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158話 ☆3『スーパーポイズンスライム』②(噴射)

 ザイゲンの投石の音が小さくなるくらいまで毒沼の奥まで来ると、紫色だった毒沼がだんだんと緑色の毒沼に変わり始めていた。


 スーパーポイズンスライムがいるとしたらこの辺りになる。



「……シン、ここから先はいつ攻撃されるか分からない、戦う前の準備は今のうちにやるんだ」


「そうだね」



 俺はここで完全詠唱の『パンプア』を自分とハクにかけて力を上げる。


 スーパーポイズンスライムに対して、このバフはあまり効果がないだろうけど、やらないよりはマシだろう。


 俺は剣を構え、全方位を警戒しながら前に進み、ハクは毒沼を警戒して、毒沼に矢を放っていく。



「……シンのかけたバフのおかげで弓を引く力が上がっているから飛距離が伸びている。これなら遠くまで索敵できそうだ。だが、この辺りにはスーパーポイズンスライムはいないようだ」


「そうみたいだね、俺はもっと前に進んで様子を見てくるよ」


「……分かった、俺は紫色の毒沼に隠れていないか確認してくる。何かあったら1人でやろうとするんじゃなくて、俺の所まで戻ってこい」


「分かった」



 俺は前に進み、ハクは俺に背を向け、紫色の毒沼に矢を放つ。


 そうやって俺とハクが離れると、地面から土と同じような色をした手が生えてきて俺の足首を掴んだ。



「!? なんだいったい!」



 掴んでくる手を振り払おうと足を動かすが、しっかり握られているからか振りほどくことが出来ない。


 手はどんどん増えて、何本もの手が俺の両足を掴み、身動きが取れなくなった。



「ハク! 助けてくれ!」



 俺の声を聞き、振り返ったハクが目を大きく開け驚いている。



「……シン! そいつはツチノテという魔物だ! 剣で切ってそこから離れろ!」


「やっぱり魔物か! はぁ!」



 俺は剣をツチノテに当ててから一気に外側に剣を振り、自分の足を切らないように、ツチノテの手首だけを切り落として経験値を吐き出す。


 これで片方の足からツチノテはいなくなった。もう片方の足を掴んでいるツチノテを切ろうとすると、所々にある毒沼の周りにツチノテが現れる。



「何する気だ! っ!」



 俺は膝を曲げ上体を後ろに倒す。そのとき剣を地面に突き刺し、開いている手は地面につけ、尻餅をつかないようにした。すると俺の鼻先すれすれに、緑色の液体が付着した矢が飛んできた。


 顔を上げ、飛んできた方向を見ると、何かを投げたような形の手をしているツチノテが毒沼の近くにいた。



「あいつ、ハクが毒沼に放った矢を俺に飛ばしてきやがった!」


「……シン、次の攻撃が来る! 避けろ!」


「っ!」



 周りにいるツチノテたちが、俺に向かって矢を投げ飛ばしてくる。横から俺の顔に向かって飛んでくる矢を、起き上がることで避けると、反対側から俺の肩に向かって飛んでくる。


 俺の足を掴んでいるツチノテがいるせいで、身体の向きを変えることで避けていく。


 ハクはツチノテに向かって矢を放って攻撃する。矢はツチノテに当たり地面でもがき苦しんで経験値を吐き出すが、ツチノテに刺さった矢を他のツチノテが引き抜き、その矢を俺に向けて投げ飛ばす。



「……ちっ、俺の矢で倒しても、ツチノテに武器を渡すようなものか。なんとか耐えてくれよシン!」



 ハクは武器を弓矢からナイフに変えると、近くにいるツチノテに攻撃をして数を減らそうとする。その間に俺は、避けられない矢は剣で叩き落とすなどをして耐えていたが、全方向に対処できるはずもなく、何本かの矢は俺に身体に突き刺さる。



「うあっあっ……まずい、毒が!」



 毒沼の液体が付着した矢が身体に刺さる。俺は毒状態になることを覚悟したが、矢で刺されたダメージ以外に変化はない。どうやら毒状態にはならなかったようだ。



「ふん!」



 矢が飛んでこなくなったので、俺の足を未だに掴んで離さないツチノテを切り、自由に動けるようにする。


 膝を付き、身体に刺さった矢を全て引き抜き、ポーションを飲んで加護を回復させる。



「よし、ハクの加勢をしなきゃ」


「……その必要はない、今終わったところだ」



 辺りを見渡すと、倒れているツチノテばかりになっていた。



「……まさか俺の矢を利用されて攻撃されるとは思わなかった。毒は大丈夫か?」


「うん、毒の量が少なかったからか、毒状態にならなかった。矢のダメージもポーションを飲んだら回復したよ。それにしても、良くこれだけの量のツチノテを倒せたね」


「……シンに戦闘前にバフをかけてもらっていたおかげで、ナイフで楽にツチノテを倒せた。だが、またツチノテが現れても面倒だ。毒沼に矢を刺してスーパーポイズンスライムの索敵をするのは辞めよう」


