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117話 ☆3『アルンの湖調査』③(竜巻)

「うわぁ……水の中に入っちゃったから、レインコートは無事でも中に着ていた服は濡れちゃったよ……」


「濡れた状態でカミナリクラゲの攻撃を受けたらまずいんじゃないか? 水属性は雷属性と相性悪いし、さっきよりダメージ上がりそう」



 リクの言葉に俺は背筋が凍る。これからカミナリクラゲの攻撃を身体で受け止めようとしているのに、ダメージが上がるなんて計画が狂ってしまう。



「そうだよね、いま雷属性の攻撃を受けたらまずいかも……」


「じゃあ俺が少しだけ乾かすよ、と言っても服に付いた水を動かすだけなんだけどね、これで今よりはダメージを減らせるはずだよ」


「ありがとうカイト! 早速お願いするよ」


「じゃあ始めるよ、くすぐったいだろうけど我慢してね」



 カイトは俺のレインコートの下から手を突っ込み、俺の肩に手を置いた。そしてゆっくりと撫でるように肩から足首までサンダーガードの服に触れる。俺は触られている間、くすぐったいのを我慢していた。


 服から手を離してレインコートの外に手を出すと、カイトの手の平には水が集まっていた。



「これがシンの着ていた服に付いていた水だよ」


「これだけの水がよく手からこぼれないなー」



 俺がそう言うとカイトはニヤッとした顔をして、手の平を下に向ける。水がこぼれると思っていたが、カイトの手からは水は落ちなかった。その水を湖に投げ捨てる。



「俺は水魔法が使えるから、シンの服に付いた水を操っているだけだよ。どうだい? もう服は濡れてないだろ」


「本当だ、全く濡れてない!」


「じゃあそろそろ出発するぞ」



 リクがそう言うとリクとソラはイカダの横に立ち、オールで漕ぎ始める。カイトはイカダの後ろ側に座り、水に手を入れると、水を操ってイカダが速く進むようになった。



「見えたぞ、カミナリクラゲだ!」



 俺がそう叫ぶ、すると顔だけこちらに向けたカイトがリクとソラに指示を出す。



「リク、ソラ! カミナリクラゲが雷の球を飛ばしていたら、オールを使ってイカダの進行方向を変えて! 避けられそうなのは避けよう」


「「分かった!」」


「雷の球がくるよ!」



 カミナリクラゲがこちらに気が付いて雷の球を飛ばしてくる。リクとソラは同時に方向転換しようとした。



「2人同時に変えようとして方向が変わってない! シン頼んだよ」


「う……うん! うあっ!」


「シン!」



 雷の球が当たった衝撃でイカダから落とされそうになったが、リクが落ちそうになる俺を支えて助かった。



「次来るよ! ソラ頼んだ」


「分かった!」



 ソラだけが漕ぐことで方向が変わり、飛んできた雷の球を避ける・



「今度はリクの番だよ!」


「いいぜ!」



 リクだけが漕いで新たに飛んでくる雷の球を避けながら、進む方向を真っすぐに変える。ジグザグに進みながらも確実にカミナリクラゲに近づいている。



「あのくらいなら俺の攻撃が届きそうだぜ」



 リクはオールをイカダに置いて斧を構えると、カミナリクラゲに向かって飛んで攻撃をする。



「『アースクラッシュ』!」



 リクの『アースクラッシュ』がカミナリクラゲに当たり身体の一部に傷を付ける、しかし……



「うわぁぁぁ!」



 リクの身体からバチバチっと電気が流れて、斧を振り下ろした状態のまま湖に落ちてしまった。



「触れたら電気がカウンターで襲い掛かってくるのか!」


「そういうことか、ソラ、この距離からカミナリクラゲを移動させられる?」


「いけるさ、シン俺の背中を抑えていてくれ」


「うん」



 俺はソラの背中を支える、ソラは両手をカミナリクラゲに向けた。



「『ドン・トルネード』!」



 ソラの両手から激しい竜巻がカミナリクラゲに向かった。浅い切り傷をカミナリクラゲに付けているだけでなく、カミナリクラゲが竜巻によってその場から移動させられている。



「そのまま陸まで押し込め!」


「クソッ……どうやらそれは無理そうだ……イカダとカミナリクラゲの距離を見てみろ」


「え?」



 俺はイカダとカミナリクラゲを交互に見る、確かにカミナリクラゲは俺たちから離れている、しかし、イカダも『ドン・トルネード』の風で離れていた。


 カミナリクラゲから離れてしまい、思うように陸まで押し込めないでいた。これ以上は無駄と判断したソラは『ドン・トルネード』を使うのを止める。


 もう一度近づくためにリクが置いて行ったオールを俺が持ち、イカダをジグザグに進めながら雷の球を避けていく。


