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146話 ☆3『ウルフ討伐』③(仲間呼び)

「グルゥ……」「グルゥ」


「みんな、ウルフがいるよ!」



 俺たちが草原を歩いていると、どこからかウルフの声が聞こえてくる。



「……シン、何体いるか分かるか?」


「分からない、左右から挟まれるように声が聞こえるから複数体いるのは確実だろうけど、分かるのはそこまで」


「っ! あそこに赤い目が見えますわ!」


「こっちにも赤い目がいるよ!」



 ユカリとアオの指差す方向は別々だったが、どちらが指を指した方向にもウルフの赤い目が光っていて、そこにいることを確認できた。



「……他に赤い目は見当たらない、今のところ確認できるのはあの2体だけだ」


「分かった。俺は左のウルフと戦うから、ユカリは右のウルフを見ていて」


「分かりましたわ!」



 ユカリは右のウルフに剣を向けて、ウルフの動きに集中する。ハクは弓でウルフの攻撃に備える。



「……またカウンターを決めてウルフを倒すつもりか?」


「その方が安全でしょ」


「……シンと違って、ユカリの武器は攻撃力が高くない。ユカリの方のウルフが先に攻めてきたらどうする」


「ユカリは心配ないよ、このパーティーで1番速いんだ、俺でもウルフの攻撃に合わせられるんだから、ユカリに攻撃が当たることはないよ」


「……ユカリの心配じゃない、瀕死にならないウルフがキャリーの近くに来ることを俺は心配しているんだ」


「だったらハクとアオはユカリに付いてやればいい、俺はさっきの戦いでもっとダメージを与えられるカウンターを思いついたから、1人でも倒せると思う」



 俺は自信満々の顔をハクに向ける。



「……シンがそう言うなら大丈夫なんだろう、アオ、ユカリと3人で右のウルフと戦うぞ」


「う、うん! シンくん、ダメだったらすぐ僕たちに助けを求めてね」


「分かった」



 ハクとアオが俺から離れてユカリの方に向かうと、俺と対峙しているウルフが動き始める。



「ガウッ!」



 ジグザグに走り狙いを定められないようにしているが、その戦い方はすでに経験済み。俺はただ真正面に剣を構え、ウルフが仕掛けてくるのを待った。


 ウルフが吠えると俺に向かって一直線に進んでくる。さっき戦ったウルフと同じ行動だ。


 俺の近くに来るまで耐え、剣の射程範囲に入りそうになったところで、剣を突き出した。



「はぁ!」


「ァ…………」



 突き出された剣はウルフの眉間から貫通して、背中に剣が突き出る。ウルフは俺の剣で貫かれたまま動かなくなり経験値を吐き出した。


 俺はウルフから剣を引き抜き、剣に付いた血を、振ることで地面に落としていく。



「ふぅ……やっぱりウルフは切りつけるよりも、一直線にこちらに向かってくる攻撃に合わせて武器を突き出すのが1番ダメージが出そうだ。ただ、ユカリの使う細身の剣だと、ウルフを貫く前に剣が折れてしまうだろうな。ユカリ、そっちのウルフはどうなっている?」



 俺がユカリたちの方に振り返ると、未だにウルフと睨めっこをしているようで、戦闘になっていないようだ。


 1対4ならこのウルフも楽に倒せる、そう思っていたら急にウルフが空に向かって吠え始めた。



「ワオーン! ワオーン! ワオーン!」



 ウルフの吠えに答えるかのように、複数の足音が聞こえてくる。


 だんだんとその音は近づいて、俺たちの前に新たに3体のウルフが現れた。この場に合計4体の生きているウルフが俺たちに牙を剥く。



「グルゥ」「グルゥ」「ガウッ!」「ガウッ!」


「どうしようシンくん! ウルフが増えちゃったよ!」


「大丈夫だアオ、やることは変わらない。攻撃に合わせてカウンターをするだけだ! 来るぞ!」



 ウルフたちは一斉に動き始めて俺たちの周りをグルグルと走る。誰がどのウルフか分からなくなってくる。



「……アオ、まだ攻撃されていない今のうちに支援魔法を!」


「うん! 『アームクルド』!」



 キャリーを含めた俺たち5人はアオの魔法で防御力が上がった。



「これでダメージは軽減されるよ!」


「……助かる」


「ガウッ!」「ガウッ!」



 2体のウルフが左右から同時に攻めてくる。狙われているのはアオとハクだ。



「アオ! えい!」


「ガァ……」



 俺はアオを狙ったウルフに剣を振り、ウルフの攻撃を中断させる。だがハクを狙っている方のウルフに俺は対応できない。



「私がやりますわ! 『ウィンドショック』!」


「ッ……」



 ユカリの『ウィンドショック』がウルフに当たったが、空中で少し動きを止めさせたくらいで、攻撃を中断させるまでのダメージにはならなかった。だが、動きが止まった一瞬をハクは見逃さなかった。



