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124話 ☆3『魔素の核の破壊』①(コア)

「そろそろ帰るか」



 魔力も体力も使い切って、今日の鍛錬を終えて帰ろうとすると、コップを片付けに訓練所から離れていたギルド職員が戻ってきて、俺と目が合うと、頭を手でかきながら声をかけてくる。



「シンってアンタのことであっているかな?」


「はい、確かに俺はシンですが」



 俺がシンであると分かると、さっきまでだるそうにしていた態度を辞め姿勢を正す。



「シンさん、ギルド長のドラコニスさんから『明日受けてもらうクエストについて話しがある』とのことです。訓練場を出ましたら、受付のギルド職員にこのことを伝えて、呼ばれるまでギルド内で待機をお願いします」



 俺は口を開けて固まるほど驚いていた。



「何か分からないことでもありましたか?」


「……いえ、ミートさんたちは美人だったし態度を変えるのは分かりますが、俺にも態度を変えるんだなと思いまして……道具を貸してくれるときはそんなんじゃなかったのに」


「…………サボったらまずい仕事は真面目にやるさ、これが楽な仕事のやり方なんだよ。ではシンさん、分からないことはないですね?」


「大丈夫です」



 俺がそう答えると、ギルド職員は道具を貸し出す所に戻り休み始めた。


 俺は借りていた的を返して、服に付いた汚れを軽く落としてから訓練所を出た。そして、受付にいるハンナさんに伝えて、ドラコニスさんを待つ。






 ■






 食堂でミルクを飲みながら10分ほど待っていると、ハンナさんが俺の所まで来る。ドラコニスさんの準備ができたみたいで、これから会議室で詳しい内容を話すようだ。


 俺はハンナさんに連れられて会議室まで向かった。






「待たせてすまない」



 会議室に入るとイスに座っているドラコニスさんはそう言って、イスに座るように手で示す。ハンナさんは扉を閉めて、ドラコニスさんの斜め後ろで待機する。机にはこれから話すことの資料などが広げられていた。



「昨日シンくんたちには『アルンの湖調査』をしてもらったね、その結果が出たんだが、どうやら湖の中に魔素を生み出している核が置かれていると分かりました」


「え、それはいったい!?」


「おそらく魔王軍が仕掛けたと予想している。湖に魔素が増え始めたのを計算すると、ちょうど君が魔王幹部であるブランチと接触をした数日前ということになるそうです。街から離れて人が少ないアルンの湖なら、魔素の核を仕掛けることも簡単なはずです」


「邪箱以外にそんなことまでやっているとは!」



 魔王軍の動きを予測できていなかった自分に怒りが込み上げてきて、両手を強く握りしめる。



「そこで明日の明け方から数人の冒険者と一緒に魔素の核の破壊をクエストとしてお願いする」



 ドラコニスさんがハンナさんに紙を渡すと、ハンナさんはそれを読み上げる。


 ――


 (ほし)3『魔素の核の破壊』


 クリア条件:魔素の核を全て探し出し破壊もしくは機能停止状態にする


 報酬金:500(ゴールド) 3000GP(ギルドポイント)


 参加条件:ギルドが指名した冒険者のみ


 ~依頼内容~


 アルンの湖の中に、数ヶ所ほど魔素が生み出される所があり、それを水中に潜って破壊もしくは機能停止状態にしてもらう。


 水中に潜るので、エアーポーションがあると便利。


 ――


「どうかな?」


「分かりました、受けましょう」


「ありがとう」


「ところで、俺以外に参加する冒険者ってアルンの湖調査に参加したリクたちですか?」


「いえ、彼等ではなく別の冒険者が参加します。シンくんとは一緒にパーティーを組んだりしたことのないので、面識はないはずですよ」


「魔王軍の活動について下位冒険者には詳しい内容は伏せているんですよね、その冒険者たちは平気なのですか?」


「そこは大丈夫です、今回参加するクエストをクリアすることができれば、上位冒険者になることを、この会議室で伝えてあります。これからはその冒険者にも魔王軍と戦ってもらうために動いてもらうことになりますので、まだ魔王軍については内密に……」


「分かりました」



 明日会う冒険者がどんな人なのか楽しみになっていた。上位冒険者になれるくらいの実力なら、相当強いだろうし頼りになる。俺はナーゲさんやナックルさんみたいな人を想像していた。



「では明日は明け方から街を出るので4時くらいにはギルドに来てください。かなり早いですが起きられそうですか? もし時間になっても来なかったらシンくんの住む宿屋までギルド職員を向かわせて起こしに行かせますね」


「自分で起きるので大丈夫です!」


「分かりました、明日はよろしくお願いします。そうそう、朝が早いので宿屋の食堂は使えませんから、今のうちに朝食を用意するか、もっと早く起きて食べておいた方が良いですよ。では、失礼します」



 ドラコニスさんは机に広げてあった資料を片付けて脇に抱えて、会議室から出て行った。



「シンさん、戻りましょうか」



 ハンナさんにそう言われて立ち上がり会議室から出る。受付の所まで送ってもらい、そこでハンナさんと別れて、食堂で明日の朝食として食べるお弁当を買って、宿に帰るのであった。


 明日早いから早く寝なきゃいけないと思って明るい時間から布団を敷いて眠ろうとする。


 普通ならこんな時間に眠れるはずがないが、久々に魔力も体力も使い切り精神と肉体が疲れていたので、目を閉じて数分で俺の眠りについた。






 ■■






 目を覚ますと空はまだまだ暗いが、徐々に明るくなってきているようだ。


 かなり眠ったおかげで、加護も魔力も全回復していた。買っていたお弁当を食べ、俺はギルドに向かう。


 ギルドへ向かう道中はとても静かで、涼しい風が耳元を通る音と、俺の足音だけが聞こえていた。


 先へ進むと、大きな食堂から笑い声などが聞こえてくる。出入り口から出てきた冒険者の顔は赤くなってふらふらと歩いているようだ。


 その冒険者の横を通るとお酒の臭いがしたので、酔っぱらっているのだと分かる。


 こんな時間にもこの大きな食堂は賑やかになるほど営業していることに驚きつつも、ギルドへ向かうのであった。


 ギルドに着いて中に入ると誰も待っていない、時計を見るとまだ3時半だった。俺は食堂のイスに座り、料理人が料理の仕込みをしている所を眺めながら、約束の時間まで待つことにした。

訓練所の店員(ギルド職員)から、ドラコニスさんの伝言を聞き、話を聞きに行った。


会議室でドラコニスさんは、昨日のアルンの湖調査で湖に魔素の核があることが分かり、

それを俺にクエストとして出してきた。


クエストの内容は、アルンの湖にある全ての魔素の核を破壊か機能停止状態にすること。


朝早くから湖に向かうため早く寝て早く起き、一緒に魔素の核を破壊しに行く冒険者をギルドで待っている。

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