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187話 ☆?『拠点設営団』⑤(食事)

 ギルド職員は空を見上げ太陽の位置を見て、どれくらい時間がたったか確認する。



「みなさん、そろそろ拠点に帰りましょう」


「魔物はどうしますか?」


「そうですね、ベアードはこの人数で持ち帰るのは大変ですし、ウッドォとゴブリンだけ運びましょう。後で我々ギルド職員が馬車を使ってベアードを運んでおきます」



 俺たちは倒したウッドォやゴブリンを大きい袋に詰めて背負い、拠点に戻ることになった。


 アオは移動しながらも、ベアードとの戦闘で加護が傷付いた冒険者に回復魔法をかけている。



「これで加護は完全に治りました!」


「ありがとな。あんたのおかげでダメージも少なかったし、回復までしてもらって助かったぜ」


「これが僕の得意なことですから」



 アオはお礼を言われて嬉しそうにしていた。



「んじゃ、これは俺からのお礼だ」



 冒険者はアオが背負っていた魔物の入った袋を代わりに持ち始めた。



「わわわっ! そんなことしなくても大丈夫ですよ」


「遠慮しなくていい、俺がこれをやりたいと思ったんだ」


「うぅ……どうしようシンくん」


「行為に甘えれば良いと思うよ」


「うぅ……じゃあ、拠点までよろしくお願いします」


「任せとけ!」



 アオは冒険者に頭を下げると、冒険者は笑顔で返事をするのであった。






 拠点に戻ると、俺たちが最後に戻ってきたようで、先に戻ってきていた冒険者たちが地面に座って食事をしていた。



「んじゃ俺たちはこの魔物を届けてくる、あんたたちは飯でも食ってきな!」


「助かります」



 冒険者たちは俺とアオを残して行ってしまった。


 拠点には1人で食べる人もいれば、仲の良い人同士で食べている人もいた。みんな器を持ち、中身のスープを美味しそうに飲んでいた。その中にユカリがいて目が合った。



「シンくんがやっと帰ってきましたわ!」



 ユカリが俺とアオに手を振っている。ザイゲンにイラミにコカ、リクにカイトにソラ、そしてハクと、これだけで1つのグループが作れそうな人数が一緒に食事をしていた。


 ここに俺とアオが加われば、さっき一緒にグループを組んでいた人数より多くなる。



「ところで、食事ってどこで配っているの? どこにも見当たらないんだけど」



 これだけの冒険者に食事が配られているのに、周りを見渡しても料理器具などが見当たらなかった。



「食事ならあそこの食堂でもらえるぜ、ほらあそこ!」



 リクが建物の方に顔を向けるので、俺もその方向を見る。そこに食べ終わった器を持った冒険者が入っていくのが見えた。



「あそこでもらえるんだね、じゃあ俺とアオは食事をもらってくるよ」



 そう言って俺はアオを連れて、その食堂に入っていく。


 中にはテーブルやイスが用意されていて、そこで職人たちが食事をしていた。ただ、座れる席がまだ少ないからか、床に座って食べているギルド職員や職人や冒険者もいる。そしてその中には見覚えのあるバンダナと灰色の前髪を出している人がいた。



「クリエートじゃないか! なんでこんなところにいるの?」


「あ、シンだ!」



 クリエートは咥えたパンをスープで胃に流し込むと俺の名を呼び、空になった器を持ちながら立ち上がるとこちらに寄ってきた。



「ここに拠点を作るということで、鍛冶職人が1人は欲しいってことになってね! ほら、僕以外の鍛冶職人はみんな忙しくてアルンから離れられないってシンは知っているでしょ?そういうことで、僕がこの拠点の鍛冶職人になれたんだよ!」


「そうなんだね、おめでとう!」


「まあまだ僕の鍛冶屋は建てられていないけどね」



 クリエートは笑いながらそう言った、そして俺の剣と靴を見る。



「僕の作った剣と靴、ちゃんと使ってくれているんだね」


「ああ、凄く強くて助かっているよ」


「それは良かった! でも刃がどうなっているか見せてもらうよ」



 クリエートは俺のファングソードを鞘から少し抜いて、屈みながら刃の一部を見る。



「うーん、刃が痛んできているね。これじゃあ攻撃力が落ちちゃうよ。僕が研ぎ直すから後でまた来て!」



 クリエートはニコニコしながらファングソードを鞘に戻して立ち上がる。俺には痛んでいるようには見えないが、鍛冶職人のクリエートがそう言うのだから痛んでいるのであろう。



「あ、ここにいるとみんなの邪魔になっちゃうから用事を済ませちゃおうか。僕は器を片付けに行くけど、シンと……えっと初めて会うよね? 僕はクリエートって言うんだ、よろしく!」


「僕はアオって言います。よろしくねクリエートちゃん」


「アオとの自己紹介で話が脱線しちゃったけど、シンとアオは食事を受け取りに行ってね」



 こうして俺とアオは料理を配っている料理人からスープの入った器とパンを渡されて、クリエートは食べ終わって空になった器が置かれている場所に、自分の使った器を置いた。



「ごちそうさまでした、美味しかったです!」


「「「あいよー!」」」



 料理人たちは嬉しそうに声を上げ、自分たちの作業に戻っていく。料理人は料理の作業から一旦離れて、溜まった器を一気に運び、どこからか出てくる水を使って洗剤で汚れを取っていった。


 俺たちは外に出ると、クリエートは口元にバンダナを付け、目と前髪の一部以外は顔を隠した。



「シンとアオはどこで食べるの?」


「あそこで集まっている冒険者たちと一緒に食べるよ!」


「僕たちの仲間だから、クリエートちゃんも一緒にお話しようよ」


「うん、そうだね! 僕もみんなと仲良くなって、いっぱいみんなの装備作りたい!」



 クリエートは目を輝かせているみたいなので、俺たちはみんなと合流して食事をすることにした。


 俺たちが付いたころには、みんな食べ終わっていたけれど、クリエートがみんなと武器や防具について話していたりして楽しそうだった。


 そして驚くことに、クリエートはバンダナでほとんど顔を隠しているのに、ユカリやイラミやコカなどの女性たちからは女の子だと気が付かれていた。


 カイトとソラとハクは何となくクリエートは女の子っぽいと思われていて、ザイゲンとリクは、バンダナを外すまでクリエートが女の子だと気が付かなかった。






 そうして楽しい時間が過ぎていくと、拠点主任から次の指示が出される。



「それでは食事の時間はここまでにします。次は洞窟内に明かりを設置してきてください」



 冒険者たちの和やかな雰囲気は落ち着き、真面目な顔になる。俺たちもその場から立ち上がり、次の作業の準備をするのであった。

ベアードは後でギルド職員が回収に向かうため、ウッドォとゴブリンは袋に詰めて持ち帰る。


拠点に帰るとザイゲンたちとリクたちとユカリたちが一緒に食事をしていた。俺とアオは食堂で食事をもらいに向かう。


食堂にはクリエートがいて、クリエートも俺たちと混ざって楽しんだ。


食事の時間が終わると、次は洞窟内に明かりを設置する作業が始まるようだ。

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