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201話 ☆?『拠点設営団』⑰(竜)

「ギュアァァァ!」



 ワニゲーターがダイケンにひたすら噛み付き攻撃をしてくる。ダイケンはそれに合わせて反撃をしてダメージを与えているが、ゾンビ化しているワニゲーターは怯むことなく攻撃を続ける。


 しかし、ワニゲーターの体に異変が起こり始める。


 ダイケンが噛み付き攻撃をされる度に反撃をし続けたことでワニゲーターの口が裂けてきて、思うように噛み付くことができなくなっていた。いかにゾンビ化して怯まなくても、動かせる体になっていなければ攻撃できない。


 ワニゲーターはとうとうダイケンに噛み付き攻撃をすることができなくなった。この隙を狙っていたダイケンが、ワニゲーターの口の上に乗り、額に剣先を当てる。



「『一閃』!」


「ギュア……」



 ワニゲーターの額に大きな穴が開く。しかし、ゾンビ化したワニゲーターはこの程度では止まらない。片側の前足と後ろ足を上げて体を傾け、ダイケンを振り落とそうとする。


 ダイケンはそれに構わず、ワニゲーターが動かなくなるまで『一閃』を打ち込む。



「ギュア……ギュア……ヴァァ…………」



 頭から背中にかけて穴だらけになったワニゲーターは動かなくなる。また復活してこないように、残った肉片を魔力の刃で攻撃して、ワニゲーターを灰に変えた。


 ダイケンが戦っている間に、ナーゲとヤミィは、ゾンビ化したスクイーカを倒して灰に変えていた。


 ベルゼが出した魔物は、ダイケンたち上位冒険者により全部倒されたのだ。それなのに余裕な態度を崩さず、ダイケンたちを見下ろしていた。



「まさかあの魔物たちが1回しかゾンビ化できないとは思いませんでしたよ」


「俺たちにはあの程度の魔物は脅威にならないことが分かっただろう? ゾンビ化も復活する前に灰に変えちまえば、消耗戦に持っていくこともできない。新たな魔物は呼ばれるまえに倒す! はぁっ……『一閃』!」



 ダイケンは、飛んでいるベルゼに『一閃』を放ち攻撃するが、ベルゼは体を少し傾けるだけでダイケンの『一閃』を避ける。



「先ほどは当たってしまいましたが、今度は当たりませんよ」


「ならこれはどうだ!」



 ダイケンは『一閃』で攻撃しつつ、魔力の刃による大振りをして攻撃をする。


 魔力の刃は攻撃範囲が『一閃』よりも広く、ベルゼは大きく回避をしなければならない。また、『一閃』との速度の緩急があり、ベルゼが避けるたびに体勢が悪くなって、無茶な避け方になってきていた。


 そこに黒い刃がベルゼの足に当たった



「っ! あなたは」



 ベルゼの真下にはヤミィがいて、ヤミィが出した黒い刃がベルゼを襲う。


 何度も攻撃しながらベルゼにダメージを与えていくヤミィだったが、ベルゼの体から、数体のハエが攻撃するたびに落ちていくだけだった。


 ベルゼは身を守りながら羽を早く動かし、ダイケンやヤミィの攻撃を受けながらその場を離れる。それにより、ダイケンとヤミィの攻撃が届かない所まで移動できた。


 しかし今度は投げナイフがベルゼの肩に刺さる。



「『ドン・サンダー』」


「っっっ!」



 ベルゼに刺さったナイフから雷属性の魔法が、魔力の糸を通じてベルゼにダメージを与えた。体からぽろぽろとハエが落ちていく中、ベルゼは痺れる体を動かして肩からナイフを抜き、ナーゲにナイフを投げる。


 ナーゲは魔力の糸を使って、投げ返されたナイフの軌道を変えて、安全に自分の手元にナイフが戻る。



「ふぅ……なかなかやりますねぇ。次はどんな魔物を出しましょうか……ん?」



 ベルゼが何かを感じ取り、戦いを中断して上空へ移動する。



「待て、逃げる気か!」



 ダイケンが『一閃』で攻撃するが、距離が離れすぎて、ベルゼのいない方に攻撃が飛んでいく。ナーゲの投げナイフも同様に、ベルゼには届かなかった。


 ベルゼが離れたことで、洞窟にいた冒険者たちはベルゼの魔力が弱まったことで立ち上がれるようになった。


 俺は洞窟から外に顔を出し、ベルゼが何をしているのかを見る。さっきまで持っていなかった何かを手に持ちながら誰かと話しているように見えるが、ベルゼと距離がありすぎて話している内容が聞こえてこないし、持っている物が何かも分からない。


 なんとか知る方法はないのかと辺りを見渡して探している間にベルゼが帰ってきた。そして、持っている物が何かが分かった。


 以前アルンの街に魔王幹部のブランチが持ち込んできた邪箱を黒くしたような物を、ベルゼが持っていた。ベルゼは空間を歪ませて、その中に箱をいれて、歪ませた空間を閉じた。



「急用ができたので、急いで目的を果たさせてもらいます」



 ベルゼはワニゲーターたちを出すのに使ったハエたちと同じくらいの量のハエを自分の体から出し、1体の魔物に姿を変えていく。


 赤茶色をした皮膚は頭の先から尻尾の先まであり、大きさは全長8(メートル)ほどだ。背中には翼が生え、鋭い爪と牙が見える。


 その姿を見たナーゲは思わず後退り声を出す。



「ド……ドラゴンだと!?」



 ナーゲの言葉に冒険者たちが怯み、体が震える者まで現れた。


 ドラゴンは翼を使って、自身の体を空に浮かばせていた。ベルゼはその背中に乗ってダイケンたちを見下ろす。そしてドラゴンから飛び降りると、洞窟の上を飛んでこの場からいなくなってしまった。


 ダイケンたちはベルゼを追いたいが、空からドラゴンが睨み、追いかけさせないようにする。


 ドラゴンはゆっくりと降下していく、地面に近づくほど翼の風圧で土埃が舞いながら着地する。


 そして、ドラゴンが少し口を開くと、口の中から炎が少し見える。それは次第に大きくなり、ドラゴンが大きく息を吸い込み、咆哮すると同時に、口から炎が吐き出されるのであった。

ワニゲーターとスクイーカを倒して、ダイケンとヤミィとナーゲがベルゼに攻撃をする。


ベルゼは何かを感じ取り、戦いを中断して上空へ移動する。


ベルゼが移動したことで、シンたちを押さえつけていたベルゼの魔力が魔力が弱まったことで、冒険者は立ち上がれるようになった。


ベルゼは誰かと話しているようだったが、誰かは分からず話している内容も聞こえなかった。そして戻ってきたときに、邪箱を持っていて、それを空間を歪ませて、その中に入れた。


そして、ハエをドラゴンに変えると、ベルゼは洞窟の上を飛んでこの場からいなくなった。


ダイケンたちはドラゴンと戦うこととなるのだった。



魔物の紹介


・ドラゴン


赤茶色をした皮膚は頭の先から尻尾の先まであり、大きさは全長8(メートル)ほど。背中には翼が生え、鋭い爪と牙がある。


皮膚は硬く、口から炎を吐いてくる攻撃をする。

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