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154話 引っ越しとお買い物!(荷台)

 俺はギルドで新しい宿の契約書にサインをした後、住んでいる宿に戻って荷物をまとめていた。そして、タイミングよく扉がノックされる。



「荷台の準備が出来ました」


「分かりました、今開けます」



 扉を開けると、部屋の外にはが人いて、俺の部屋に入って来る。この人は、俺が別の宿に引っ越すことになったときに、ギルドが派遣してくれた運び屋だ。


 俺の代わりに荷物を引っ越し先まで運んでくれる。費用はギルドが出してくれた。


 運び屋の人が俺のまとめた荷物を見ると、コソコソ話し始めると、俺の方を向いて聞いてきた。



「すみません、荷物はこれだけですか?」


「それだけです」


「分かりました、では運びますね」



 運び屋は荷物を持ち上げると、外に置いてある荷台まで運んで行った。そして、新しい引っ越し先である宿まで荷物を運んでくれた。






 新しい宿に着いた。俺が使っている宿より見た目は小さいが、以前アオたちと遊びに出かけるときに一度この宿を見ていて、俺の住んでいた宿の部屋の2倍の広さがあることを知っている。



「それでは部屋に荷物を運びますので、鍵を開けてきてください」


「分かりました」



 俺は、宿の端の方にある入り口から中に入る。横に3人くらいしか広がれない幅の通路が1本だけあり、一番奥は壁になっていた。


 左側には6つの扉、右側には扉と同じ数だけの窓がある。


 一番奥にある扉はユカリの部屋で、二番目にある扉はアオの部屋、三番目の部屋はハクの部屋だ。


 そして俺が住むことに決まったのは四番目にある部屋だ。ここには元々上位冒険者が住んでいたらしく、魔王軍との戦いで当分帰らないので、契約解除したようだ。


 なので、俺が無理やり追い出したとかではないみたいだ。


 俺はギルドから渡された鍵を袋から取り出し、扉に付けられた鍵を外して、自由に開閉できるようにする。扉を開けると、部屋の真ん中には木製のテーブルとイスがあり、壁際にはベッドと棚があった。



「これはもう布団は使わなくなるな」



 俺は扉を閉め部屋を出ると、外で待っている運び屋に、鍵を開けたことを報告する。



「それでは部屋に荷物を運んでおきますね」


「お願いします」



 荷台に乗せた荷物を部屋まで運び終えると。運び屋は荷台を引いて帰って行った


 俺は部屋に置かれた荷物を広げて、適切な場所に物を配置する。


 布団はベッドの下に入れ、スライムのぬいぐるみはベッドの端に置き、魔法書は棚に置いた。残りの服や靴は部屋の隅に追いやった。



「荷物が少ないから簡単に終わった。それにしても部屋が広すぎて、何だか落ち着かないな」



 そう思っていると、扉がノックされる。



「シンくんいる?」


「アオか、今開けるよ」



 扉を開けるとアオがいた。



「これからハクくんとユカリちゃんと一緒に買い物に行くんだけど、シンくんも来る?」


「どうしようかな? 欲しいものは特にないんだよね。アオたちは何を買いに行くの?」


「僕は釜と魔法石を買うつもりだよ、そうすれば家でポーションが作れるようになるし、魔法石に魔力を込めることで、魔力量を上げる鍛錬にもなるからね。ハクくんとユカリちゃんが何を買うのかはまだ分からないかな」


「なるほど、そうことに使えるのか。分かった、俺も買い物に行くよ。準備が出来たらすぐに行くから待っていてね」


「うん! 外で待っているからね」



 アオは軽く手を振って扉を閉めると、外へ向かって行ったようだ。


 俺も出かける準備を整えると、部屋を出て外に向かった。






「おまたせ」


「待ちましたわ」


「行こうか」


「……行くぞ」



 集まったことで、俺たちは移動を開始する。そして着いた先は雑貨店だった。外観はどこにでもあるような普通の家で、中に入ると、包丁や鍋やお玉などと一緒に、魔法石やネックレスも売っていた。



「それでは私はここで買うものがありませんので、商品を見て回りますわ」


「……俺も買うものがないから、適当に暇を潰してくる」


「分かった、2人ともまたね」



 ユカリとハクは俺たちから離れて、色んな商品の見に行ってしまった。



「いらっしゃいませ。何をお求めですかな?」



 店員が話しかけてきたので、アオは欲しいものを店員に伝えた。



「ポーションを作るための釜や鍋に、火炎コンロと魔法石が欲しいんですけど、ありますか?」


「もちろんございますよ。釜はこの大釜、鍋は上向きの取手が付いた鍋、火炎コンロに魔法石が入った袋。以上がお客様からのご要望の品です。ご一緒にザルや布、透明の容器はいかがですか?」


「そういえばポーションを作るのにそれを使う必要があるのを忘れていたよ。それもお願いします!」


「かしこまりました。少々お待ちください」



 店員はアオの頼んだ品を持ってこようと棚に置いてある商品をまとめ始める。



「おいおいアオ、そんなに買って(ゴールド)は大丈夫なの?」


「大丈夫! 宿の更新が出来たから少しくらいなら使っても平気だよ」


「まあ使いすぎには注意してね」


「お待たせしました。合計で2000(ゴールド)です」


「これでお願いします」


「まいどありがとうございます。外に荷台がありますので、部屋に持ち運ぶのにご利用ください」


「分かりました! それで、シンくんは買うの?」


「じゃあ俺も買おうかな?」


「本当ですか! ありがとうございます。すぐに同じものをご用意いたします」



 こうして俺とアオは、自宅でポーションを作るための道具を2000(ゴールド)で買った。



「……もう買い終わったのか?」


「ああ、とりあえずこれを部屋に運ぶために俺は帰るかな」


「僕も一旦運ぶために帰るね、それに途中でギルドによって薬草も買わなきゃだし」


「じゃあ私とハクくんで買い物に行きたいと思いますわ。しばらくは服屋にいると思いますわ」


「うん、それじゃあまたね。シンくん行こうか」


「そうだね」


 そうして俺とアオは、ハクとユカリと別れて、荷台を引きながらギルドへ向かい、薬草を50GP(ギルドポイント)で買い、宿に戻った。






「よいしょ! ふぅ……部屋に入れるのは大変だったけど何とか準備が出来たよ。シンくんも運ぶのを手伝ってくれてありがとう」


「いえいえ。じゃあ俺も自分の分を運ぶとするよ」


「僕も運ぶのを手伝うよ!」


「アオはユカリたちの所に行ってきなよ、俺は1人でも大丈夫だし、これは込んだら休もうと思っているからさ」


「そう? 分かった。じゃあ僕行ってくるね!」



 アオはそう言って宿を出ていった俺は自分の部屋に釜などを設置していった。



「ふぅ、ベッド柔らかくて気持ちいいな」



 俺はベッドで横になり柔らかさをしばらく堪能してから、次の作業に取り掛かる。買ってきた魔法石に魔力を込めて光らせて置くのだ。


 1つ1つ光らせて、身体がどんどんだるくなっていくのを感じる。


 そうしていつの間にか夕方になり、帰って来たみんなと夕食を食べに行った後、ベッドで横になると、すぐに眠ることが出来た。

新しい宿に引っ越しを終えると、アオたちと買い物に行く。そこでポーションを部屋で作るための道具を買った。

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