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168話 2回目の☆2『薬草調達』⑥(欠片)

 静かに水面から顔を出し、周りに魔物がいないか警戒をする。ドン・ゴブリンは戻ってきていないことを確認して、池から出た。


 俺は池から離れて草むらに身を潜める。池の中にはたくさんのミズクラゲがいたので、池の近くにいると、触手に捕まって引きずり込まれることを警戒した。


 呼吸を整えながら池を見るが、ミズクラゲや俺と一緒に池に入っていたゴブリンたちも出てくることはなかった。



「池に入ったゴブリンはみんなやられたようだね、ドン・ゴブリンがここに戻ってくる前に、俺は村に帰るか……っ!」



 帰ろうとすると、パキッと何かが踏まれたような音がする。今いる場所から別の場所に素早く逃げ、辺りの様子を確認する。


 魔物が近くにいるかもしれないと思っていたが、近くにいたのは魔物ではなかった。



「おーい、誰かいるかー! 俺だ、ミーナミ村の兵士だ」


「兵士さん!」



 兵士はミーナミ村を守るために村で待機していたはずだ。なぜこんな所にいるのだろうかと聞いてみた。



「ドン・ゴブリンの咆哮が村にまで聞こえてきてね、村長から様子を見るように言われたんだ」


「だからここにいるのですね、ということは、ドン・ゴブリンと戦って追い払ってくれたのは兵士さんだったのか」


「え? 俺はここに来る道中で魔物に会っていないが……その痕跡とやらを見せてくれ」



 俺は兵士に争った痕跡がある場所を指差す。兵士はその痕跡の前に行って確認すると、ドン・ゴブリンが何者かとの戦闘をしていたことは間違いないようだ。



「これは魔物同士の争いだな」


「ドン・ゴブリンと戦う魔物かぁ、そんなのがまだこの森にいるなんて……」


「そこまで強い魔物とも限らないよ、ただ、争うほど魔物が多いというのは問題だな。とりあえず村長に報告するとしよう。ここの薬草は無くなっているみたいだし、もう採ったんだろう?」


「はい、薬草はこの袋に入れました! うわぁ水が!」



 薬草を入れていた袋を取り出し、兵士に見せると、袋から水が出てきた。池に入っていたことで袋の中に水が入ってしまったようだ。


 俺は袋を逆さまにして水を抜いている。薬草が入った袋に水が入ったということは、他の袋にも入っているかも知れない。


 倒した魔物を入れる袋にも水が入っていたので、そちらの水抜きをしていると、水と一緒に何か出てきた。



「何だこれ、魔石? どこかで見たことあるような?」



 人の爪くらいの大きさの魔石のような物が出てきたので、それをつまんで兵士に見せる。



「魔石っぽいけど、この大きさにしてはずいぶん魔素を吐き出す魔石だな。村長に見てもらうとしよう」


「そうですね、村長なら何か知っているかも」



 俺は兵士と一緒にミーナミ村に帰るのであった。






 ■






 ミーナミ村に帰ると、村の外から馬車が1台やって来る。



「次の馬車が来るのはもっと後なはずだけど、いったい何だ? ちょっと確認してくるから、先に村長の所へ」


「分かりました!」



 兵士は馬車に向かったので、俺は村長の家に向かった。






 俺が村長の家に入ると、村長はポーションを並べて、交互に見ていた。


 そしてため息をついてから俺の存在に気が付いたようで、慌てて俺を迎える。



「おぉ! 戻ったか。ドン・ゴブリンの咆哮が聞こえたから兵士を向かわせたんだが、無事でなによりだ」


「ええ、兵士さんがいたおかげで、安心して帰ることができました」


「そうか。それで薬草の方は?」


「薬草はこちらにあります」



 俺は薬草の入った袋を渡す。村長は2回目ということもあり、軽く袋の中身を確認して、自分の座るイスの下に袋を置いた。


 そして、袋とスーパーポーションを渡される。



「ありがとう。その袋に入っているのは(ゴールド)だ」



 中を確認すると500(ゴールド)が入っていた。



「500!? 薬草調達だけで?」


「ギルドを通してないから、それくらいの金額になる。それと一緒に渡したこのスーパーポーションはこの村で作られたものだ。君から渡された薬草を使ってポーションを作っているときにたまたまできたんだが、効能がイマイチでね、スーパーポーションではあるが、スーパーポーションとして売れないんだ。でも、ポーションよりは効くから安心してくれ」


「上薬草でもないのにスーパーポーションができることあるのですね。それじゃあもらいますね」



 俺は村長の頼みを聞いた報酬として500(ゴールド)とスーパーポーションをもらうことができた。



「あと、気になるものを見つけたんですが……」



 俺がそう言うと、村長の家に誰か来たようで、ノックされる。



「話は後だ、先に客人を迎えてくる」



 村長はイスから立ち上がると、扉を開けに行った。



「おお! 待っていたぞ」



 村長の家に訪ねてきたのは2人だった。そして、その2人を俺は知っていた。



「ナーゲさんにダイケンさんじゃないですか」


「シンじゃないか、こんな所で会うと思わなかった」


「おっ! アルンの洞窟で会った少年か! あの頃に比べてずいぶん強くなったみたいだな!」


「ありがとうございます、それにしても何で2人がこんな所に? 魔王軍と戦うために北の方にいるんじゃなかったんですか?」


「ああ、それはここだと聞かれてしまうから、奥で話そう」



 ナーゲは人差し指を口元に当て、外にいる村人をチラチラと気にしていた。


 村長は2人を家に入れ、慌てて扉を閉める。そして部屋の奥に俺たちを案内してイスに座らせる。



「それで、この村にいったい何があったんだ? 上位冒険者が来るという連絡だけしか来ていないんだ、教えてくれるんだろう?」



 村長はナーゲにそう聞くと、ナーゲは一呼吸挟んでから答えた。






「このミーナミ村周辺に、魔王軍の拠点があるかも知れないという情報を手に入れた」

兵士が迎えに来た。


袋から魔素を多く出す魔石みたいな物が、水と一緒に出てきた。


500(ゴールド)とスーパーポーションをもらった。


ナーゲとダイケンがミーナミ村に来た。


このミーナミ村周辺に、魔王軍の拠点があるかも知れないという情報をナーゲが話した。



キャラ紹介


・ナーゲナイフ(ナーゲさん)


帽子を被り、片目を黒髪で隠している細身で長身の男性。

(ほし)4冒険者であり、投げナイフを武器として使う


・ダイケン


全身に鎧を装備していて、顔まで隠れている(ほし)5冒険者の男性。武器は大剣を使用する。

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