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164話 2回目の☆2『薬草調達』②(赤熊)

 村長の家から出て、村の入口にいた兵士に薬草の場所を聞くと、薬草の生えている場所は数ヶ所あるみたいだ。その中で1番安全な場所の行き方を教えてもらった。


 それはこのミーナミ村から出て、東の方向に小さい池があり、その周囲に薬草が生えているみたいだ。



「森に行くならこの袋を持っていくと良い」



 兵士から渡された袋は、俺が入れそうなくらいの大きさだった。薬草を入れる袋としては大きすぎる。



「ずいぶん大きい袋ですけど、何に使うんですか?」


「それは倒した魔物を入れる袋だ、ここじゃあギルドが魔物を回収してくれないから、俺たちで回収しなきゃいけない。だから、魔物を倒したら必ずその袋に入れるんだぞ」


「はい! では薬草採りに行ってきます」



 俺は村を出て、薬草が生えている場所まで向かった。






 葉や木の幹は雨で濡れていて、地面には水溜まりが出来ている。ピチャピチャと音を立てるが、雨の音で隠されて、魔物に足音でバレることはないだろう。


 森の中を進んで行くと、早速魔物が現れる。



「スラ」



 スライムが水溜まりに飛び込み、周りに水を跳ねさせている。どうやら遊んでいるようで、俺の存在には気が付いていないようだ。スライムに気が付かれる前に剣を抜き、攻撃を仕掛ける。



「はぁ!」


「スラ……」



 攻撃されることなくスライムを倒すことが出来た。



「倒した魔物は袋に入れないとね、うわぁ!」



 倒したスライムを袋に詰めていると、背中から衝撃が走る。すぐに後ろを確認すると、もう1体スライムがいた。



「他にもいたのか」


「スラ!」



 体当たりをしてくるスライムを腕でガードして、スライムが着地したところを狙い、攻撃をする。



「スラ……」



 このスライムも倒すことができ、今度は周りを警戒しながら、倒したスライムを袋に詰めていった。



「まだ目的地に着いていないのに、もう2体の魔物と戦ったのか。雨のせいでいつもより魔物の発見が遅れるし、気を付けないとね」



 周囲への警戒を強めながら東に進んで行くと、気が少ない場所が遠目からでも見えてくる。近づいてみると、薬草がたくさん生えている。軽く数えるだけ30つ以上の薬草は生えていそうだった。


 薬草の奥には小さな池があり、ここが兵士の言っていた薬草の生えている場所だと分かる。


 木の陰に隠れながら顔だけを出し、池の周りに魔物はいないか確認する。魔物がいる気配がなさそうなので、俺は薬草を採りに向かった。


 地面より下にある薬草の根の部分だけ残して、薬草を千切って袋に詰めていく。1つずつ数えながら袋に詰めると、まだ半分くらい薬草が生えているのに30つ採ったようだ。


 まだたくさん生えているから、もう少し多く薬草を袋に入れ、ミーナミ村に帰ろうとすると、バキッと枝の折れる音がする。俺は音のした方向を見ると、赤い色の熊がそこにいた。



「っ! ベアードがこんなに近くまで!」



 俺は剣を抜き、ベアードから目を離さないように後ろ歩きで森の方まで移動する。


 ベアードと目が合っていて、俺を認識しているのに襲って来ない。俺が攻撃してこないとみるや、俺から目を離し、池の方を見る。そして池に向かうと、そこの水を飲み始めた。


 よほど喉が渇いていたのか、ガブガブと水を飲む。ベアードが水を飲み終わりと、さっきまでの大人しい雰囲気とは違い、魔物としての荒々しい気配が強くなっていった。



「グルァァァ!」



 ベアードが襲い掛かって来た、前足を使って爪で攻撃をしてくる。



「うわぁぁぁ!」



 俺はガードをしたが、ガードしても大きなダメージを受けてしまい、吹き飛ばされてしまう。だがおかげでベアードから距離を取ることができた。


 俺はミーナミ村まで全速力で逃げる、薬草を採り終えたのでベアードと戦う意味はない。


 俺が逃げるとベアードは木にぶつかりながら追いかけてきた。


 木にぶつからない道を進むと距離を縮められるので、遠回りになるが、木の間を抜けるように走る。


 徐々にベアードから離れることが出来ているが、進む先には雨宿りをしているゴブリンが1体いた。


 ゴブリンは俺に気が付くと攻撃を仕掛けてくるが、俺はその攻撃を避けながら剣で切る。ゴブリンは地面に倒れて悶えているが、後ろからベアードが迫っているので、ゴブリンに追撃をしている余裕はない。


