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206話 ☆?『拠点設営団』㉒(安心)

 俺たちは馬車から降りてランドを見ていると、ランドと話していた拠点主任がどこかに行き、話す相手がいなくなったランドは俺たちの所まで歩いて来るのだった。


 そして、俺たちの前まで来ると、ランドは俺たちやリクたちを足から頭までをじっくり観察して、うんうんと頷いた。



「みなさん、冒険者になってから随分と成長しましたね、特にシンくん。君を卒業させたあと、卒業条件を満たしているとはいえ、冒険者にさせて良かったのだろうかと考えていました。ですが、その様子だと問題ないようですね」


「はい、いっぱいクエスト受けて、いっぱい魔物を倒して、あの頃よりも何倍も強くなりました!」



 俺は成長できた自分を自信たっぷりにランドに見せるのだった。ランドも俺の成長を自分の事のように喜んでいるようだった。そこに拠点主任がやってきてランドに索敵の件について話を持ち掛けてくる。



「ランドさん、こちらの方で話し合った結果、一部の冒険者がここに残って索敵をしてくれるそうです」


「ありがとうございます。このことを生徒たちと一緒に待っている先生たちに伝えてきますね」


「ランド先生! 大変です!」



 ランドの名を呼びながら、こちらに向かって慌てて走ってくる先生が目の前まで来た。ランドは落ち着いた声で何があったか聞く。



「どうしましたか?」


「ミドーくんが、強個体を倒しに森に入ってしまいました」


「なんですって!」


「ミドーが森に!?」



 ランドと俺は驚く。



「……シン、知っているやつなのか?」


「うん、ハクたちが卒業した後に、同じ部屋になった人だよ。それにミドーは方向音痴で迷うんだ。探して見つけてあげないと」


「……そうか、なら急いで探さないとな。もし強個体と遭遇したら危険だ」


「僕たちも探すのを手伝うよ!」


「手伝いますわ!」



 アオとユカリも探すことに協力してくれるようだ。だが、それをランドに止められた。



「いいえ、みなさんはここで待っていてください」



 ランドにそう言われたが、ソラがそれに対して強く抗議する。



「ランド先生、ミドーは俺の弟なんです。探させてください!」


「ソラくん、ミドーくんは私が必ず見つけます。だから心配しないでください」



 ランドはミドーの目線の高さに合わせて屈んでそう言った。そして立ち上がり、少し移動した後に目を閉じて集中する。



「…………ミドーくんを見つけました、森の奥には入っていないようですね。連れ戻してきます」



 ランドは森に向かって走っていった。それを見送った拠点主任は、一部の冒険者をここに残して、アルンに帰る判断をする。



「あとはランドさんに任せましょう。では我々はアルンに帰りますよ」



 拠点主任は馬車に乗り込むと、ザイゲン、イラミ、コカ、他数人の冒険者が馬車に戻らずにここに残った。



「俺たちはここに残って索敵してから帰ることにする。またどこかのクエストで一緒にやろう」


「バイバイみんな、またね」


「またね……」



 止まっていた馬車が動き出して、俺たちはザイゲンたちに見送られながらアルンに帰るのであった。






 ■






 アルンに着き、ギルドまで運ばれ中に入ると、受付とは別の場所にテーブルが用意され、ギルド職員たちが待機していた。



「『拠点設営団』のクエストを受けているみなさんはこちらのテーブルに来てください。ここでクリア報酬金をお渡しします」



 そしてギルド職員から、報酬金は4000(ゴールド)で1万GP(ギルドポイント)と説明された。


 冒険者たちは群がるようにテーブルの周りに集まり、次々に報酬の入った袋をもらっていた。


 俺たちは、冒険者が少なくなった頃を見計らって、テーブルに向かい、ギルドカードを渡して確認させてから報酬金の入った袋を受け取った。


 ずっしりと重い袋に、みんな嬉しそうにしている。



「なあ、みんなで中身を見せ合おうぜ!」



 リクがそんな提案をしてきた。周りの冒険者にも聞こえたのか、その冒険者たちがリクの提案に乗っかる。



「いいね、やろうやろう!」


「俺たちも混ぜてくれ!」


「まだ俺報酬金もらってないから待っててくれ!」



 こうして『拠点設営団』に参加していた冒険者は、索敵のために帰ってきていない者を除いて、全員報酬金をもらった。


 最初の方に報酬金を受け取った冒険者たちは、もう帰っていなくなってしまったが、残った冒険者で円陣を作り、袋の口を両手で掴んでいた。


 リクが全員をぐるっと見渡して、掛け声を言う。



「いくよ! せーの!」



 バッと袋が勢いよく開かれる音が聞こえた後、(ゴールド)の擦れるジャラっとした音も混ざっていた。



「おおお、すげぇ光ってやがる!」


「こんなに(ゴールド)を視界に入れたのは初めてだ!」


「この中身が全部俺の物っ!」



 冒険者たちは散々騒いだあと、そのまま食事や遊ぶために外に出ていくのであった。


 残ったのは、俺たちとリクたちだけだった。


 受付をやっていたギルド職員は、テーブルとまだ受け取られていない報酬金の入った袋を片付けて、いつも通りのギルドに戻るのだった。


 そして、リクとカイトとソラも帰るようで、別れの言葉をかけてくる。



「じゃあシン、俺たちもそろそろ帰るぜ、またな」


「また一緒にクエストやろうね」


「じゃーな!」



 3人ともそう言って外に出ていった。



「じゃあ俺たちも帰ろうか」




 俺がそう言って、アオと一緒に外に出ようとしたら、ハンナさんに止められた。


「ちょっと待ってください! アオさん、ハクさん、ユカリさんは会議室まで来てください」


「あれ、その3人だけ? 俺は行かなくていいんですか?」


「申し訳ございません、今回シンさんは呼ばれていません」



 ハンナは頭を下げて俺に謝った。



「……シンとはここでお別れのようだな」


「シンくんは先に帰って休んでいいからね」


「そうですわ、私たちのことは気にしなくていいんですわよ」


「分かった、みんながそういうなら、俺は先に帰らせてもらうね」



 俺は3人を置いて、ギルドの外に出ようとする。



「また明日ー!」



 ギルドから出る直前に3人にそう言い残して、俺は部屋に帰るのだった。部屋に戻ったことで安心感が生まれたのか、急に眠気に襲われた。


 急いで布団を準備して横になると、久々の布団の感触に俺は一気に意識を持っていかれる。俺は瞼を閉じて、今回受けた『拠点設営団』の3日間はどうだったかを思い出しながら、次の日まで起きないほど、深く眠るのであった。

ランドがみんなの成長を見ていると、ミドーが強個体を倒すために森に入ったと報告される。


ランドがミドーを見つけて連れ戻しに行くようだ。


ザイゲン、イラミ、コカ、他数人の冒険者は周辺を索敵するために残して、俺たちはアルンに帰るのだった。


『拠点設営団』の報酬金は4000(ゴールド)で1万GP(ギルドポイント)だった、これが参加した冒険者にそれぞれ渡されることとなった。


アオ、ハク、ユカリは会議室呼ばれた、俺は家に帰って次の日まで寝るのだった。

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