 その時、カミナリクラゲの近くにブクブクッと気泡が浮き上がる。



「ぷはぁ!」



 水面から顔を出したのは、さっき水に落ちたリクだった。カミナリクラゲが俺たちからリクの方に向きを変えて、雷の球を飛ばそうとしている。



「『ドン・ウィンド』!」



 切れ味の良い風で雷の球を飛ばそうとしている触手を切り落とそうとするが、他の触手に阻まれてしまう。



「間に合わない!」


「リク逃げて!」



 ソラも俺も焦っていた。ここからリクを助ける方法はないかと考えているとカイトが剣を取り出し、湖に短剣を刺しながら、イカダの前の方まで移動する。



「『ウォーターブレード』!」



 カイトは短剣に水を纏わせてとても長い水の剣を作る、そしてその『ウォーターブレード』をリクの頭上に向かって振るった。カミナリクラゲはそれに少し遅れて雷の球をリクに向かって飛ばした。






「うあっぁぁ!」






 叫び声を上げたのはカイトの方だった。雷の球はカイトの『ウォーターブレード』に当たり、リクに当たることなく相殺することができた。ただ、水を伝ってカイトに雷の球のダメージが襲い掛かる。



「カイト!」


「うぅ……俺のことより、リクを」


「うん、リク! こっちまで来れる!?」


「今行く!」



 リクは潜ってカミナリクラゲの視界から外れながらこちらに向かって来ていた。当然標的になっていたリクがいなくなったことにより、再び俺らに雷の球が飛んでくる。


 カイトがいま動けないので、イカダを動かして避けることは間に合わない、俺は雷の球に自ら飛びつく。



「うあっ!」



 衝撃は強くなったが、飛びついたことでイカダの真ん中あたりまで飛ばされる程度で済んだ。



「リク、俺の手に掴まれ」


「助かるぜソラ」



 イカダの近くまで来たリクをソラが手を差し出して引き上げる。カイトもダメージが回復したようで動けるようになった。そしてリクに次の案を伝える。



「リク、濡れた身体でこんなことを頼むのは申し訳ないけど、カミナリクラゲを斧の腹の部分で叩いて陸まで飛ばしてほしいんだ、相当なダメージを受けるが頼めるか?」


「それであいつを陸に連れて行けるんだろ? やってやるぜ!」


「よし! じゃあソラ、俺と一緒にイカダを速く動かすことを優先して。シンはカミナリクラゲに向かって進むようにオールで微調整をしてくれ」


「「「分かった!」」」



 俺はイカダの先頭でオールを持ち、リクは斧を構えて、カイトとソラはイカダの後ろに移動した。



「行くぞ!」


「『ドン・トルネード』!」



 カイトとソラが一緒にイカダを速く動かす、俺はオールを使いカミナリクラゲの真正面に合わせる。



 当然雷の球が飛んでくるが、俺が進行方向を調節する役目は果たしている、あとはこの雷の球がみんなに当たらないようにするだけ。俺は雷の球に身体を当て、カミナリクラゲに向かって進んで行くイカダに乗ったリクの背中を見ながら湖に落ちた。



「今だリク!」


「今度こそ決めてやるぜ!」



 イカダの速さも利用しながら飛び出したリクは、思いっきり斧の腹でカミナリクラゲを叩いた。



「うあああっ!」



 叩いた瞬間リクに電気が流れるが、カミナリクラゲを湖から陸まで飛ばすことができた。そして運よくリクが落ちた場所はイカダの上だったので、そのままリクとカイトとソラの3人でカミナリクラゲを追いかけて行った。






「ぷはぁ、俺も早く合流しないと!」



 俺はみんなを追いかけて泳いで向かった。

カイトに服に付いた水気を取ってもらった。


カイトが水を操ってくれることで早く移動できた。そして、リクとソラが方向転換させてジグザグにイカダを動かすことで雷の球を避けていく。


リクがカミナリクラゲを直接攻撃すると、触れたことで電気のダメージを受けながら湖に落ちる。


ソラは『ドン・トルネード』を使ってカミナリクラゲを移動させる。


湖に落ちたリクが浮上したところにカミナリクラゲが雷の球を飛ばしてくるが、カイトの『ウォーターブレード』でなんとかリクに当たることを防ぐ、しかし水を伝って電気がカイトにダメージを与えてしまった。


カイトとソラが一緒にイカダの速度を上げて、リクが斧の腹を使いカミナリクラゲを陸まで飛ばすことに成功。そのあとリクとカイトとソラの3人で陸に飛ばされたカミナリクラゲを追いかける。



魔法の紹介


・『ドン・トルネード』


切れ味はそんなに高くないが、思いっきり風を吹かせて竜巻を作り、風の力で吹き飛ばす。

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