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183話 ☆?『拠点設営団』①(大移動)

 俺が寝ていると扉がノックされ、扉越しにハクの声が聞こえて目が覚めた。



「……おいシン、起きているか?」


「ふぁぁ……ん? その声はハクだね、今起きたところ。どうしたのこんな朝から」



 俺はあくびをすると、まだ開いていない目を手で擦りながら起き上がる。


 ベッドから降り扉を開けると、ハクだけじゃなくアオやユカリ、そしてギルド職員もいた。



「何かあったの?」


「……ギルドは朝から動ける冒険者を集めているらしい。シンは来れるだろ?」


「うん、いけるけど」


「……なら良かった。俺たちは外で待っているから、装備を整えてきてくれ」



 ハクはそう言うと扉を閉めた。みんなの足音が遠くなっていくのを扉越しに感じると、俺は急いで装備とアイテムを整えていく。その数分の間に、寝ぼけていた意識が覚醒し始めて、しっかりと目覚めた状態になった。






 準備を終えた俺は外に出ると、ギラギラとした暑い日差しと光が俺の目に差し込んでくる。手で影を作り、今は光に目を慣れさせているところだ。


 ハクたちは建物の影になっている所で待っていて、俺が外に出てきたのを知ると、近くに寄って来る。



「それじゃあ冒険者のみなさん行きましょうか」



 ギルド職員が俺らを先導してギルドに向かって行く。ハクとアオとユカリはその後を付いて行っているので、俺も一緒に付いて行く。



「あのーギルド職員さん、なんで冒険者を集めているんですか?」


「実は昨日、魔王軍の拠点調査に向かった上位冒険者の調査結果で、魔王軍の拠点に繋がっていそうな道を発見したそうなんです」


「ついに見つけたんですか!?」



 俺は大きな声を出して驚く。ハクたちも声には出していないが、驚いた表情をしたり、手で口を押さえていたりしている。


 そんな俺らを気にしないでギルド職員は淡々説明をしていった。



「まだ可能性の話です。本当に魔王軍の拠点に繋がっているかどうかは分かりません。ですが、上位冒険者の話によると、道中を守る魔物の強さが高く、もし拠点に繋がる道ではないのなら不自然とのことです」


「……それで、俺たちを集めてギルドは何をしたいんだ?」


「そうですわ。上位冒険者でも強いと思わせる魔物相手じゃ、私たちがいても足手まといですわ」


「僕なら支援魔法で役に立てそうだけど、活躍は出来そうにないよ」



 ハク、ユカリ、アオは自分思っていることを話す。



「いえ、みなさんにやっていただくことは、その魔物と戦う事ではありません。上位冒険者が戦線維持をできるようにするための拠点作りです」


「キッタ村近くに作られていたギルドの防衛拠点と似たものを、他の場所にも作るってことですね」


「ええ、ですが今回作るのは防衛するための拠点ではなく、攻めるための拠点。私たちは今まで後手に回っていましたが、今度はこちらが仕掛ける番ということです。おっと、話している間にギルドに着いたようですね。中に入りましょう」



 ギルドの扉を開けると、数十人の冒険者がこちらをチラッと見ると視線を外して、2階にいるドラコニスの方を見る。


 俺らをここまで案内したギルド職員は、ドラコニスに耳打ちをする。ドラコニスは頷きながらギルド職員にお礼を言い、持ち場に戻るように伝えていた。


 そしてドラコニスは真剣な表情で俺たちを見る。



「冒険者のみなさん、今日は急な呼び出しに駆けつけていただきありがとうございます。昨夜、新たな魔王軍の情報を入手いたしまして、早急に事を運ぶ必要になりました。みなさんにはこれから南東にある洞窟の入口周辺に拠点を作るための資材運び、設営中の護衛、周辺に住む魔物の討伐のクエストを受けてもらいます。また、やることが多いので1日では終わらない可能性が高いことはお伝えしておきます」



 冒険者たちはザワザワと騒ぎ始めるが、ドラコニスやギルド職員は騒ぎが収まるまで何もしないで待つ。次第に騒ぎ始めるものは減り、再びドラコニスに注目が集まった。



「クエストの内容が複雑化していますので難易度も報酬も決まっていません、クエスト名は、そうですね……『拠点設営団』にいたしましょう。拠点が完成次第報酬を用意しますのでよろしくお願いいたします。では、拠点の管理を任せたギルド職員が街の外で馬車と一緒に待機しているはずなので、その方の指示を聞くようにお願いします。みなさんクエスト頑張ってください」


「「「「「おぉぉぉぉ!!!!!」」」」」



 冒険者の声がギルド内に響き、その振動で身体が震える。これにより冒険者の士気は高まり、みんなやる気に満ちていた。






 俺たちはギルドからぞろぞろと出ていくと、街の外へ向かって行った。そこにはドラコニスが言っていたように、ギルド職員と数台の馬車が待機していた。



「みなさんが今回の拠点設営に参加してくれる冒険者さんたちですね。人数は……大体50人といったところでしょうか。では馬車に2人ずつ乗ってください」


「あれ? 2人ずつだと今ある馬車じゃ足りないですよね」


「まだ資材を積み終えていない馬車がありまして、それが到着次第冒険者さんたちには乗ってもらいます。誰から乗りますか?」


「俺から乗らせてくれ」「じゃあ俺も」



 名乗り出たのは名前も知らない冒険者だ。そんな冒険者が次々に馬車に乗り込んでいく。



「では、先に行っちゃってください」


「はいよー」



 先頭の御者が馬車を動かすと、それについて行く形で他の馬車も動き出した。その馬車たちが見えなくなることに、街から新たな馬車が来て、俺たちの前に止まる。



「はい、それでは先ほどと同じように冒険者さんは馬車に乗り込んでください」



 こうして俺たちは少しずつ馬車に乗り込んでいくと、残った冒険者たちの中にリク、カイト、ソラがいたり、ザイゲン、イラミ、コカもこのクエストに参加していたことが分かった。


 次の馬車が来るまで暇つぶしついでに世間話をしていたら、資材の他に冒険者ではない人たちも馬車に乗り込んで行った。


 どうやら彼らは、目的地で拠点を組み上げる職人のようだ。そんな彼らと一緒に冒険者たちは目的地に向かって移動が始まった。


 そしてとうとう俺たちが馬車に乗る番がやって来た。


 しかし、ここにいる馬車で今向かう馬車は終わりらしい。このまま2人ずつ乗せて走らせると、歩いて向かわなければいけない人が出てくるので、ここからは1つの馬車に冒険者3人で乗り込み、全員が馬車に乗って目的地まで進むのであった。

ハクに起こされて扉を開けると、ハクとアオとユカリとギルド職員の4人いた。


魔王軍の拠点に繋がりそうな道を見つけたが、そこを通るための道に強い魔物がいて厳しいので、拠点を作って上位冒険者が戦線維持できるようにする。


拠点を作るための資材運び、設営中の護衛、周辺に住む魔物の討伐などを含んだ『拠点設営団』というクエストが始まる。またこのクエストは内容が複雑化しているので、1日では終わらない可能性が高いようだ。難易度も報酬も今のところ決まっていない。拠点が完成次第報酬を用意するみたいだ。


大体50人くらいの冒険者と馬車で数人ずつ目的地に向かって行った。


またその冒険者の中に、リク、カイト、ソラ、ザイゲン、イラミ、コカも参加していた。


拠点を組み立てる職人を乗せたりしていて、俺たちも今向かう最後の馬車たちに乗れるように、冒険者3人で乗り込んで進むのであった。

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