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15話 魔法鍛錬!③(詠唱)

 目を覚ますと部屋には暖かい光が差し込む、今日は雲一つない快晴であった。俺は調子を確かめるために軽い瞑想をする、昨日はたくさん瞑想したり魔法石に魔力を流したりと魔力を使うことが多かったからか、いつもより魔力が扱いやすく量も増えた気がする。



 校庭に向かい朝の鍛錬を始める。始めてから少しして変化があった、みんなの走るペースが速くなっている。みんなが強くなったことに心当たりがあった。魔物を倒したことでみんなに経験値が入っていくのが見えていたので、それで強くなったのだろう。


 走り込みも終わり、雑談をしながら休憩をする。


「今日はみんな速かったね、魔物を倒したことでここまで変わるものなの?」

「やっぱりそうなのかな?僕も今日は身体が軽く感じたよ!ハクくんもユカリさんも軽く感じたよね?」

「……そうだな」

「そうね、私も身体が軽く感じたわ」


 アオは口角を上げて楽しそうにハクにも同じ感覚だったか聞いていた。ハクもユカリも同じように軽く感じているようだった。こうした話しをしているとあっという間に休憩時間が終わる。



 次は瞑想だ、集中する感覚を知っていることが大きいのだろう、ランド先生の特別授業のおかげで前よりも深く瞑想できるようになったが、その集中は長続きしなかった。昨日はハーブの香りを嗅ぎながらだったから、眠るほどリラックスできていたのだと改めて気が付いた。



 瞑想の時間も終わり昼食を食べ、約束があるからと伝え、アオとハクとユカリを食堂に残しランド先生の部屋に向かう。俺が扉をノックすると「どうぞ」と言われたので入る。


「約束通り来ました。でもこれからお昼の授業があるのにどんな鍛錬をするのですか?」

「シンくんを呼んだのは鍛錬するためではなく、この本を渡すためですね」

「?……この本はいったい……!……まさかこれは魔法の本ですか!?」


 薄い本を渡されて中を開くと魔法名に呪文に属性にと、魔法に関することが書いてあった。


「学校の図書室にも同じものがありますが、あちらは貸し出しの本なので、シンくん専用の物を取り寄せました。」

「ありがとうございます!」


 俺は深々と頭を下げてお礼を言った。


「その本は魔法の一部しか書かれていないので、それ以上の魔法が知りたければ自分で買ってくださいね。そのころにはシンくんも自分でクエストをして稼げるようになっているでしょうから。それでは私はお昼の授業の準備をするので、シンくんも本を部屋にしまって準備してください」

「分かりました、魔法書ありがとうございます!」



 そう言って俺はランド先生の部屋を出ていき、準備をするため自分の部屋に戻る。準備を終えて校庭に向かうと、俺が最後のようでみんな集まっていた。


「集まりましたね、みなさんは朝の鍛錬で身体が軽くなったような気がしませんでしたか?魔物を倒したことで経験値が入り、それがみなさんを強くしました。実はこの経験値得ることが一番早く強くなることができます」


 まわりからは「えっ?」などという声が聞こえてくる。当然だろう、スライム1匹倒すだけでここまで成長をしたのなら、今までやってきた特訓は無意味だと思ってもしょうがなかった。


「魔物を倒すことが強くなる近道なのになぜ鍛錬をさせるのか、みなさんが10人で攻撃してやっと倒せたのがスライムです、もし鍛錬も無く知識も乏しければ、まだ子供のみなさんでは何人集まろうとも倒せませんが、1ヵ月以上も鍛錬をしたことにより、わずかとはいえ魔物に傷を与え倒すことができるようになりました」


 生徒たちの目を1人1人見る。


「しかし、いつまでも自分の都合の良い状態や場所で戦うことはできません。今日みなさんにやっていただく鍛錬は、動き辛い足場での移動です。ついてきてください」


 ランド先生が歩き出し、俺たちはそれについていく。まだ一度も来たことがない別の校庭にやってきた。そこは周りを石で広く囲んで、囲まれたところは他よりも地面が低かった。まるでプールのような感じだ。


「この中でみなさんに動き回ってもらいます、このままではいつもと変わりませんが、ある負荷をかけることによって動き辛くなります」


 ランド先生はそう言い懐から1冊の本を取り出し開き、それを見ながら魔法の詠唱をする。


「我が魔力を水に、水流が如く、道を示し下り、大いなる魔素を集い、不純なる魔を我に、我に適応し糧となる。トイト・ルステ・カイズ・アイド・ケブン・バイタ」


「発動せよ、ウォーター」


 呪文を唱え終え魔法名を言うことで水の塊が囲いの中に入る。


「さあ準備ができました。みなさん中へ入ってください」


 ズボンをまくり水の中へ入る、水は膝より少し下くらいまで浸かるほどあった。歩いて移動しても水の抵抗で動きが遅い、それはみんなも例外ではない。


「それではみなさん、端から端まで走ってください」


 それを聞いてみんな走り出す、抵抗で速度が出ないのでなかなか進まない。いっせいに動いたことで波ができて前後左右に不規則な力が足にかかる。踏ん張らないと倒れそうになる。前に移動してるはずが引き返される。端に着くのにはみんな苦労していた。


「端に着きましたね、では次は端まで歩いてください。少しづつ慣れていきましょう」


 いつの間にか俺たちの方に移動していたランド先生が水の中に入ると、俺たちと同じように端まで歩いていく。水で動き辛い状況にも慣れているのか、スムーズに移動していた。俺たちもそれに続き動く。


「みなさん今日もお疲れ様です、火を用意したので装備を乾かし温まってからお風呂に行ってくださいね」


 ランド先生は自分の靴やズボンを火で乾かしながら言った。何個も火は用意されているので全員乾かすことができる。俺はかなり濡れてしまったので乾かすのに時間がかかった。俺と数人以外みんなお風呂へ行ってしまった。


「シンくん、呪文の凄さが分かりましたか?」

「呪文を唱えるだけであんなに規模が大きくなるのですね」


 あれだけの威力になるのなら俺でも魔物にダメージを与えられる希望が見える。


「ここにある火は省略詠唱した火魔法です、完全詠唱した水魔法と同列の魔法です。完全詠唱とはそれだけ強いのです、シンくんでも魔物を倒せるようになりますよ」

「そうだと嬉しいですね。服が乾いたのでお風呂に入ってきます」


 魔法への期待が高くなったシンはさっさとお風呂に入り、もらった魔法書を早く読みたいと思った。



 部屋に戻り魔法書を読もうとするが、新しい鍛錬の影響かなかなか頭に入ってこないので、魔法石に魔力を流し、今日もまだ光切らないことを確認して眠りについた。

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