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181話 ☆2『火炎草調達』③(火海)

 ファイアーバードは火の球を飛ばしすぎたのか、火の球を飛ばすような動きをしているのに、口からは少し炎が出るだけで、空中で消えてしまっていた。


 狙うなら今がチャンスと思い、俺はファイアーバードに向かって走る。



「はぁぁぁ!」


「クワァ!」


「待て、逃げるな!」



 俺の剣が届く前に、ファイアーバードは空に逃げてしまう。だが、空には陽炎の影響があまりないので、俺は魔法を当てていく。



「『サンダー』!」


「クワァァァ!」



 ファイアーバードは俺の『サンダー』でビリビリと身体を痺れさせているが、まだ高度を維持している。地面に落ちてもらうにはもっとダメージを与える必要があるみたいだ。



「もう一度っ『サンダー』!」


「クワァ」


「くっ……今度は外したか」



 ファイアーバードは飛び方に緩急をつけて、俺の魔法が当たりにくいようにしている。


 俺は魔力を溜めながら狙いを定めていく、狙うところはファイアーバードが飛ぶのを緩めたとき、速度が落ちるので狙いやすく、すぐには加速しない。


 俺はそこを狙って『サンダー』を放ち、ファイアーバードに当たりダメージを与える。徐々にファイアーバードの高度は落ちていくが、まだ地上に落ちるほどではないようだ。



「クワァ!」


「まだ落ちないか」



 ファイアーバードは俺の狙いに気が付いて、緩急をつけないで飛んでいるが、それは俺としても都合が良い。緩急がないなら『サンダー』を当てられる。



「『サンダー』!」



 ファイアーバードの正面から『サンダー』が当たりそうになると、ファイアーバードは口を開いて火の球を飛ばしてきた。


 その火の球は俺の『サンダー』を飲み込み、俺に向かって飛んでくる。俺は横に転がり、火の球を避けた。


 後ろ草に火が燃え移り、吸い込む空気が暑くなっていく。



「もう火の球が使えるようになるまで回復したのか」


「クワッ、クワッ、クワァァァ!」



 ファイアーバードは俺の頭上を旋回しながら地面に火の球を飛ばしていく、俺に火の球が飛んでこないので、ファイアーバードに『サンダー』でダメージを与えていく。しかしファイアーバードは『サンダー』を受けていても火の球を飛ばすことを辞めなかった。



「なんだ、いったいファイアーバードは何をしているんだ?」


「クワァ!」



 ファイアーバードはついに俺に火の球を飛ばしてくるようになった。



「そんな避けやすい火の球は当たらないよ」



 俺は火の球を余裕で避けるが、俺のいた場所に着弾した火の球は地面にそのまま燃え続けた。それを見た途端、俺は焦った様子で周り見渡す。


 俺のいる場所は火に囲まれていて逃げ出すことができなくなっていた。



「これが狙いだったのか!?」


「クワァ!」


「くっ!」



 ファイアーバードは空から火の球を次々に飛ばしてくる。俺はそれを避け続けるが、どんどん逃げる場所が火の海になっていった。


 もうこれ以上逃げることはできない。



「クワァ!」



 ファイアーバードは俺に向かって火の球を飛ばしてきた。



「もう避けられない、この場所で防ぐしかない!」



『ウォーター』も『サンダー』もファイアーバードの火の球を防ぐことはできない、だったら、今まで一番多く使ってきた魔法をぶつけて防ぐ。



「『スマッシュ』!」



 火の球と魔力の塊がぶつかり合う。火の球と『スマッシュ』はお互いに消滅して防ぐことができた。しかしそれはいつまでも持つわけじゃない。周りの火が俺に迫って来ていた。


 俺は地面を蹴り、火に土をかけることで火の進みを遅くする。それを見て俺はこの場所から脱出する方法を思いついた。



「『アース』!」



 俺は周りの火に土をかけて鎮火していく。これで『アース』を使った部分だけ火が消えた。



「クワァァァ!」


「『スマッシュ』!」



 ファイアーバードは火の球を飛ばして邪魔をしてくるので『スマッシュ』で防ぎつつ、道を作っていった。


 そして、何とか火の外に出ることができたが、かなりの魔力を消費してしまい、ファイアーバードとこれ以上戦闘するのは困難と判断した。






 俺は、まだ燃えていない草に身を隠してファイアーバードに見つからないようにする。



「クワァ、クワァ!」



 ファイアーバードは俺が逃げた場所に火の球を飛ばすが、俺はそこから移動して別の場所にいるので、火の球は当たらない。


 ファイアーバードは空を飛び回り俺を探しているが、背の高い草のおかげで、屈んで様子を見ている俺を発見できないようだ。


 やがて俺を探すことを諦めたファイアーバードは、どこかへ飛んで行ってしまい見えなくなった。


 ファイアーバードが火の球を飛ばしてできた火の海は、いつの間にか鎮火していて、地面には草の燃えカスが風で待っていた。






「…………ふぅ、何とか生き残れた。結構良いところまで行ったと思ったけど、倒せなかったなぁ。空を飛ぶ魔物に対抗する手段が少なかったせいだよね? 水魔法が弱くならなければなぁ……」



 アッチッチ平原の特殊な環境を知っていれば、何か対策を考えていたが、クーラーポーションだけしか対策を用意していなかったことが悔やまれる。



「考えてもしょうがないし、俺の目的は火炎草の調達だから、早く火炎草採って街に帰ろう。その前に水分補給」



 俺は袋から水を取り出して飲んだ。



「熱っ! 水がお湯になっている!?」



 どうやらファイアーバードとの戦闘で暑い空間にいすぎたせいで、持ってきていた水が全てお湯に変わってしまったようだ。



「これクーラーポーション飲んでなかったら俺の身体でも同じことが起きていたってことだよね……」



 寒くはないのに身体が一瞬震え、顔から変な汗が出てきた。


 俺は汗を布で拭くと、気合いを入れ直して火炎草探しを始める。



「火炎草はまだ1つしか採っていないんだ、あと19つ火炎草を頑張って採るぞ!」



 またファイアーバードに見つかっても困るので、屈みながら草むらの中を移動していった。

ファイアーバードは火の球を飛ばせなくなったので、剣で切りかかろうとすると空に逃げられてしまう。


俺は魔法で空にいるファイアーバードを攻撃していたが、緩急をつけられて避けられる。


ファイアーバードと戦っているうちに、火の球が再び使えるようになって、ファイアーバードは俺の周りに火の球を飛ばした。しかしそれはファイアーバードの狙いで、俺が避けられる場所を減らす作戦だった。


追い詰められた俺は『スマッシュ』で火の球を防ぐが、いつまでも持たないので『アース』を使って火に土をかけ道を作り、脱出を試みる。


何とか草に隠れることができ、ファイアーバードが俺を見つけられなくて何処かへ行った。


持ってきた水は全てお湯に変わるほど暑い場所にいた。


ファイアーバードに見つからないように、草むらの中を屈みながら移動する。


採った火炎草は1つで、残りは19つ。

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