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196話 ☆?『拠点設営団』⑫(連戦)

 ゾンビとなった魔物たちは一斉に襲ってくる。冒険者たちは懸命に相手をしているが、数が多すぎてダメージを避けられない。


 俺も目の前にいるゴブリンのゾンビと戦っている間に、後ろから別のゴブリンのゾンビに襲われる。



「うわぁぁぁ! くっ……はぁ!」


「ゴブァァァ…………」


「はぁはぁ……おかしい。こいつらゾンビになっているはずなのに動きが速すぎる」



 ゾンビになれば動きは遅くなるはずなのに、ここにいるゾンビたちは動きが速い。それに、物理攻撃は効きにくいせいで、剣で切ってもゾンビは起き上がり攻撃を仕掛けてくる。



「みんな……どいて、私が……やる!」



 コカが魔力を高め始める。俺たちはコカのそばから離れながら、コカの後ろから近づこうとするゾンビを倒して、起き上がってこないように武器を押し付けて起き上がれないようにする。



「『ガル・ドン・ファイア』!」



 十数体のゾンビたちは炎で包まれて、肉体が灰に変わっていく。その光景を眺めていると、ソラが前に出ていく。



「風魔法を使える人はあの炎に向かって撃って! 『ドン・トルネード』!」



 ソラがコカの『ガル・ドン・ファイア』に風魔法を当てると、ソラの『ドン・トルネード』にもコカの火属性魔法が混ざり、炎の竜巻となりゾンビたちに襲い掛かる。


 風魔法を使える冒険者はそれを見て、炎に向かって風魔法を当てながら、その延長線上にいるゾンビに魔法を当てていく。



「スラァ……」「ゴブァ……」「ガウァ……」



 次々にゾンビたちは燃えて、体の一部を灰にしていく。しかし、コカの炎も、みんなが風魔法を当てることで徐々に小さくなっていった。


 だが、炎が無くなったのならば足せばいい。コカは2発目の『ガル・ドン・ファイア』を、今度は水側にいるゾンビたちに向かって放つ。


 シザークラブのゾンビたちは苦しそうにしながらも、こちらに向かってくる。風魔法を使える冒険者は炎に向かって魔法を放つ。



「『ドン・ウィンド』!」「『トルネード』!」



 俺も風魔法が使えるので加勢する。



「『ウィンド』!」



 炎の風の刃や竜巻が、シザークラブの後ろにいるミズクラゲやキクラゲのザンビにもダメージを与えていった。


 しかし、コカの『ガル・ドン・ファイア』ではゾンビは灰になっていくが、風魔法ではゾンビたちの体の一部しか灰にできていなかった。


 それでも冒険者たちは魔法を放ち続ける。



「『ドン・ウィンド』! くっ……もう魔力が……」


「俺も、もう撃てねぇ……」



 魔力切れを起こした冒険者が次々と出始めるが、ゾンビの数は確実に減っていた。


 炎も弱まり、水側への道ができたことで、カイトが水の所まで走って向かう。1人で向かったことで、ゾンビたちはカイトにヘイトを向けて攻撃を仕掛ける。


 カイトは腕ごと短剣を水に入れると、魔力を高め始めて、短剣に水を纏わせて大剣のような大きさになる。



「『ウォーターブレード』」



 カイトが短剣を振るとゾンビたちは弾かれ、『ウォーターブレード』の当たったゾンビの一部が灰に変わる。



「属性の付いた武器なら復活することはなさそうだよ」



 カイトはゾンビたちを切りつけて灰に変えていった。






 こうして俺たちはゾンビを倒していったが、冒険者のほとんどは魔力も加護も無くなり、戦うことができなくなっていた。


 今も戦える余力を残しているのは、俺とハクとユカリ、リクとカイトとソラ、ザイゲンとイラミとコカ。そして、出口付近にいるアオと、アオに回復魔法で加護を回復してもらっていた冒険者だけだ。



「これで最後だ!」



 最後のゾンビを灰に変えて、洞窟内の魔物を倒し終えた。



「戦力はかなり減ったけど……あとはベルゼだけだっ!」



 みんな疲弊しながらも、ベルゼに向ける敵意は衰えていない。そんな俺たちを見てベルゼは笑った。



「これで倒せると思ったんですけどね、あなたたちの活躍は予想外でした。だからこそ可哀想に」



 ベルゼの体から糸のような魔力が見え始める。それは灰となったゾンビたちに繋がっていた。ベルゼが魔力を高めると、糸のような魔力が大きくなる。


 すると、灰がもぞもぞと動き始めた。



「ま……まさかっ!」



 俺はこれから起こることを想像して灰を見ていた目が泳ぐ。


 灰からは魔物の姿をしたゾンビが現れた。



「2割ほどゾンビ化できませんでしたか。でも、今のあなた体には十分すぎる数のゾンビでしょう」


「「「「「ヴァァ……」」」」」



 今度のゾンビは動きが遅く、ゆっくりこちらに近づいてきた。



「それでは私はここで失礼します。もしまた会えたら、あなたたちの作った拠点で会いましょう」


「ベルゼ、まさか拠点を襲う気か!?」


「私を止めたければ止めに来なさい、そこにいるゾンビを全て倒してね。ふはははっ!」



 ベルゼは小さい蝿に姿を変えると、出口付近にいたアオたちの横を通り過ぎて出て行ってしまった。



「みんな! 拠点の所にっ!」


「ヴァァ……」


「くっ、ゾンビが邪魔で進めない!」



 ゾンビが壁となり、残された俺たちは拠点に向かえなかった。



「アオ! 俺たちの代わりに拠点に向かってくれ! 俺たちじゃ間に合わない、アオたちならゾンビに囲まれてないから拠点に向かえるはずだ!」



 俺はアオに向かって叫んだ。



「っ……うん!」



 アオは俺の言葉を聞いて出口の方を向く、そして、魔法で回復させた冒険者の顔を見る。



「みなさん、僕と一緒に拠点に行きましょう!」


「そうだな、俺たちで勝てるか分からねぇが、俺たちしか行けそうにねぇもんな」


「行くぞ!」


「おー!」



 アオと冒険者たちは拠点に向かって洞窟から出て行った。






「ハク、ユカリ、みんな……ここを切り抜けて、すぐに拠点に行くよ」



 俺たちは残った力を振り絞ってゾンビたちに攻撃を始めるのだった。

ゾンビなのに動きが速すぎるゾンビを相手にしていた。


コカが『ガル・ドン・ファイア』でゾンビを攻撃する。ソラが『ドン・トルネード』をコカの炎に当てて、風魔法に火属性を付与させながらゾンビにダメージを与える。


水側の道が空くと、カイトが1人で水に向かい、『ウォーターブレード』を使ってゾンビを灰に変える。


ゾンビを倒し終わる頃には、シンとハクとユカリ、リクとカイトとソラ、ザイゲンとイラミとコカ。そしてアオと、アオに回復魔法で加護を回復してもらっていた冒険者だけが戦える魔力も加護も残っていて戦える状態だ。


ベルゼは糸のような魔力が灰になったゾンビに繋がっているところが見えた。そして魔力を高めると、灰からゾンビが現れた。


ベルゼはゾンビたちを俺たちに押し付けて、拠点に向かってしまった。出口付近にしたアオと冒険者たちは、ベルゼを追いかけて拠点に向かうのであった。


シンたちを残った力を振り絞ってゾンビに攻撃を始めるのであった。

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