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12話 授業!⑤(実戦)

 リクとの別れを終えて、朝の鍛錬をするため校庭に着いた。まだみんな鍛錬を始めていないようだ。


「なんで鍛錬始めないの?」

「あぁ、ランド先生が待ってて欲しいって」


 俺は、すでにいる生徒に聞いてみたらそのように言われた。何やら騒がしくなった、どうやらランド先生が来たみたいだ。武器の入った大きな入れ物を持って運んでいる。それを俺たちの前にドカッと置いた。


「今日からみなさんには、武器を装備して走ってもらいます。冒険者は普段から武器や防具を装備しているのが当たり前です。まずこれに耐えられないようでは、魔物との戦闘は厳しいものになるでしょう」


 ランド先生が持ってきた入れ物の中を見ると、金属製の武器が入っていた。どうやら鍛錬が厳しくなるようだ。俺は使い慣れている剣を取り出す。


(うっ……重い……)


 木製の武器を初めて持とうとしたときと似た感覚。持っているだけで息が荒くなる。武器の種類が違うとはいえ、みんなは楽々持ち上げている。俺は剣を背負うことで少しでも楽に動けるようにする。


「武器は装備できましたね、では訓練を始めてください」


 みんないっせいに走り出す、やはり武器の重さでいつもよりペースが遅くなっている、俺はもっと遅くなっている。


「はぁ……はぁ……なんとか走り切った……」


 汗はだらだらと流れ、座り込んで休んだ。


「今日鍛錬はきつかったね……シンくん大丈夫?ほら水飲んで」

「あぁ……ありがとう、ちょっと休めば大丈夫だよ……」


 肩で息をしている俺にアオが水を持ってきてくれた。


「シンくんは本当に体力が無いのですね。リクくんと戦っていたときはもっとマシな動きをしていましたのに」

「あのときは木製の武器で今より軽かったから動けたんだよ」

「本当かしら?」


 ユカリはため息交じりでそう言ってきた。俺は武器の重さのせいにした。そしたらユカリは疑うような目で俺を見てくる。


「そういえば、3ヶ月前からいたリクなら金属製の武器も使ってたはずだよね、なんで木製の武器使って俺が避けられる速さで攻撃してたんだろう?」

「……手加減していたんじゃないか?」

「やっぱりそうだったのかなぁ」


 リク本人に聞くまで分からないけど、ハクの言っていたように手加減してる可能性の方が高い気がした。みんなと話しているうちに身体の疲れも取れてきて立ち上がれるようになった。


「みなさん疲れは取れましたね?魔法の鍛錬も1段階厳しくしますよ」


 魔法の鍛錬も厳しくするようだ。言うタイミングは俺の回復に合わせていたように感じる。


「今までは身体に魔力を巡らせるだけでしたが、みなさんはもう慣れ始めているので、今回から魔力を外に出してもらいます。このように手に魔力を集めてみてください」


 ランド先生は手に球体で半透明な魔力を出していた。生徒たちは、真似て魔力を手に集めるまでは上手くいくが、形は球体とはならなかった。当然俺も魔力を球体に維持できない。


(っ……魔力を外に出すから、ふらつくのが早いな……)


 まだまだ魔力の総量が少なく、身体から離れるだけでも辛くなる。球体になろうとしては崩れて消えるを繰り返す。しばらくすると、大きめのめまいがして膝をつく。


「ふぅ……今はこれが限界……ってことかな」


 みんなはまだまだ魔力があるのか挑戦している。身体から出すほどの魔力は残っていなくても、昨日までやっていた鍛錬に難易度を下げる。少しでも差を縮めるために人より多くやろうとする。まだまだ身体は出来上がっていないので少なめの量しかできないが……


