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179話 ☆2『火炎草調達』①(猛暑)

 目を覚ますと窓から光が差し込んでくる。今日は昨日よりも暑く、まるで猛暑日のようだと感じた。干していた服を触ると、完全に乾いているようだった。


 装備を整え朝食を取り、ギルドへ向かう途中でヤミィと出会う。



「あっ、ヤミィさんおはようございます!」


「お前は訓練所にいた……名前は確か…………」



 ヤミィは俺の前まで来ると足を止め、俺の名前を思い出そうとするが、なかなか出てこないようだ。



「シンです!」


「そうだシンだ、あとは俺に任せろ」


「え? それはどういう意味……」



 ヤミィは俺の横を通り過ぎ、街の外に向かって消えてしまった。


 ヤミィは上位冒険者で忙しいだろうということで、あとを追うようなことをしないで、俺はギルドに向かうのだった。






 ギルドに着くと、ナーゲやダイケンがギルドから出てきた。ナーゲたちは俺を見つけると話しかけてくる。



「ようシン、最近はよく会うな」


「ミーナミ村で会った少年のシンだな!」


「ナーゲさんにダイケンさんおはようございます! もしかしてまた魔王軍の拠点を探しに行く感じですか?」


「そうだな、各地で調査をした冒険者やギルド職員が集めた情報を元に、俺たちが詳しく確認するってところだ。俺は西方面でダイケンは北西方面になった」


「本当はシンの調べた所に行きたかったんだが、別の冒険者が先に行っちまったみたいだな」


「まあ、これで魔王軍の拠点は見つかるだろう。それじゃあ俺たちはクエストに行ってくる。シンもクエスト頑張れよ」


「はい!」



 ナーゲとダイケンはクエストに向かってしまった。


 俺はギルドの中に入り、クエストを掲示板から探す。討伐クエストの場所にはクエストの紙が貼られていなかったので、今日も調達クエストや調査クエストなどの場所からクエストを探す。



「このクエストでも受けてみるか」



 俺は調達のクエストが貼られている所から1枚のクエストの紙を剥がすと、ハンナの所に持っていった。



「ハンナさんおはようございます。このクエストお願いします」


「シンさんおはようございます。このクエストですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)2『火炎草調達』


 クリア条件:火炎草を20つ以上納品


 報酬金:400(ゴールド) 1200GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)2から(ほし)3冒険者1人


 ~依頼内容~


 熱い場所に生えている火炎草を20つ以上採取して、ギルドまで納品。


 熱さやられに注意。


 ――


「このような内容ですが、クエストを受けますか?」


「はい、受けます」


「それではクエストを受注します。シンさんは火炎草調達のクエストは初めてですよね? でしたら熱さ対策にクーラーポーションを買っておいた方が良いですね。火炎草は熱い所に咲く草です。熱さ対策をしていないと、体力がどんどん奪われてしまいます!」


「そうなんですね! クーラーポーションを使うとどうなるんですか?」


「クーラーポーションを使うと、全身が冷やされて熱耐性のパッシブが付きます。これで熱さやられに苦しめられることは無くなります!」


「分かりました、早速道具屋で買ってこようと思います! ハンナさんありがとうございます」


「いえいえ、私たちは冒険者みなさんの味方ですから。シンさん、クエスト頑張ってくださいね」


「頑張ります!」



 俺はハンナと別れると、そのまま隣の道具屋に向かいクーラーポーションを探す。どこにあるのか1つずつ調べていると、足音もなく背後から店員が話しかけてきた。



「話は聞いていましたよ、クーラーポーションに興味があるんですね」


「おわっ、ビックリした! 店員さんがいるときに俺が買い物をしようとするといつも驚かせてきますよね、ビックリするじゃないですか!」


「私のように名も言わぬ店員を覚えてくださり嬉しく存じます」


「そりゃ何度もやられれば覚えますよ……」


「早速ですが、こちらがお客様のご希望の品のクーラーポーションでございます」


「切り替えるのが早いですね! ん、これがクーラーポーションか」



 店員が手に持っている白色の液体が入ったビンがクーラーポーションのようだ。



「こちらの品は、冷凍草を材料にすることで出来上がるポーションです。これを飲めば、あつ~い場所でも普段通りの過ごすことができる優れもの。お値段は1つ100GP(ギルドポイント)です」


「クエストで使うので1つ買います!」


「お買い上げありがとうございます!」



 こうして俺はクーラーポーションを1つ購入した。



「今後も何か必要なものがあれば、ぜひ私の道具屋をご利用してください」



 こうして俺は準備を整えて街の外に行き、火炎草のある場所まで向かった。






 ■






 俺は北東に向かって歩いている。理由は火炎草が採取できる場所がその方角にあるからだ。


 街から出て北に向かって行くと雷の魔法石を作る時にクエストで向かったアルガル山があるが、その東側に俺の目的でもある平原がある。


 その平原の名前はアッチッチ平原。


 熱を溜めやすい平原らしく、夜でも冬でも他に比べて温かいようだ。しかしそれは言い換えると、昼や夏は地獄という事。


 普通の草原の道ですらこの暑さだ、アッチッチ平原ではどれくらいの温度になっているのだろうか?


 そうやって新たな体験の期待感と不安を抱えながら、向かって行くのだった。だが、その道中で魔物と遭遇しないなんてことはない。



「スラ……」



 スライムが木の陰で休んでいるところを見つける。俺は身を屈めてそっと近づき、スライムに攻撃を仕掛けて倒し経験値を得る。



「ふぅ……スライムを倒しただけなのに汗が凄いよ」



 俺は袋から布を取り出し汗を拭いて、水分補給をする。今日は暑いので、ポーションを入れるビンに水を入れてきていた。


 入っていたビンの水を飲み干したが、まだまだ暑かった。



「『ウォーター』!」



 俺は手の平に『ウォーター』を出すと、それを軽く上に飛ばして、自分の頭で受け止めた。俺の身体は『ウォーター』でびしょびしょに濡れてしまったが、涼しく感じるようになった。



「服が濡れちゃったけど、これだけ熱いなら移動中に乾くよね?」



 俺は濡れた服のままアッチッチ平原に向かうのであった。

ヤミィとは街中で会い、ナーゲとダイケンは冒険者やギルド職員の調査報告を元に、魔王軍の拠点の場所を探すようだ。


『火炎草調達』のクエストを受注する。


熱さやられ対策にクーラーポーションを道具屋で買った。


向かう場所はアッチッチ平原で、その道中にスライムと戦闘。戦闘後には汗をかき、ポーションの代わりに入れていた水を飲み、『ウォーター』を使って自分の身体を濡らして涼んだ。


濡れた服のままアッチッチ平原に向かった。



アイテムの紹介


・『火炎草』


食べると口から火が出るらしい草、主に身体を温めるアイテムの材料。

熱い所に多く生えている。


・『冷凍草』


食べると口から冷たい息が出るらしい草、主に身体を冷やすアイテムの材料。

寒い所に多く生えている。


・『クーラーポーション』


白色の液体が入ったポーション。


飲むと全身が冷やされて、熱い場所でも普段通りに過ごすことができ、熱耐性のパッシブも付く。


材料には『冷凍草』が使われている。



地名の紹介


・アッチッチ平原


アルン国が所有する平原の1つ。アルン国から北東の場所にあり、熱を溜めやすい平原らしく、夜でも冬でも他に比べて温かいが、昼や夏は地獄のような暑さがある。

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