2話 スライム強くない?(震え)
「うっ……ここは……」
シンが目を覚ますと森にいた。前の少し離れた所に道があるのが見え、そこ以外は森の奥に続いているようだった。後ろにある森は奥に続く程光すら通さないのかどんどん暗くなっていた。そこを見ていると何だか不吉な予感がした
「目の前の道を目指すか……!?」
立ち上がりながらそう呟いて驚いた、声が高くなっている。身体も見て見ると手も小さく背も低い、ズボンを広げて中を覗く
「男だった……」
ロリになっていることを期待したシンだったが現実はショタ、服は制服だった。シンは家に帰ってから着替えていないことを思い出した。サイズは何故か今の身体に合うように小さくなってる、異世界に来て早々に驚かされた。女神が教えなかった事と納得する。この異世界には魔物がいることを思い出したシンはすぐに行動した。ここは森の中魔物がいてもおかしくない、武器も防具も持っていない、あるのは『無限成長』のスキル。戦闘に使えるスキルではない為今は魔物に会わないことが一番大事だ。前にある道を進んで行けば人がいる所まで行けるだろうと予想し道を目指した。
道の近くまで行くと足音と何か動いてる音が聴こえた。シンは隠れて音のする方向を見る。道の奥には馬車が近付いているように見える。ある程度馬車が近づくと人がいることも確認できた
「よし、あの馬車について行けば何とかなりそうだ」
シンは馬車の後ろをついていくつもりだった。馬車が近付いてくると中にいた人が降りた見た目は武器に防具を付けているので用心棒かと予想する。その人物がこちらをじっと見ている、シンの頬に汗が流れた、馬車を確認できたときにはかなり距離があった、近付いてきてもおかしな行動はしていないのでこちらには気付いてないはず……そんな期待は儚く散る
「そこにいるモノ! 姿を出せば危害は加えん!」
シンは素直に出ることにした。相手は危害を加えないと言っている、何も知らない何も持ってないシンにとってはその言葉を信じるしかない
「子供?」
シンを見て更に観察を強める、シンは汗だくになっていた、心臓は高鳴り足は震えた。それ程睨み付けているのだ
「おお! すまんすまん! 魔物が化けているのかと警戒してな
怖がらせてしまった! ははは!」
「怖かった……」
目の前の男が敵で無いと思い安心した、シンは腰が抜けたのか座り込む。男が立たせて
「俺の名はギーリック、お前さんは?」
目の前の男はギーリックと名乗った。ギーリックの見た目は、赤色のオールバックで、ヒゲは鼻下と顎からもみあげまで生えている。ヒゲを剃れば爽やかな顔立ちになるだろう。背は2メートルくらいで筋肉質で腕や脚は太い
「お……俺は神崎シンです」
シンが名乗るとギーリックは不思議そうな顔をした
「カンザキシンか、名前にしてはストンと入って来ないな」
「シンが名前で神崎が苗字です」
シンがそう教えるとギーリックは驚いた顔をした
「名字? 家名のことか! 家名があるってことはお前さん貴族だな着ている服も質が良い!」
「ギーリックさん俺は貴族じゃないですよ」
ギーリックはそれを聞いて何かを察したようだ。そのことについてこれ以上関わることはしなかった
「シンこんな所にいたら危ねぇから俺と一緒に町に行こうぜ」
「いいんですか!」
「おうよ」
俺は馬車の中で情報を手に入れた。ギーリックさんは冒険者で、この馬車を町まで護衛するクエスト中でここら辺は強い魔物が出るから危険だということ。俺が森にいて生きていたのは奇跡らしい、ギーリックさんにある提案をされた
「シン、お前さん冒険者になってみないか? 身寄りがないなら働くしかない、危険は付き纏うが意外と楽しいぞ!」
誘われて思い出す、俺はスキルを持ってここに来たことを冒険者がスキルを活かすのに最適だと思い快く返事した。街に着いたら冒険者登録する前にギルドにある訓練所で俺がどこまでやれるか見たいらしい……何か不安になってきた
――
「ギーリックさん護衛ありがとうね!」
「おうよ」
街に着くとギーリックさんは依頼主にお礼を言われていた。街の入口には大きい門があり、街の出入りは厳重に行われていた。街の中は人で賑わっている、入口から真っ直ぐ行く道は市場のようだ、美味しそうな果実に色鮮やかな野菜が店に並んでいるのが見える
「シン、こっちだ」
ギーリックさんに付いていくため右の道に入る。市場に比べて人は減ったが、みんなギーリックのように
武器と防具を身に着けている、冒険者だろう。店は武器屋に防具屋、道具屋に酒場がある、シンは異世界に来たことに実感がわいた。奥にある大きな建物、あれがギルドだろうギーリックさんと一緒に中に入った
「クエストの報告に行って来るからちょっと待っててくれ」
俺が頷くとギーリックさんはクエスト報告に向かったギルドの内装はゲームでよく見るような構造だった。クエストが張り付けてある大きい看板その隣にギルド受付がある、少し離れたところでは机とイスがあり、冒険者たちが談笑している。俺は胸を躍らせる、これから俺は冒険者になって冒険者ライフを満喫する未来を想像する
「シン、待たせたな訓練所にいくぞ」
訓練所に着くとゼリーみたいにプルプルしてて半透明な水色の何かを肩に乗せている男がいる、RPGではよく見るスライムだろう。ギーリックが肩にスライムを乗せた男に近付き話している、少し話すと俺が呼ばれた
「シン! これからモンスターマスターのガイアさんのスライムと戦ってもらう。ほら武器と防具だ」
俺は少し短く細い木刀と木の盾を渡された、もったとき凄く重く感じた。この重さでは木刀を持つのが限界と判断した。ガイアさんに「よろしくお願いします!」と言い木刀を両手で持った。重い、木刀だけなのに両手で持っているのにそう感じる。スライムはやる気のようだ。「スラ!」とスライムが鳴き物凄い速さで近付いてきた。気が付くと俺は全身に痛みを感じベッドにいた