「……ふん!」


「ガァ……」



 ウルフのお腹にハクの放った矢が刺さる。ウルフはハクたちから距離を取り、後ろに下がったが、そのウルフは地面に倒れ込む。



「……矢に付いていた麻痺毒が効いているようだな。あのウルフはしばらく動けない」



 ウルフはピクピクと身体を震わせている。



「ハクの方は大丈夫みたいだね。じゃあ俺らもこのウルフを倒すよ! 援護頼むよアオ」


「うん!」


「グルゥ……」



 俺に切られて弱っているウルフに近づき、剣を上から下に振りぬこうとするが、ウルフは最後の抵抗として俺の腕に嚙みついてくる。



「くっ……離れろ!」


「シンくん! 『ウオーター』!」



 アオは水の塊を作り、俺に噛みついているウルフに向かって放たれる。水が当たったことでウルフは驚いて、噛みついていた俺の腕から口を離した。



「逃がすか、えい!」


「ガァ……ァ……」



 ウルフは悲鳴を上げると、経験値を吐き出して倒れた。


 これでの戦えるウルフは2体、どう攻めてくるのか見ていたら、動けるウルフ2体は、痺れて動けないウルフを見捨てて逃げてしまった。



「クゥン……」



 痺れているウルフは逃げる仲間に向かって寂しそうに鳴く。ウルフ2体は完全にここから去ったようで、残ったのは俺たち5人と痺れているウルフ1体だけだった。


 俺たちはこの残ったウルフ倒して。この戦闘を終わらせることが出来た。






「暗いと思うように動けないから戦いにくい」


「……そうだな、ランタンの明かりが届く範囲でないと動きようがない。そのための暗視ポーションなんだろうが、不利と判断すると逃げるウルフ相手だと、無駄に使う可能性がありそうだ」



 ハクは暗視ポーションを摘み、月の光に当てて見つめていた。



「シンくん、噛まれた腕は大丈夫? すぐ回復してあげるね」


「ああ、大丈夫だよアオ、こんなのにポーションはいらないよ」


「違うよ、使うのはポーションじゃないないよ。僕が最近覚えた新しい魔法!」


「なんの魔法覚えたんだっけ?」


「ゴブリン討伐する前にギルドで言ったよ」


「ああ、回復魔法か! そういえば言っていた気がする。でも血が出ていないのに回復魔法なんて効くの?」


「もちろん! これは怪我もそうだけど、加護も回復できる魔法だからね。それじゃあ始めるよ」



 アオは俺の噛まれた腕を両手で包むと魔法を唱え始める。



「『ヒール』!」



 優しい光は俺の腕を包む。回復している感じは分からないけど、光がどんどん俺の身体に入っていった。



「よし! これでシンくんの加護は全回復したよ」


「ありがとうアオ」


「……シンの回復も済んだことだ、そろそろ行こう」


「そうだね」



 俺たちはウルフを探して移動を開始するのであった。

森に向かって草原を歩いていると左右からウルフの声がする。そのうちの1体を倒すと、残りの1体が吠えて仲間を呼び、3体追加で現れ、4体のウルフと戦うことになった。


ウルフたちは一斉に動き、2体がこちらに向かって攻めてくる。そのうちの1体をハクとユカリが戦い、ハクの矢によって麻痺毒にかかり痺れて動けなくなる。もう1体は俺とアオが戦い倒すことが出来た。


残った動ける2体のウルフは、痺れた仲間を置いて逃げていった。俺たちは痺れて動けないウルフを倒して戦闘を終えた。


戦闘中に俺がウルフに腕を噛まれたので、アオは回復魔法の『ヒール』を使って加護ごと完全回復してくれた。


今回の戦闘で倒したウルフは3体なので、

ウルフ討伐数4体、残り討伐数16体以上。



魔法の紹介


・『ヒール』


回復する星属性魔法。怪我や加護を癒してくれる。光が現れて、それが対象者に吸収されることで癒す。加護を癒す場合は全身のどこからでも癒せる。

また、アンデッド系やゾンビ系などの魔物には回復ではなくダメージが入る。

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