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169話 2回目の☆2『薬草調達』⑦(纏う)

 村長の家の扉がノックされると、兵士が入って来た。



「2人が乗って来た馬車は馬小屋に置いてきました。御者は宿にいますので、帰る時は宿に寄ってください……あれ村長、顔色悪いですよ。何か良くないことでもありましたか」


「それが……」


「村長、ここは俺たちに説明させてくれ」



 ナーゲは村長にそう言うと、後から来た兵士に、魔王軍の拠点がこのミーナミ村周辺にあるかも知れないと伝える。






「そんな……いや、確かに魔王軍の拠点が周辺にあるからこそ、最近魔物が多い事にも説明が付きます。問題はそれがどこにあるかが……」


「ミーナミ村の兵士をやっているあんたが分からないって事があるのか?」



 ダイケンはそう聞くが、兵士は首を横に振った。



「すみません、魔物が多くなってから、森に行く機会が減ってしまって」


「そうか、これは俺とナーゲの2人で虱潰しに探すことになりそうだな」


「この広い森を虱潰しだぁ? 手掛かりなしで本当にあるかどうかも分からない魔王軍の拠点を探すのはきついぞ」



 ナーゲはため息を吐きながら、帽子を摘み、顔を隠す。


 すると兵士は、俺の持っていた袋に変な魔石が入っていたことを見せたのか聞いてくる。



「そういえば君は、あの魔石を村長に見せたのかい?」


「まだです、これですね」



 俺は袋から魔石のような物を取り出し、机の上に置いた。



「これがさっき村長に見せようと思っていた気になる物です」


「ふむ」



 村長が調べると、睨むように目を細めて見ていた。



「魔石にしては放出される魔素が多いのが変わったところですね」


「んん……これはっ……魔素の核の欠片じゃないか!」


「「「何!?」」」



 俺とナーゲとダイケンは驚いて声を漏らす。



「これをどこで?」


「薬草採取中に袋に入っていました。その時に池の中に入ってしまい、袋の中に水が入り水抜きをしていると、水と一緒にそれが出てきました」


「なるほど……確か池周辺の薬草を採って来たんだったよな」


「はい」


「通りで薬草からスーパーポーションができるわけだ、あの辺りの魔素が多くなり薬草の質が上がっていたのか」



 村長は腕組みをしながら、うんうんと頷き納得しているようだった。



「ってことはだ、その池周辺を探せば何かしらの手掛かりになりそうな物が見つかるってことだな」


「村長、俺とナーゲはその池周辺の探索をしてくる。シンは池までの案内をしてくれ、そしたらもう帰っていい」


「え!? 俺も探したほうが良いんじゃないですか?」


「相手が魔王軍だと、シンは足手まといになる。森にはベアードやドン・ゴブリンがいたんだろ? 1人で倒せないうちは、無理に足を突っ込まないことだ」


「分かりました、池まで案内したらすぐに帰ります」


「それじゃあ村長、行って来る」


「ああ、良い結果を期待して待っているぞ」



 こうして、俺とナーゲとダイケンの3人で池まで向かった。






 ■






「ここがシンの言っていた池か、確かに魔素を強く感じる。俺はあっちを探索していく、ナーゲは向こうを探索してくれ」


「りょーかい。んじゃシン、お前の仕事はここまでだ。ここから先は俺たちが何とかする。気を付けて帰れよ」


「おう! シンお疲れさん」


「ナーゲさんとダイケンさんも気を付けてくださいね。では」



 俺はそう言って2人と別れて帰ろうとすると、魔物の咆哮が聞こえてきた。



「グルァァァ!」



 口元を血で染めた、青い色の熊がそこにいた。ダイケンは自分の大剣を片手で構えながら、俺とナーゲの前に出る。



「ベアードだ! まだ他にもいたのか!」


「強個体のベアードか、口元に血もついている。この周辺にいた魔物を食べて強くなっていることは確実だ。傷を負った後もあることから、近しい実力の魔物と争ったか」


「そういえばここの場所にドン・ゴブリンがいたんですけど、何者かと争った痕跡がありました」


「となると、あのベアードがドン・ゴブリンと戦ったと考えるのが自然だな」


「グルゥゥゥ……グルァ!」



 ベアードが襲い掛かって来るが、ナーゲとダイケンに焦りはない。


 ダイケンは、自分の大剣に魔力を流し始める。みるみるうちに、大剣に魔力が纏わりついた。


 ベアードは爪で攻撃してくるが、ダイケンがベアードの前足に切り上げると、ベアードの前足が宙を舞った。そしてそのままベアードの肩から脇腹に向かって大剣を振り下ろす。



「グルァ……」



 ドサッと倒れたベアードは動かなくなり、血を流し続けていると、経験値を吐き出した。



「あんなに簡単に強個体のベアードが……」


「おっ! 今まで最低でも三撃かかっていたベアードが二撃で倒せるようになったか! いやぁ強くなったなぁ」



 ダイケンが喜んでいる中、ナーゲが俺の隣に来る。



「これで帰り道はだいぶ安全になったはずだ、また会おうぜ」


「はい!」



 俺は2人に手を振りながら別れると、2人も片手を上げて見送ってくれた。そしてミーナミ村に一旦戻り、兵士や村長に帰ることを伝えてからアルンに帰る。






 ■■






 俺は無事にアルンに着くことができた。ギルドに向かいクエストクリアの報告にいく。


 ギルドに着くとハンナさんに、村長から渡されたクエストクリアした証明書を渡した。



「クエストお疲れ様でした。こちらが報酬金となります」



 俺は200(ゴールド)入った袋を受け取り、ギルドカードには700GP(ギルドポイント)が追加された。


 村長からの特別報酬と追加クエスト合わせると、合計800(ゴールド)と700GP(ギルドポイント)、そしてスーパーポーションだ。


 ギルドから出て、自分の部屋に帰ると疲れていたからか、明日の準備をした後はすぐに眠ることができた。

袋に入っていた魔石は、魔素の核の欠片だった。


ナーゲとダイケンを池まで案内した。


ダイケンが魔力を纏わせた武器で、強個体のベアードを二撃で倒した。

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