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200話 ☆?『拠点設営団』⑯(尻尾)

 スクイーカを倒したナーゲは、ベアードと戦っているヤミィと、ワニゲーターと戦っているダイケンの様子を窺う。



「ヤミィ、ダイケン。そっちはどうだ?」


「ヤツならもう倒した」


「俺も倒した!」



 ベアードは傷だらけで倒れ、ワニゲーターは首を大きく切られて大量に血を流して動かなくなっていた。


 しかし、ベルゼが倒れた魔物たちに魔力を送ると、生きていたころとあまり変わりない姿でゾンビ化して蘇った。


 そして、体の損傷が少なかったベアードが、近くにいたヤミィに襲い掛かる。



「グルァァァ!」



 ベアードは薙ぎ払うように爪でヤミィを攻撃する。ヤミィは高く飛び攻撃を避けると、無言詠唱で黒い刃を出し、ベアードの全身を切り刻む。


 生きていた頃のベアードは、ヤミィの黒い刃で倒せていたが、ゾンビとして復活したベアードは黒い刃だけでは倒れなかった。


 ベアードは空中にいるヤミィに狙いを定めて飛び、ヤミィの顔面に爪が迫る。


 ヤミィは両手を後ろに向けると、手から黒の刃を一直線に出して地面に刺し、黒の刃を握って引っ張る。するとヤミィは空中で身動きが取れないはずなのに、黒の刃が刺さった地面に体が向かって行った。それにより、ベアードの攻撃を避けることができた。


 攻撃を避けて地面に着地したヤミィは、空中でこちらを睨んでいるベアードの事を見ていた。そして、ベアードがこれから着地するであろう場所から少し離れると、地面に両手を付けて魔法を唱える。



「『ダークニードル』」


「グルァ……ァ……」



 ベアードが着地する直前に、ベアードの下から黒い針がたくさん飛び出して、ベアードを貫いた。


 ゾンビ化しているベアードは、全身針で貫かれていても、まだヤミィを襲おうと、針にから体を抜こうと動く。


 しかし、ヤミィが魔力を手に込めると、針だったものが鞭のようにしなやかになり、ベアードの体に巻き付き、地面に叩きつけた。


 ベアードは地面に縫い付けられ、なんとか動こうと暴れるが、ヤミィが追加で『ダークニードル』を使い、身動きが取れなくなる。


 そして、魔力を高めてから地面に付いていた手を上に引き上げると、ベアードを拘束していた『ダークニードル』がより強くベアードを締め付け、それに耐えられなくなったベアードは切り裂かれて灰に変わった。






 次にゾンビ化したのはワニゲーターだった。


 やはりこちらも見た目は生きていた頃のままで、唯一違うところは、ダイケンに切られた首の傷がゾンビ化しているところだ。


 ワニゲーターは大きな口を開け、ダイケンに噛み付こうとする。


 ダイケンはワニゲーターの口の中を向かって『一閃』を放つ。『一閃』は体の中に入り、ワニゲーターの背中がボコっと膨らむ威力だったが、一瞬動きが止まっただけで、ワニゲーターは攻撃を止めなかった。


 ワニゲーターが思いっきり噛み付いて口を閉じるが、ダイケンは横に転がることで噛み付きを避ける。その姿を目で追っていたワニゲーターは、体をゴロゴロと転がしてダイケンを潰そうとする。


 ダイケンは手で体勢を整えると高く飛び、転がるワニゲーターを避ける。


 だが、ダイケンが着地したのと同時に、ワニゲーターの尻尾が迫る。


 それに対してダイケンは、大剣に纏わせた魔力を強め、迫りくる尻尾を切り上げて、尻尾を切断した。






 切られた尻尾は勢いよく飛んで、洞窟がある方向の壁に激突して壁の石が砕ける。


 洞窟の入り口には、砕けた石と切られた尻尾が落ちてきて、その衝撃で土煙が舞い、洞窟入り口付近で動けなくなっている俺たち冒険者にかかった。



「ゲホッゲホッ……なんて戦いだっ」



 俺がそんなことを言っていると、後ろの方から叫び声が聞こえる。



「うわぁぁぁ! 尻尾が動いているぞ!」


「なんだとっ!」



 尻尾はうねうねと動き出し、尻尾の断面から何かが生えてくる。その姿はボロボロだが、ワニゲーターに近い見た目になろうとしていた。



「まずい、ゾンビ化したワニゲーターがここで出現するぞ!」


「「「ひぃぃぃぃ!」」」



 俺の言葉に、周りの冒険者は悲鳴が聞こえてくる。みんなはまだベルゼの魔力で体が自由に動かない、こんな状況で戦闘になれば確実に殺される。


 ワニゲーターの尻尾から、胴体や首まで生えてきて、いよいよ残すは頭だけとなった。そんな時に魔力の刃が飛んできて、ワニゲーターの横腹に大きな傷をつける。


 どうやら魔力の刃を飛ばしたのはダイケンで、尻尾を切られた方のワニゲーターと戦いながらこちらに飛ばしてきたようだった。


 ダイケンのおかげで、頭を生やしていない方のワニゲーターは、今のダメージにより頭を生やすことを止め、傷ついた横腹の修復に入る。



「そっちはヤミィに任せたぞ」



 ダイケンがそういうと、ベアードを倒して手が空いていたヤミィが、俺たちの方に飛んできたワニゲーターの尻尾に向かって走る。


 復活しようと体を作っているワニゲーターにヤミィの黒い刃が刺さり、ワニゲーターを細かく傷をつけていった。そして、ワニゲーターの背にヤミィが乗る。


 ヤミィが乗っているワニゲーターに手を向けると、黒い刃が手から放たれワニゲーターに刺さる。


 そして、ヤミィが魔力を高めると黒い刃が太くなり、ワニゲーターの体から黒い刃が生えてくる。その黒い刃の先端が向きを変えると、ワニゲーターの体を貫いた。そして反対側から黒い刃が生えてくる。


 そのまま黒い刃は、尻尾の方まで向かうと、尻尾を縛り上げた。


 ヤミィは手から黒い刃を外すと、縛り上げた尻尾の方まで走り、自分の足に黒い刃を生えさせて、尻尾に蹴りを入れてゾンビとして生えてきていた部分と切り離した。


 そして、尻尾の断面に向かって両手で黒の刃を刺し、何度も引っ掻くことでダメージを与えていく。


 中の肉を削ぎ、包んだ皮を削ぎ、最後に残った骨は足で砕いて灰に変えていった。


 ヤミィのおかげで、俺たちがワニゲーターのゾンビと戦わずに済むのであった。

スクイーカの次に復活したのはベアードだった。ベアードはヤミィの『ダークニードル』で貫き、『ダークニードル』の形を変形させてベアードを締め付けて灰に変えた。


次にゾンビ化したのはワニゲーターで、ダイケンとの戦闘中に尻尾が切断されて、シンなどがいる洞窟入り口の方まで尻尾が飛んでくる。


そこからゾンビ化が始まり復活しようとしていたところに、ダイケンの魔力の刃が傷をつけ、手が空いているヤミィが戦う。


尻尾だけのワニゲーターは反撃をしてこなかったので、一方的にヤミィが攻撃をして、ワニゲーターの尻尾を灰に変え、シンたちはワニゲーターのゾンビと戦わずに済むのであった。



魔法の紹介


・『ダークニードル』


闇属性の針を出す魔法。


ヤミィは追加で魔力を送ることで『ダークニードル』を柔らかくしたり、動かしたりしている。

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