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202話 ☆?『拠点設営団』⑱(十字)

「グオォォォッッッ!」



 ドラゴンの咆哮が体に響きながらもダイケンは前に出て大剣を左右に振り、ドラゴンの吐く炎を散らしていく。だが、何度散らしても次から次にやってくる炎に対処できなくなり追いつけなくなり、ダイケンは炎に包まれた。



「ぐわぁぁぁ!!!」



 ドラゴンの炎が止むとダイケンは膝を付き、鎧の中から煙を出していた。



「ふぅ……今の熱かった」



 ダイケンは大剣を支えにして立ち上がると、大剣を頭より高い位置で構える。すると大剣にはどんどん魔力が集まり始めていた。


 ドラゴンはもう一度息を吸い込み口に炎を溜めて吐き出した。


 ダイケンに炎が迫っているが、ダイケンはギリギリまで魔力を溜めている。そして、炎がダイケンの間合いに入ったら、腕に力を入れて振り下ろした。


 大剣に魔力をたくさん集めたことで、特大の魔力の刃が出来上がり、その魔力の刃がドラゴンの炎がぶつかり合い、魔力の刃が押していた炎を押していた。


 しかし、時間が経つにつれ、押す力が弱まっていく。



「このままじゃまたダイケンさんが炎に包まれる!」



 俺がそう言うと、ダイケンは大剣を横に構えて魔力を溜め始める。



「心配無用、まだ俺の技は終わってない! 『十字線』!」



 ダイケンが特大の魔力の刃を横向きに飛ばすと、先に飛ばされていた魔力の刃と合流して、十字の形をした魔力の刃となった。


 十字になったことで威力は先ほどよりも上がり、炎を一気に押していく。そして、ドラゴンはここで炎を吐き切り、目の前に十字の魔力の刃が迫ってきていた。


 ドラゴンは頭を下げて体を回転させると、尻尾で十字の魔力の刃を叩いた。


 この衝突で、十字の魔力の刃は地面に叩き落される。そして地面に当たって十字の穴を作ると、穴が光りだして爆発して穴が開き、土や石などが宙を舞って落ちてきた。


 ドラゴンは爆発した地面付近に着地すると、尻尾を口に近づけて、叩いた部分を舐めた。そこには汚れはついていても、傷のようなものはなかった。



「なんて硬い鱗をしてやがる。やはり直接剣で切らないとダメージは期待できないか。ナーゲとヤミィはヤツの後ろに回り込んで、ヤツが俺に攻撃できないようにしてくれ」


「まかせな」


「ああ」



 ナーゲは左から、ヤミィは右からドラゴンの後ろに回り込もうとする。だが、そんな動きをドラゴンが黙って見過ごすはずがなく、口に炎を溜める。


 狙われたのはナーゲの方で、ドラゴンの口が直線状に重ならないように移動していくが、ドラゴンは炎を吐いた後に、ナーゲを追いかけるように首を振り、炎がナーゲの方に追いつこうとしていた。


 ナーゲは手の指の間全てに投げナイフを挟むと、それを炎の中に向かって投げる。そして魔力の糸でナイフを引いて回すことで炎の軌道を変えて、直撃しないように工夫する。



「熱っっっ!」



 ナーゲは炎に包まれるが、横に移動して逃げたりしないで、あえて炎に向かって走り出す。目指す場所はダイケンの『十字線』によりできた穴だ。


 ナーゲがそこに滑り込むことで、ドラゴンの炎から脱出することができた。


 ドラゴンは炎を吐き終えて、炎を吐いていた場所を見る。そこには焦げた地面だけがあった。ドラゴンは周囲を見渡すと、穴にいるナーゲと目が合った。


 ナーゲはドラゴンの腹に投げナイフを投げて攻撃する。鱗の薄い部分を狙ったつもりだったが、硬くて刺さらず弾かれた。



「そこも硬いのか!」



 ナーゲは穴から出ると、柔らかそうな部位を狙って投げナイフを投げるが、どれも弾かれてしまう。


 そこで、顔に向かって投げたところ、ドラゴンは頭を動かしてナイフを避けた。



「今避けたな? ってことは、そこは効くってことだよな!」



 ナーゲは投げナイフを何本もドラゴンの顔に向かって投げる。ドラゴンは飛んでくる投げナイフを尻尾で叩き落とした。


 そして、口に炎を溜めてナーゲに吐こうとしたところで、ドラゴンの足元から、黒い刃が生えてくる。


 黒い刃は、ドラゴンの足元でめちゃくちゃに動いてドラゴンの足を攻撃しているが一向にダメージが入らない。しかしこれは、ドラゴンにダメージを与えるための攻撃ではなかった。


 黒い刃がめちゃくちゃに動いたことで、ドラゴンの立っていた地面がボロボロになり崩れた。



「グオォ!?」



 地面が崩れて、ドラゴンは『十字線』でできた穴に滑り落ちた。


 穴の中心で止まると、穴に向かって大剣を構えたダイケンが飛んでくる。ドラゴンは尻尾で体勢を変え、腹に刺されることを防ぐ。


 ダイケンの攻撃はドラゴンの背中に刺さった。



「グオォォォ!」


「硬いな、深く刺さらない。だがここから攻撃したらダメージは大きいだろう。『一閃』」


「グオッッッ!」



 大剣がドラゴンに刺さった状態で『一閃』を放ち、ドラゴンの鱗を越えて攻撃する。


 ドラゴンの体から初めて血が流れ始めた。


 ダイケンはもう一度『一閃』を使おうとしたが、ドラゴンが翼を広げて空に飛ぶ。ドラゴンに刺さった大剣を外して地上に着地して、空からこちらを見下ろすドラゴンは、地面に向かって炎を吐き出した。



「ぐっ!」


「うぐぐ」


「っ!」



 地面に当たった炎は広がって地上を燃やす。


 地上にいるダイケンたちはどこに逃げることもできずに炎に包まれた。


 ダイケンは大剣を左右に振って防ぎ、ナーゲはその後ろにいて回り込んでくる炎を投げナイフを回して遠ざける。


 ヤミィは転がっていた石を黒い刃で集めて、自分前に置き、炎が直撃しないようにして耐えていた。


 炎が止まり、ドラゴンが地上に降りてくる。


 背中にできた傷から血が流れていたドラゴンだったが、傷が塞がっているのだった。

ダイケンは左右に大剣を振ってドラゴンの炎を散らすが、炎に包まれてしまいダメージを受ける。


魔力の刃を縦と横に振って飛ばすことで『十字線』となり、ドラゴンの炎を突破した。その後、ドラゴンが尻尾で『十字線』を地面に叩き落される。その時に地面に穴ができる。


まともにダメージが入らなかったので、直接攻撃するために、ナーゲとヤミィに隙を作ってもらう。


ナーゲに構っているうちに、ヤミィがドラゴンの足元に攻撃を仕掛けて地面をめちゃくちゃにして足場を崩し、ドラゴンを穴に滑らせる。


ドラゴンの背中に大剣が刺さったが、傷は浅く、反撃を食らった後には傷が塞がっているのだった。



技の紹介


・『十字線』


武器に魔力を込めて振ることによってできる魔力の刃を縦と横に振り、十字のような形にして攻撃する技。

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