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126話 ☆3『魔素の核の破壊』③(無言詠唱)

 湖の中に入ると、上にある水面はキラキラして明るいのにいるのに、下の方はどんどん暗くなっていて、明け方の時間帯の光では底は見ることが出来なかった。


 今からこの場所で魔素の核を見つけて5つ壊さなきゃいけないことを考えると、とても大変なことだと理解させられる。


 そうやって上下左右と色々見ていると肩をトントンと叩かれる。


 振り向くとフィーシュがいて、イカダの裏を指差す。そこにはミートとベジタが待機しているようだ。どうやら、俺が周りを見ているうちにミートたちから離れてしまっていたみたいで、フィーシュが俺を連れ戻しに来たみたいだ。


 俺はフィーシュの後をついて行くようにイカダの真下に移動する。


 フィーシュはイカダの真下に全員集まったことを確認すると、指を下に向けて上下に動かす。



(これは、下に向かうってことが言いたいのかな?)



 フィーシュのジェスチャーを見ていた俺とミートとベジタは首を縦に振る。全員が理解していると判断したフィーシュは、左右の足をピタリとくっ付けて、まるで魚のようにスイスイと下に向かって泳いでいる。


 俺たちもフィーシュの後を追いかける。下に進むほど暗くなるので、だんだんとフィーシュの後ろ姿が見えにくくなってきた頃に、急にフィーシュの周りが明るくなった。



(な……なんだ!?)



 暗い所から急に明るくなったので、腕で影を作り、目を守る。


 目が明るさに慣れてくると、フィーシュの手にランタンが握られていた。



(あれは『鉱石調達』の時に使ったランタン、でも、あの時俺たちが使っていたランタンよりも光が強い)



 ランタンによって湖の中が明るくなったことで、湖の底まで照らしてくれていた。そしてそこには禍々しい雰囲気をしている球が置いてあった、あれが魔素の核なのだろう。


 フィーシュは俺たちの方に振り返り、魔素の核に向かうとジェスチャーをする。当然俺たちは首を縦に振り一緒に向かった。


 俺たちが魔素の核に近づくと、ネバッとした嫌な感覚に襲われる。これは魔素の核から出ている魔素を感じているからだろう。


 ミートが太ももくらいの厚さがあるハンマーを装備して魔素の核に近づき叩き壊そうとすると、魔素の核の近くの地面がグラグラと動いて、何かが飛び出してミートを弾き飛ばす。


 ミートは口から空気を吐き出し、大きい気泡がブクブクっと上に向かって行った。






(ミートさん……っ!)



 俺はミートに駆け寄ろうとしたが、こちらに敵意を向けている存在がいることに気が付いて、そちらを見て警戒をする。


 魔素の核の近くで、ギザギザの歯をした青い目の魚たちが魔素の核を守っているように立ちふさがる。



(あの魚の魔物は、確かピラニアって名前だったはず)



 俺は剣を構えて戦闘態勢に入る。


 ピラニアは尾ひれを左右に振り、一気に加速してくる。俺は剣でカウンターしようとしたが、水の抵抗で思うように剣が振れず、ピラニアがお腹に突撃してくる。



(ぐはっ!)



 そこまでダメージは無いが、口から空気を吐き出してしまう。



(これはダメージよりも、攻撃されたことによって吸い込んだ空気を吐き出すのがまずいな……)



 剣を構え直しながら戦い方を考える。お腹に突撃されると空気を吐き出しやすいので、振り下ろすような攻撃はお腹のガードを緩めて攻撃されやすい、なるべく剣は中段に構えて、薙ぎ払いや、下から切り上げるような攻撃の方が良いだろう。


 そうやってピラニアの対策を立てていると、ピラニアたちはミートたちの所に攻撃を仕掛ける。


 ミートはタイミングを合わせてピラニアの頭にハンマーを当てて、ピラニアは気絶して動かなくなる。動かなくなったところにもう1度ハンマーで叩きピラニアは頭を潰されて経験値を吐き出した。


