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120話 訓練所で鍛錬!①(無料)

 俺は目を覚ますと、眠い目を擦り窓の外を見る、今日は曇りの天気のようだ。



「今日もクエスト頑張るぞ……いてて!」



 布団から起き上がると、全身からピリピリとした痛みを感じる。服をめくって肌を見てみるが傷はどこにもない、それでもやっぱりピリピリと痛みは感じていた。



「もしかして……」



 俺は自分の腕に爪を立てて引っ搔いてみた。すると、引っ掻いた部分は赤い線が出てきてジンジンと痛みがゆっくり引いていくだけで、すぐには痛みが消えなかった。



「これって昨日ダメージを受けすぎて加護が回復しきれていないってことなのかな? だとしたらクエスト受けて街の外に出られないな、どうしよう」



 俺は少し悩んだが、今日はクエストを休むことにした。


 どのみち加護が無くなっている以上、魔物との戦闘は今まで以上に命がけになる。スライムくらいなら無傷で倒せそうだが、途中で別の魔物と戦闘になっても困る。


 しかし、部屋でやることは魔法書を読んで魔法を覚えるくらいしかない。そこで俺は閃いた。



「そうだ! 加護は無いけど魔力はあるから、久々に魔法の鍛錬でもやろう! でもどこで鍛錬しよう、魔法使っても大丈夫で魔物などの危険がない場所ってあるのかな? とりあえずギルドで聞いてみて、無さそうだったら冒険者学校の訓練所を借りることにしよう」



 そう思って俺は魔法書を袋に入れて朝食を食べ、ギルドへ向かった。






 ギルドに着くと、ハンナさんの所に向かう。



「ハンナさんおはようございます。この辺りに魔法を試しに使っても大丈夫な場所ってありますか?」


「シンさんおはようございます。訓練所のことですね、ギルドにもそういう施設はありますよ」


「じゃあそこを使わせてもらうことってできますか?」


「はい、冒険者なら誰でも利用することができます。1日100(ゴールド)で入ることができ、訓練所で道具などGP(ギルドポイント)を払うことで貸し出しています。今から利用しますか?」


「そうですね、お願いします!」



 俺は100(ゴールド)をハンナさんに渡した。ハンナさんは焼き印を何かの紙に押し付ける。



「ではこちらをお渡しします。今日限り使える訓練所の出入り許可証です。この許可証を見せることで訓練所を自由に出入りできます。ただし、無くされますと訓練所には入ることができなくなりますのでご注意ください。

 訓練所の場所は右側にある道具屋の奥に訓練所があります。許可証の裏にも場所が書いてあるので、分からなくなったら見てください。訓練頑張ってくださいね」


「ありがとうございます、頑張ります!」



 俺は早速訓練所に向かった。






「道具屋の奥って言っていたよな、どこにあるんだ?」



 奥の方を見てみるが、商品が置かれている棚や壁しか見つからない。俺は許可証の裏を見て場所を確認する。簡単に地図が描いてあって、これなら辿り着けそうと思った。



「……俺のいる位置がここだから、訓練所の場所は……」



 俺は地図を見ながら目的の場所までゆっくり歩いていく。すると、道具屋の受付の前に着いてしまった。



「あれ?」


「いらっしゃいませ、本日はどのようなお品をお探しで……おや、それは訓練所許可証ですね。どうぞこちらへ」


「え?」



 道具屋の店員が受付から出てきて、受付の奥にある扉に手を向けている。俺は地図に描かれた場所を見る。何度確認をしてもあの扉の先が訓練所となっている。



「あ、道具屋の店員に見せることで訓練所が使えるのか!」



 いつ利用する人がいるか分からないものに人を配置できない、それなら常にいる店員に許可証の確認をさせるというのは納得である。


 俺は店員の目の前を通り扉を開ける。後ろを振り返ると、にっこりと笑った店員が俺を見送ってくれていた。そんな店員に「いってきます!」と声をかけ、訓練所に向かって行った。






 ■






 長い廊下を歩いた先に、明るい所に出る。



「ここが訓練所か……」



 訓練所の広さは、冒険者学校の訓練所の倍以上は確実にある広さだった。



「そういえば、道具を貸してくれるってハンナさんは言っていたっけ。どこで借りられるんだろう?」



 辺りをきょろきょろと見渡すと、色々物が置かれている所があった。俺はそこを目指して歩くと、机に足を乗せて寝ている男の店員がいた。



「あのー」


「…………」


「すみませーん」


「…………」


「どうしよう、起きないな」


「……ん? 何か用か?」


「あ……起きた。道具を借りたいんですけど、いくらで借りられるんですか?」



 店員は起きたが態度は悪い。俺は少し不機嫌になったが、顔に出さずに道具の貸し出し値段を聞いた。



「あー、いくらかね…………面倒だから好きなの使っちゃって良いよ」


「え? どういうことですか?」



 店員の言っている意味を理解できなくて聞き返してしまった。



「無料で使って良いってこと」


「それはさすがにまずいんじゃ……」


「誰も借りに来なかったって言うから心配いらないさ、ただし壊したらさすがにその言い訳はできないから絶対に壊すなよ」


「は、はい」



 店員の圧に負けて、俺は首を縦に振ってしまう。



「それで、1人で何の訓練をするんだ?」


「魔法の訓練をしようと思っています」


「ふーん、ここにわざわざ来るくらいだから攻撃魔法なんだろ? どのくらいの規模の魔法を使う気だ?」


「初級の魔法を試すつもりです」


「なるほどな……じゃあこいつで良いな」



 店員は机から足を下して、1つの道具を俺の所まで持ってくる。



「的?」


「そうだ、的だ」



 店員が持ってきたのは俺の知っている色の的よりも暗い色をした的を持ってきた。



「この的は特別製で、ガル・ドン級の魔法程度の威力なら壊れない代物だ、初級魔法を試すなら絶対に壊れない」


「絶対高いですよね!? そんな物を無料で使うなんて……」


「下位冒険者じゃなかなか借りられない程度の道具だな、まあアンタは有料で使いたいみたいだし、面倒だが手続きしてやるよ」


「いえ、ありがたく無料で使わせていただきます!」



 いくらかかるか分からなくて怖いので、無料で使わせてくれるというのであれば、甘えさせてもらう。



「そうそう! 甘い言葉には素直になるのが賢い選択だ」



 俺は店員から的を受け取ると、訓練するために早速壁に設置しに移動を始める。


 俺が的を持ちながら移動を始めると、俺以外にこの訓練所を使っている冒険者たちが店員の所に来たみたいだ。


 ちらちらと振り返りながら様子を見る。冒険者たちは3人いて、全員女性のようだ。店員は俺の時と態度を変えて、丁寧に対応をしていた。


 俺は冷たい視線を店員に少し浴びせると、さっさと自分の訓練を始めるために、ちらちら見ることを止め、的の設置に集中した。

昨日のクエストのダメージ大きすぎて、1日立っても加護が回復していなかった。


こんな状態でクエストをやるのは危ないので、訓練する日に決めた。


ギルドに行って魔法を使える場所を探すと、ギルドの訓練所を100(ゴールド)で使えるとのことなので使うことにした。


道具屋の奥に訓練所があり、長い廊下を歩くと冒険者学校にある訓練所の倍以上の広さの訓練所があった。


道具の貸し出しをしている店員は態度は悪かったが、道具を無料で貸してくれた。それも下位冒険者がなかなか借りられない程の道具のようだった。


ちなみに店員の態度が悪くなるのは男だけのようで、女の冒険者たち3人が道具を借りに来たとき、丁寧な対応をしていた。

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