「はいそこまで、今日の朝の鍛錬は終わりです」


 厳しくなった鍛錬にみんなへとへとのようだ。


「お昼にも鍛錬をしますので、しっかり身体を休めるようにしてください」


 今までお昼は知識を増やすための授業になっていたが、どうやら今日からは鍛錬の方をメインにしていくようだ。


 ――


 昼食を済ませ、再び俺たちは校庭に集まる。朝にやったことをやるのかと思っていたが、昨日までやっていた鍛錬の時間を長くするだけのようだ。朝の疲れがまだ完全に抜けたわけではないが、武器を持たずに走るため楽だった……のだが。


「あと15分です、頑張ってください」

(まだ……半分……)


 俺たちはもう15分走り続けている。今まで10分走る鍛錬は30分走る鍛錬に変わっていた。朝にやる鍛錬が短期戦向けだとすると、お昼は長期戦に向けての鍛錬であろう。最初に飛ばしてた生徒が、今はかなりペースを落として抜かれている。


「戦闘は1回で終わることはありません、何回も戦闘し続ける体力をつけてもらいます。戦闘で全体力を使って帰れないなどでは意味がありませんから」


 なんとか倒れることなく30分走り切った。そのあとの瞑想の時間も当然長くなった。


 ――


 そうした生活から3週間も経過すると更に厳しくなった。


 朝は武器と防具を装備して走らされたり、お昼は45分走り続ける。魔力は離れた的に向けて飛ばすようになった。走ることには慣れてきているし、魔力は球体にできるようになっている。武器だって振り回せるようになってきた。




 今は久々に町の外に出ている。そう、初めて魔物との実戦訓練だ。武器も防具も身に着けている。


「これからみなさんにはスライムと戦ってもらいます、1パーティ10人以上とかなり多いパーティメンバーですが油断はしないように」

「「「はい!」」」


 草むらの向こうにスライムを見つける。ランド先生は今はいない、いるとスライムが逃げ出してしまうので離れている。つまり俺たちだけでスライムと戦わないといけないということだ。


「……?」


 スライムがこちらを向くが敵意を向けてこない。やはり大人しい魔物のようだ。


「おりゃ!」


 仲間の1人がスライムに攻撃する。警戒していなかったスライムに簡単に攻撃が当たる。ただ、ダメージが少ないのかまだまだピンピンしていた。


「スラ!スラ!」


 スライムはいきなり攻撃されて怒っているようだ。仲間の1人に体当たりをしてくる。


「うぁ!」


 お腹を攻撃された仲間は痛そうにしていたがすぐに戦闘復帰した。あのスライムの攻撃では加護を壊すほどのダメージではないみたいだ。


「今度は俺がいく、えいっ!」


 俺も攻撃に参加する、剣を思いっきり振る。それはスライムに当たった。この世界に来て約1ヵ月でシンは初めて魔物に攻撃を当てたのである。そう、当てただけ。ダメージは無かった。



 シンの攻撃はスライムの柔らかい肌に傷を付けることができなかった。



「えっ……そんな……」

「おい!攻撃したら早く離れろ!」

「スラ!」


 ダメージが入らなかったことで頭が真っ白になり、仲間からの声にも反応できずスライムの反撃を受けてしまう。


「ほぁっ!」


 俺は体当たりで押され倒れる。攻撃されたところがまだ痛い、加護が1発で切れた。シンを助けるために何人かはスライムに攻撃をする。切って切って切りまくる。その間にシンは後ろに避難する。


「これでとどめだぁ!」


 仲間たちがスライムを倒し歓声が沸く。倒した魔物から経験値が出ていく。少し離れた位置にいたシンは、スライムに傷を付けた仲間に経験値が入っていくのが見えた。とどめを刺した仲間にはより多くの経験値が入っていった。



(あぁ……俺は……どうすれば……)



 仲間たちの方ばかり見ていてシンは気が付かなかった。

 シンに向かって経験値が近づき入っていったことに。

シンくんが魔物に攻撃当てたよ!やったね!(0ダメ)

さすがに修行シーン多くて全然話し進まないので、やり過ぎない範囲で時間進めました

(・∀・)

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