「じゃあ、俺の『アース』で毒沼を埋めるよ……っ! 緑色の霧が出てきた、近くにいる!」



 俺は『ウィンド』を使って霧を消し、スーパーポイズンスライムを探す。



「どこだ?」



 毒沼を集中的に見て、違和感がありそうな所を探す。ハクはふと上を見ると、緑色の毒の球がこちらに落ちようとしていた。



「……シン上から攻撃が来る!」



 俺とハクは横に飛び、毒の球を避ける。



「どこから攻撃が来ているんだ!」



 探していると右斜めの方向から山なりに毒の球が飛んでくるのが見えた。



「あそこから攻撃が来ている!」



 俺はスーパーポイズンスライムがいるであろう方向に走り出す。



「スラ!」


「見つけた! ハク、援護を頼む!」


「……ふん!」



 俺が走る横から、ハクの放った矢が飛んで、スーパーポイズンスライムに向かって行く。


 その矢はスーパーポイズンスライムに避けられる。スーパーポイズンスライムは逃げながら毒沼に近づこうとする。その移動先をハクが狙って攻撃するが、右に左にと避けられて当たらない。


 しかし、そうやって蛇行をしながら移動しているので、毒沼に辿り着く前に俺がスーパーポイズンスライムのそばまで近づくことが出来た。



「はぁ!」



 剣を振り上げ攻撃しようとすると、スーパーポイズンスライムが俺をチラッと見る。俺は剣を振り下ろしあと少しで切れるというところで、スーパーポイズンスライムから勢いよく緑色の毒霧が噴射され、少し吹き飛ばされ攻撃が届かなかった。



「くそ……邪魔だ見えない『ウィンド』!」



 毒霧を『ウィンド』で消して、スーパーポイズンスライムの逃げる方向に進もうとすると、身体の内側からチクチクとした痛みが走り一瞬動きが止まる。この感覚は毒状態だとすぐに分かった。


 袋に入った上解毒薬を飲もうとするが、この程度の毒ならまだ耐えられるので、上解毒薬を節約するために痛みを我慢して先にスーパーポイズンスライムを倒しに向かった。


 俺は走りながらスーパーポイズンスライムに手の平を向け『スマッシュ』を放つ。しかし、スーパーポイズンスライムはこれを避けるが、俺の目的は攻撃を当てることじゃない。


 俺とハクの攻撃を避けることに意識が向いているスーパーポイズンスライムは、その場からほとんど動けていない。


 そのおかげで、スーパーポイズンスライムが毒沼に到着する前に再び剣で攻撃できる距離まで近づくことが出来た。



「この短時間で2回も毒霧は出せないだろ! くらえ!」



 俺はスーパーポイズンスライムに切りかかった。

俺とハクは『パンプア』で力にバフをかける、そのおかげでハクは弓矢の飛距離が伸びた。


毒沼に矢を放ってスーパーポイズンスライムが隠れていないか索敵をしていると、ツチノテという魔物に俺の足が掴まれた。


そして、毒沼に放ったハクの矢をツチノテたちが俺に投げてきて、何本かは身体に刺さってしまったが、俺が矢の攻撃を受けている間に、ハクがナイフでツチノテたちを倒していた。


緑色の霧が出てきたので『ウィンド』で消すと、上から毒の球が降って来る。それの飛んでくる方向を確認すると、ハクの援護をもらいつつ俺はそこに向かった。


ハクの援護のおかげで近づくことが出来たが、毒霧を噴射されることで、俺の剣の攻撃を当てることが出来なかった、そして俺は毒状態となる。


毒状態のまま、俺は『スマッシュ』ハクは矢でスーパーポイズンスライムが動きにくい状況を作り、再び近づくことができ、俺は切りかかった。



魔物の紹介


・ツチノテ


土のような色をした手が地面から生えてきている魔物。


身体の一部を掴み、身動きが取れないようにしてくる。


また、近くにあるものを投擲してくることもある。

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