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163話 2回目の☆2『薬草調達』①(南村)

 目を覚ますと、パラパラと雨が降っていて、蒸し暑い日のようだ。


 俺はレインコートを着て、ゲーターブーツからレインブーツに履き替え、ギルドに向かった。






 ギルドに着いて掲示板からクエストを探してみるが、いつもよりもクエストの数が少なく感じる。いや、討伐クエストの場所だけ他のクエストに比べて少ないことに気が付いた。



「昨日まであった討伐クエストが無くなっている、あれだけのクエストを昨日だけで一気にやったのか?  まあないなら違うクエストを探すだけだ。何か良いクエストはないかな」



 そこで1枚のクエストが目に入る。



「こんな簡単なクエストが(ほし)2なの?」



 俺はそのクエストの紙に近づき詳細を確認する。そして理由を知ると納得の難易度だと理解して、そのクエストを掲示板から剥がし、ハンナの所まで持っていった。






「ハンナさんおはようございます。このクエストお願いします」


「シンさんおはようございます。このクエストですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)2『薬草調達』


 クリア条件:薬草30つ以上ミーナミ村の村長に納品


 報酬金:200(ゴールド) 700GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)2から(ほし)3冒険者1人


 ~依頼内容~


 ミーナミ村で薬草が不足しているので、村長に薬草を納品する。

 また、薬草はミーナミ村付近から調達すること。

 詳しくは村長に聞くこと。


 ――


「このような内容ですが、クエストを受けますか?」


「受ける前に確認したいのですが、ミーナミ村っていうのは、毒沼の看板がある所で、毒沼に進まず、道なりに南に進んだ所にある村のことですよね?」


「そうですよ。シンさんは行ったことないですか?」


「通ったことはあるはずなんですが、そんな村を見たことないんです」



 初めてここに来た時のことを思い出そうとする。船から降りてアルンにくるまで馬車に乗っていて外をあまり見ていなかったとはいえ、途中に村なんてなかったはずだ。



「途中で分かれ道がありますので、行けば分かるはずですよ」


「そうなんですね、じゃあ場所は大丈夫みたいです。クエスト受けます」


「それではクエストを受注します、分からなくなったらもう一度聞きに来てください。クエスト頑張ってくださいね」



 俺はギルドから出て、ミーナミ村に向かうことになった。






 ■






 アルンの街から南に進み、隣に草原がある道を歩き、毒沼の看板がある場所まで辿り着く。



「ここから毒沼に向かっていたけど、今回はこの看板がある方には向かわず、このまま道なりに進めばいいんだね」



 俺はまだ行ったことのない道を1人で歩きながら進んで行った。パラパラと降っていた雨も次第に強くなって、地面がぬかるみ始めてくる。


 しばらく歩いていると、二手に分かれる道があった。


 1つはこのまま直進する道、もう1つは少し曲がって別の方向に進む道。その分かれ道の間に看板が立てられていた。



「このまま直進したら船着き場で、曲がった先にあるのがミーナミ村か」



 俺はそれを見て、ミーナミ村側の道を選んで進んだ。


 進んだ先には森があったが、道は続いていて、邪魔になりそうな木は伐採されているようだ。その道から馬車がこちらに向かって来る。馬車を操っている人が俺に気が付き、馬を止めて声をかけてきた。



「冒険者か、ミーナミ村に用でもあるのかい?」


「はい、クエストを受けてここまでやって来ました」


「お! じゃあ君が薬草を取ってきてくれるのか。この奥にミーナミ村があるから、着いたら村長に挨拶に行くんだよ」



 馬車の人はそう言うと馬を動かし、船着き場の方に向かって行った。


 俺は森に入り進んで行くと、何件もの建物のが見える場所を見つける。



「ここがミーナミ村か」



 村には囲いが作られていて、魔物が来ても攻めにくいように作られている。出入りできる場所は、今見える範囲だけでも1つしかない。


 俺はそこから村に入ろうとすると、屋根の下で雨に当たらないようにしている、槍と鎧を装備した兵士が俺を見て笑顔で声をかけてきた。



「ミーナミ村へようこそ」


「すみません、村長さんってどこにいますか?」


「村長なら、向こうに見える一番奥にある大きい家にいるよ」



 兵士が指差した所には他の家に比べて倍くらいの大きさの家があった。



「ありがとうございます!」



 俺は兵士にお礼を言うと、村長がいる家に向かった。俺が扉の前まで来ると、ノックをする前に扉が開けられる。そこには少し白髪が混じった茶髪の太ったおじさんがいた。



「窓から君のことを見ていたけど、俺に何かようかな?」


「『薬草調達』のクエストのことで話を聞きに来ました」


「おぉ! もう冒険者が来たのか! それなら詳しい内容を話すから中に入りなさい」



 俺は村長に案内されて家の中に入る。


 そして、俺と村長はイスに座り、今回のクエストについて村長は語り始めた。



「この村に薬草が必要なんだが、それを君に採ってきてもらいたい」


「それがクエスト内容ですから俺は構いませんが、何で薬草を? アルンまで買いにくれば良いですし、ここに来る途中で馬車が通るのを見かけました。それに薬草を積んでもらうことは出来なかったんですか?」


「そうしたいが、私はもちろん他の者もここを離れられん。馬車も他の場所に荷物を届けなきゃいけないから、この村だけ特別というわけにはいかない。それにクエストには30つ以上の薬草が納品になっているが、色んな冒険者に採ってきてもらうつもりなので、30じゃ全然足りない」


「そういうことですか」



 薬草をクエストに出す理由は分かった、だが、なぜ村長に詳しく聞く必要があるのか分からないので、それを聞いてみる。



「実は最近魔物が多くなって、兵士が村の警護を優先しなければいけなくなり薬草を採りに行けない。そこで冒険者に薬草を採ってきてもらいたいもう何日も採ってないから集まりやすいはずだ」


「魔物はどうしますか?」


「魔物は倒しても良いし、倒さなくても良い。この村に数体迷い込んでくるが、兵士が倒している。君は薬草だけに集中しても大丈夫だ。薬草の採取場所は兵士にでも聞くと言い。では、よろしく頼んだ」


「分かりました!」



 こうして俺は、ミーナミ村で薬草調達を始めるのであった。

雨が降っていたのでレインコートとレインブーツを装備してギルドに向かった。


『薬草調達』のクエストを受けて、ミーナミ村に向かう。


ミーナミ村に向かう途中で馬車に会い、その馬車は船着き場の方に向かって行った。


村に着くと兵士から村長の場所を聞き、村長にクエストの詳しい内容を聞く。そして、薬草の場所は兵士が知っているみたいだ。



・ミーナミ村


アルン国領土の南の位置にある村。船着き場とアルンの街の中継地点としてよく使われている。

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