以外はどこまでやっていいか分からなかったからだ。



「それは火属性で攻撃しないだけで大丈夫ですよ! つまり、物理攻撃のみでウッドォを倒してくれれば良いのです!」


「え、それだけ?」


「はい、でも、何度も攻撃して傷付けないでくださいよ、攻撃してもこのウッドォにしたのと同じくらいの回数だけ、その剣で攻撃して倒してください!」


「分かりました」


「じゃあ次のウッドォを探しましょう!」



 ギルド職員はそう言って、倒したウッドォを回収して森の奥に進んで行くのだった。

森へ向かうために道中の草原で、背の低い男性のギルド職員と出会う。


森に入ると、他の冒険者たちがゴブリンたちと戦っていて、倒した後は別の場所に移動してゴブリンを探し始めた。ハクはこれを見て、この近くにゴブリンはいないと判断して、俺とは別行動をすることとなる。


俺が1人でウッドォを探していると、背に触れた木の幹がウッドォで戦うこととなる。


枝で拘束されたので『ファイア』でダメージを与え離れさせたあと、剣で攻撃して倒した。


草原で出会ったギルド職員に、「これではダメ」と言われてしまうが、物理攻撃だけで倒せば、俺がやっているクエストはクリアできるようだ。


そしてそのギルド職員はウッドォを回収すると森の奥に進んで行くのだった。

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