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228話 2回目の☆2『ウッドォ討伐』①(縛り)

 馬車に揺られること数時間、お昼になる頃に俺たちはアルンに帰ってくることができた。乗っていた冒険者が全員降りると、アルンからオンセーン村に向かう人たちを乗せ始める。そして、他に乗る人がいないと分かると、馬車はアルンを出て行ってしまうのだった。


 俺たちは体を伸ばして、馬車に座っていて固まった体をほぐしていく。それが終わると、みんなで顔を見合わせる。



「やっと帰ってこられましたわ」


「長いような短いような、そんな感じの温泉旅行だったね。俺はこの後ギルドに向かってクエスト受けるけど、みんなも行くでしょ?」


「僕はこのお土産を部屋に置いて行った後に向かうよ」



 アオがオンセーン村の旅館で買ったものを両手で持って見せながらそう言った。



「私も部屋に置いてからギルドに向かいますわ」



 ユカリも買ったものを部屋に置いてくるようで、ギルドには後から来るようだった。



「……俺はギルドに向かう」


「分かった、じゃあ俺とハクは先にギルドに向かうね」


「うん」「分かりましたわ」



 そう言って俺たちはアルンの入り口付近からやっと歩き出し、途中でアオとユカリと別れてギルドへ向かうのだった。






 ギルドに着くと、お昼時なのもあって食堂には冒険者が集まり活気がある。俺とハクは、冒険者たちの笑い声を聞きながら早速掲示板の方に歩いて、やりたいクエストを探す。



「……冒険者学校の実戦訓練が終わって、魔物の討伐クエストが貼りだされるようになったな」


「本当だ、今日は討伐クエストの場所にクエストがあるね。でも、お昼に来たからか、他の冒険者が先に良いクエストを持って行っちゃって、残っているのは俺たちには厳しいものばかりだね」



 貼りだされている討伐クエストは、どれも(ほし)3の内容で『ベアード討伐』や『ドン・ゴブリン討伐』などと、今の俺たちには厳しいクエストばかりとなっていた。


 (ゴールド)の報酬が高い討伐は諦めて、別のクエストを探そうとすると、クエストの紙を抱えたハンナが掲示板の所まで来る。



「ハクさんにシンさん、こんにちは。クエストをお探しですか?」


「ハンナさんこんにちは。できそうなクエストを探してはいるのですが、この時間からだとなかなかやれそうなものが無くて困っていたところですよ」


「……今から新しいクエストを貼るなら、討伐クエストから貼ってくれないか?」


「いいですよ、討伐……討伐っと…………ありました!」



 ハンナは素早くクエストの紙を上から順番にぺらぺらと探すと、討伐クエストの紙がある所を見つけて、上にあったクエストの紙たちを全部掴むと、一番下まで移動させて、討伐クエストの紙が一番上に来るようにした。



「それでは貼っていきますね」



 ハンナが次々とクエストを貼っていき、1枚ずつ内容を確認していく。討伐の場所に全部貼り終わると、場所を移動して、別のクエストを掲示板に貼っていく。


 食堂で食事をしていた冒険者たちは、ハンナがほとんどのクエストを貼り終わる頃合いを見計らって掲示板の前に集まり始めた。


 そして、俺とハクの間に腕を伸ばして、貼られたクエストを取っていく。他の冒険者も、次々とやるクエストを決めて、討伐クエストの数が一気に減るのだった。


 俺とハクは、残った中で自分にできそうなクエストを取り、掲示板から離れる。


 ハンナが受付に戻ると、冒険者たちの選んだクエストを受注して、残るは俺たちのだけになった。



「先にハクから受注してきていいよ」


「……そうか、じゃあ俺から行かせてもらう」



 ハクはハンナにクエストの紙を渡して、受注を終えてこちらに戻ってくる。ハクと入れ替わるように、今度は俺もハンナにクエストの紙を渡していく。



「このクエストですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)2『ウッドォ討伐』


 クリア条件:ウッドォを5体以上なるべく傷付けずに討伐


 報酬金:400(ゴールド) 1200GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)1から(ほし)3冒険者1人以上


 ~依頼内容~


 森に潜む木に化けたウッドォをなるべく傷付けずに討伐する。

 属性攻撃は控えて、物理攻撃で戦い倒すこと。


 ――


「このような内容ですが、クエストを受けますか?」


「はい。それにしても、今回のウッドォ討伐には、討伐方法に指定があるんですね」


「そうですね。新しくできたダンジョンの拠点作りに多くの木材を使用してしまったので、その補充のためのクエストですね。ですので、なるべく傷付けずに倒してほしいのです。もちろん、火属性の攻撃は厳禁ですよ!」



 ハンナはテーブルから身を乗り出す勢いで俺に顔を近づけて注意をする。



「『ファイア』は使わないように頑張ります」


「でも、危ないと感じたら迷わず使ってください! それではクエストを受注します。クエスト頑張ってくださいね」


「頑張ります!」



 俺はハンナにそう伝えて、ハクの所に戻っていった。



「おまたせ。ハクは何のクエストにしたの?」


「……俺は『ゴブリン討伐』だ。最近森に増えてきたみたいだからか、多い数を討伐しないといけないようだ。シンのクエストも、物理攻撃だけで倒す縛りは大変そうだな」


「そうだね、でもダメそうなら魔法を使うしかないかな。よし、そろそろ俺たちも行こうか」


「……だな」



 俺とハクはギルドから出ていく。外にはこれからギルド入ろうとするアオとユカリが来ていた。俺たちは「先に行く」と伝えて、2人がギルドに入ったことを確認すると、目的地の森まで歩いて行くのだった。

アルンに帰って来た俺は、ハクと一緒にギルドに言った。アオとユカリは、オンセーン村の旅館で買ったものを部屋に置いてからギルドに来るようだ。


ハンナが掲示板にクエストを貼って、次々と冒険者がクエストを受注していく。


ハクは『ゴブリン討伐』で、俺は『ウッドォ討伐』のクエストを受注する、魔法は使わずに物理攻撃だけで戦う縛りがあって大変だ。


そして目的地に向かう前にアオやユカリがギルドに入って行くのを確認してから歩くのだった。

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