表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
223/249

223話 ユカリたちと温泉の旅!⑰(煙)

 訓練所の真ん中に煙があることで、俺の対面にいたハクの姿は見えなくなったが、左右にいるアオとユカリの姿ははっきり見えていた。


 その2人は、目を右へ左と交互に見て警戒している。


 アオからは俺とハクが見えるけどユカリの事が見えなくて、ユカリは逆にアオの事が見えないみたいだ。


 俺はアオとユカリの目の動きから、自分には見えていないハクの動きを予想する。


 アオとユカリの2人は訓練所の隅から一歩も動かずに周りを警戒しているだけで、変わった様子が見られないことから、ハクもその場を動いていないだろうと判断する。


 お互いがお互いを警戒していて動けていない状況なら、俺が先に動いてその均衡を崩す。


 そのためには誰を最初に狙うかを考える。


 まず煙で姿が見えないハクは除外して、残すはアオとユカリ。どちらを攻めるにしても近づく距離はあまり変わらないが、ユカリはアオよりも近距離攻撃が得意なので反撃に遭いやすく、交戦時間が長くなるだろう。


 そうなれば、ハクに良いタイミングで来られて、俺もユカリも早々に不利な状況にもっていかれる。



(だからここで狙うのはアオ!)



 俺がそう判断してアオの方に視線を向けると、アオは驚いたような顔でハクの方に視線を向けている。


 この煙の向こうでハクはアオに何をしようとしているのかと思って、訓練所の真ん中にある煙を見ていたら、煙から何かが飛んでくるのが見えた。



「っ!?」



 俺は慌ててその場でしゃがみ、飛んでくる何かを避ける。


 パンッと俺の顔から斜め上に音が鳴ると、そこには魔力を纏った矢が刺さっていた。


 見えているアオやユカリじゃなくて、見えていない俺をハクは攻撃してきた。


 この状況でハクから攻撃が来ることを想定していなかったので、飛んできた矢が当たっていれば危なかった。


 だが、今の攻撃を避けられていなくても、矢が刺さっている位置は、俺が立っていた場所とはズレていたので、ハクからの攻撃に気が付かなくても、ダメージを受けることはなかったみたいだが、ハクが俺の位置をある程度把握しているという証拠でもあった。


 ここに留まるのは危険と判断して場所を変えようと立ち上がると、上から紫色の球がこちらに向かって落ちてくる。


 それが地面に当たると、周りに紫色の煙が現れて、俺を包み込んだ。



「これはハクの『ボイズスモーク』か! ハクはこれで俺を煙の外に出したいみたいだけど、今の俺は毒耐性の指輪を装備しているから、この毒煙の中にいても大丈夫」



 そう俺が思っていると、何本もの矢が、俺の体を掠めながら壁に刺さった。



「っ! 急いでここを出なくちゃ!」



 ハクは俺が出てきたところを狙おうとしていたはず、なのに俺が毒煙から出てこないから、毒煙の中に攻撃を仕掛けたんだ。


 俺はアオがいた方の左側に走り出し、毒煙から抜ける。


 すると、訓練所のアオとユカリがいた隅の方には毒煙があり、他の場所には普通の白い煙が立ち込めていた。



「ハクだけじゃない、アオとユカリも場所も分からない」


「……見つけた」



 煙と煙の間からハクが姿を現し、俺に狙いを定めると、矢を放って煙の中に隠れた。


 俺は飛んでくる矢を避けて、ハクのいた場所まで走るが、そこにはもうハクはいなかった。



「くっ、煙が多くて全然見つけられない……でも、煙なら俺の魔法で吹き飛ばせる。『ウィンド』!」



 風の刃を煙のある所に飛ばして、煙を散らしていく。


 そのおかげで訓練所は見渡しが良くなり、ハクの姿がはっきり見えるようになった。


 まだ残った煙があるとはいえ、アオとユカリの姿が何処にも見当たらないのが気になるが、今は目の前にいるハクが優先だ。


 俺は剣を構えて、ハクに向かって走り出す。


 ハクは『スモーク』を使って自分の真下に煙を出して姿を隠そうとした。


 俺はそうはさせないと、走りながら『ウィンド』を唱えて煙を消す。



「……それを待っていた」



 煙が消えると、煙のあった場所にハクはしゃがんで弓を引き絞って待っていた。


 俺の『ウィンド』がハクの後ろへ通り過ぎ、風の影響を受けなくなると、ハクは矢を放つ。


 飛んでくる矢に対して俺は全力で横に飛び避けようとするが、完全には避け切れずに当たってしまう。



「うっ!」



 だが、幸いにも体の端に刺さっただけなので、すぐに引き抜いて矢を捨てて、剣を構えなおした。



「……今のを避けるのか、だが今のやり取りで俺の方が有利だと分かった」


「確かにね、でも煙を消した後に攻撃されるって分かっているなら避けられるよ」


「……なら、試してみるか? 『スモーク』」



 ハクがもう一度真下に煙を出したので、俺も『ウィンド』を飛ばして煙を消しに行く。


 今度のハクは横に避けていて、そこから矢を撃ってくるようだ。



「分かっているなら避ける体勢にできる!」



 ハクが矢を撃てばすぐに動いて避けられるように身構えていると、上から何本も矢が地面に刺さってきた。



「うおっ! いったいどこから!?」



 ハクは弓を引き絞っていて、今は撃てるような状況じゃない。ということは、その前に撃たれたもの。


 ハクは『スモーク』で煙を出した後、すぐに上に向かって矢を放ったことで、俺には当たらなかったが、動揺を誘うことができた。


 その動揺をハクは見逃さずに狙ってくる。



「うわぁ!」



 ハクの矢が、俺の肩に刺さって、俺は剣を手から落とすのだった。

煙でハクの姿は見えないが、アオとユカリの目の動きからハクの動きを予想する。


煙で俺の姿が見えていないはずのハクが、俺に向かって矢を飛ばしてくる。その後に『ボイズスモーク』を使ってきた。


毒耐性の指輪があるので、毒煙の中にいると、毒煙の中に何本もの矢を撃ってくる。俺は毒煙から出ると、アオやユカリのいた隅にも毒煙があり、他の場所にも白い煙が立ち込めていた。


『ウィンド』で煙を消すと、しゃがんで弓を引き絞るハクに矢を撃たれる。俺は何とか横に飛び、避けようとするが、完全には避けられずに当たってしまう。


そこで、ハクは自分の方が有利と理解してもう一度同じようなやり方をすると、今度は上に向かって矢を放っていたようで、俺は動揺してしまい、今度は避けることもできずに肩に当たり、持っていた剣を落とすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