 ベジタの所にもピラニアが突撃してくるが、それを避けて湖の底まで下りると地面に手をつく。そこにピラニアが正面から突撃してくると、ベジタが手をついていた地面が盛り上がり、突撃してくるピラニアを包み込んでしまった。

 盛り上がった地面に手を突くと、ドンッという低い音が響き、盛り上がっていた地面が一気に平らにされていた。平らになった地面からは経験値が出てきて、ピラニアが押しつぶされたことが分かる。


 フィーシュの所にもピラニアが突撃してくるが、フィーシュは簡単に避けていく。そして、避けたと同時にピラニアのお腹に向かって『スマッシュ』をぶつける。水中で使っているからか、無属性で魔力をぶつけるだけの『スマッシュ』に水が混ざり、水の球となっていた。何度かお腹に当てているとピラニアが動かなくなり経験値を出した。


 3人とも簡単にピラニアを倒したことで、3人の近くを泳いでいた他のピラニアたちの動きに変化が現れる。すぐに突撃するのではなく、周りをぐるぐると周りながら攻撃する機会を狙っているようだ。そして3人を標的から外して、俺に切り替えてくる。



(来るか、えい!)



 俺は身体を前に倒しながら突撃してきたピラニアの動きに合わせて剣を構える。攻撃が届く距離まで近づいてきたら、横に薙ぎ払い1体のピラニアを一刀両断にした。



(意外と脆いんだな)



 ピラニアの身体からは血と一緒に経験値も出て、経験値が俺の中に入ってくる。この調子で残りのピラニアを倒そうと思っていたら、ピラニアたちが狂ったように動き始めた。


 俺が一刀両断したピラニアから出てくる血を嗅いだピラニアは、青かった目が赤く染まり、先ほどよりも速く泳いでいる。そして俺の腕に噛みついてきた。



(うあぁぁぁっ!)



 あまりの痛みに大量の空気を吐き出してしまう。今も腕に噛みついていてとても痛い。俺は剣を逆手に持ち替えて、腕に噛みつくピラニアに刺して引き剥がす。これにより水中に血が多くなり、残っているピラニアたちの目も青から赤く染まって攻撃的になっていった。


 ピラニアたちはフィーシュの所に一斉に向かうと、フィーシュは手を振って小さな水の球をピラニアたちに次々当てて貫通させる。穴の開いた所からピラニアたちの血が流れ、徐々に動きが鈍くなり、動かなくなった。


 こうしてピラニアたちを全滅させると、ミートは魔素の核に警戒しながら近づいてハンマーを振り下ろして、魔素の核を破壊した。


 これで残りは4つだ。

フィーシュのジェスチャーに従って、俺たちは湖の下に進んで行く。


下に進むほど暗くなってくるが、先を行くフィーシュがランタンを付けて水中を明るく照らす。


明かりをつけたことで湖の底に魔素の核を発見、ミートがハンマーで壊そうとするが、魔素の核の近くの地面から現れたピラニアによって阻止される。


ミートはハンマーで、ベジタは地面の土を使って、フィーシュは『スマッシュ』を使ってピラニア倒していく。俺は剣で一刀両断したことで、ピラニアが血を流してしまい、ピラニアの目が赤く染まり速く動き、噛みつくようになってきた。


そこから周りにいたピラニアたちも赤く目を染めて攻撃的になったが、フィーシュが全滅させてくれたおかげで俺たちは勝利することが出来た。


ミートは魔素の核をハンマーで破壊して、残る魔素の核は4つになった。



魔物の紹介


・ピラニア


ギザギザの歯をした青い目の魚、突撃をして攻撃してくるがあまりダメージは無い。血に反応して目の色が青から赤に変わり、動きが速くなり、噛みつきをしてくるようになる。


防御力はそこまで高くないので簡単に倒せるが、複数体で出現するので、1体でも血を出させてしまうと戦うのが大変になる。

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