 ダメージを負ったゴブリンを放置して逃げると、ベアードは俺じゃなくてゴブリンに標的を変えた。


 ベアードに襲われたゴブリンは爪で2度引っ掻かれると、経験値を吐き出した。経験値はベアードに入っていく。


 ベアードがゴブリンに構ってくれていたおかげで、俺はミーナミ村に帰ることができた。






 俺は息を切らせながら村に入ると、兵士が声をかけてくる。



「薬草は採れたみたいだね、その様子だと魔物に追いかけられた感じかな?」


「そうですよ、ベアードに追いかけられて大変でした。でも薬草はちゃんと採っていましたよ」



 薬草を詰めた袋を見せるが、兵士は袋を見ないで困ったような顔をしていた。



「ベアードはもうそこまで来ているのか、これは村長に相談しなくては……」


「グルァァァ!」


「っ! ベアードの咆哮だ!」



 外にいた村人は一斉に家の中に隠れ、外にいるのは俺と兵士の2人だけになった。



「ベアードが村を襲うかもしれない、冒険者の君は入口で他の魔物が入ってこなようにしてくれ。ベアードは俺が倒す」


「はい!」



 槍を持った兵士が村から出ると、ちょうどベアードも森から姿を現す。詰めにゴブリンの血と同じ色の液体が残っていることから、森で俺を襲ったベアードなのだろう。


 兵士はベアードの後ろに回り込み、槍で突く。



「グルァァァ!」


「うっ……はぁ!」



 ベアードの反撃を食らうが、兵士は鎧で守られているからか、あまりダメージはない。兵士はベアードのお腹を突いてダメージを与える。


 槍を持つ兵士を離れさせようとベアードは兵士を叩くが、兵士はよろける程度でベアードの攻撃に耐えている。一方ベアードは、お腹に槍を突き刺された槍を握る兵士を攻撃した衝撃が、槍を伝って自分にも届いている。


 槍はより深くベアードのお腹に突き刺さり苦しんでいた。


 兵士が槍を引き抜くと、ベアードのお腹から血が溢れだす。兵士には勝てないと思ったのか、村の入口にいる俺の方を向くと、俺の方に走り出してきた。



「グルァァァ!」


「俺を狙うのか!? 『スマッシュ』!」



 ベアードの顔に『スマッシュ』を当てるが、勢いは止まらない。俺は剣を構え、ベアードの突進に合わせて切りつける。


 ダメージを与えることができたが、同時に俺もベアードの突進を受けて飛ばされる。そのとき持っていた倒した魔物を入れる袋を落とした。


 ベアードはその袋に向かっていく、どうやら俺ではなく袋の方を狙っていたようだ。


 袋を破ると、ベアードは中にあったスライムを食べようとする、しかしそれは兵士によって防がれた。ベアードの首に槍を刺すことができ、ベアードは痛みからスライムを飲み込む前に外に吐き出した。


 俺も攻撃に参加して、ベアードを切る。前足や後ろ足にはたくさんの傷ができ、ベアードの動きが鈍くなった。数歩しか動けないうえに、爪での攻撃も遅いので、兵士はベアードの攻撃を全て避け、槍で少しずつダメージを与えていく。



「グルァ……」



 弱ってきたベアードの心臓に向かって兵士は槍を突くと、ベアードは倒れ、経験値を吐き出した。

兵士から薬草の生えている場所は、ミーナミ村から東の方向にある小さな池の近くだと聞く。そして途中で倒した魔物を入れられる袋を持たされた。


池に向かっている途中にスライムと遭遇して戦闘となり、合計2体のスライムを倒し袋に詰める。


池に着くと薬草がたくさんあり、クエストクリアに必要な数は十分にあった。


池には水を飲みに来たベアードが現れて、飲み終わると俺に襲い掛かって来る。逃げている途中で出会ったゴブリンにベアードが標的を変え、俺はミーナミ村に帰ることができた。


だが、ベアードはミーナミ村まで来てしまったらしく、戦闘になる。


ほとんど兵士がベアードと戦ってくれていたおかげで、ベアードを倒すことができた。

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