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116話 ☆3『アルンの湖調査』②(筏)

 湖の上に浮遊するカミナリクラゲは、雷の球を何個も作り俺たちに向けて飛ばしてくる。



「リク、今度はたくさん壁を作って!」


「分かったぜ! 『アースウォール』『アースウォール』『アースウォール』!」



 カイトがリクに指示すると、リクは地面を叩いて土の壁を作る。そのあとバックステップで下がり、また地面を叩いて土の壁がどんどん作っていった。雷の球が当たったのか、土の壁が崩れる音がしたが、俺たちの目の前にある土の壁は傷一つ付いていない。



「しばらくはこっちに攻撃が来ないみたいだ。ソラ、カミナリクラゲに攻撃できるか? 湖の上にいられたらまともに戦えない」


「やってみる」



 ソラは土の壁の横から身体を出し、笛の音をカミナリクラゲに向けて奏でる。


 カミナリクラゲは音を聞いて動きがおかしくなり始めたが、空がピカピカと光ると、雷が落ちて笛の音をかき消してしまった。そのせいで、ソラの笛の音で動きが鈍っていたカミナリクラゲが動けるようになってしまった。



「ダメだ、雷が邪魔して俺の笛が効かない!」


「あいつまた雷の球を飛ばしてくるぞ!」



 カミナリクラゲは再び雷の球を飛ばしてくる。今度は土の壁を全て破壊して俺たちに当ててきた。



「うわぁぁぁ!」


「うあっぁぁ!」


「いっっってぇ!」


「うっ!」



 リクとカイトと、ソラと俺は雷の球の電撃を受けた。土の壁を壊した威力や、みんなの電気で痙攣した身体の反応を見るからに、かなりのダメージだと思っていた。しかし俺はカミナリクラゲの雷の球を受けた衝撃で軽く飛ばされたが、電のダメージに関しては静電気くらいの軽さに感じた。



(もしかしてサンダーガードの服の効果か!?)



 カミナリクラゲの雷の球を、俺はサンダーガードの服のおかげで、みんなよりダメージと感じないみたいだ。


 だが、いくらダメージが少ないからといって、湖の上に浮遊しているカミナリクラゲに対して、解決法にはならない。いったいどうすればいいのか……


 そう思っていると、カイトから一旦森の方に戻るように言われる、どうやら作戦会議をするらしく、カミナリクラゲの攻撃範囲から離れるようだ。



「それでどうする? カミナリクラゲは湖から離れる気が無いみたいだぞ。俺の風魔法で攻撃できるが、あれだけ離れていると決定打にならないし、水がすぐ近くにあるからダメージ与えても再生されちまう」


「陸に連れて行かないと倒しようがないよね……あっ、倒せないんだったら、放置しておくのが良いんじゃない? 湖から動かないなら被害は少ないだろうし」


「それじゃあ俺たちのクエストがクリアできない。アルンの湖の調査が俺たちの目的なんだから、カミナリクラゲがあそこにいられたら困る」


「じゃあどうするのさ」



 みんなカミナリクラゲの対処に悩んでいるようだ。そんな中、カイトが呟く。



「……湖に入ってみるか?」


「何言っているんだ、そんな所で戦えるわけないだろ」



 カイトの無茶な案にソラが反対する。



「誰も戦うなんて言っていない、カミナリクラゲを陸に連れてくるには、どうしたって近づく必要がある。だから水中からカミナリクラゲを……」


「待って、水中からじゃなくても近づけるよ!」


「シン、何か策があるのか?」


「うん!」



 俺はわざわざカイトが湖に入らなくても良い方法を知っている。それが使えるか確認するために、木の陰で隠れているギルド職員に話しかける。



「ギルド職員さん! 確か湖にはイカダがありましたよね!」


「はい! 確かに船着き場があって、そこにイカダがあります!」



 ギルド職員は木の陰から顔だけ出して答えてくれた。



「イカダがあるから、それに乗ってカミナリクラゲに近づくんだ」


「そんなの無茶だ、イカダの上じゃ避けることも出来ないし、地面が無いからリクの『アースウォール』も使えないぞ!」


「大丈夫、さっき雷の球を受けて分かったんだけど、俺はこのサンダーガードの服を装備しているおかげで、雷のダメージはほとんど感じなかった。だから……」


「まさか飛んできた雷の球を自分の身体で受けるつもりか?」


「……うん」



 俺は頷いてみんなの目をじっと見つめて覚悟を伝える。



「分かった、シンがそこまで本気なら俺は止めない、ただダメそうだと分かっても、カミナリクラゲを陸に引きずり出すまで我慢してもらうからな」



 ソラはそう言って俺の肩に手を置く。



「ダメなときはいつでも俺に言えよ! 俺も身体で受け止めるのを手伝うからさ」



 リクは笑いながら俺に言った。



「俺らが守るからって約束したのに、シンに守られちゃってるね……俺なりにシンのダメージが少なくなるように頑張ってみるよ」



 カイトは最初暗い表情だったが、最後にはやる気に満ちた表情をしていた。



「それで、イカダはどこにあるんだ? この天気だと遠くまで見えないから分からないぞ」


「ギルド職員さんはイカダの場所は分かりますか?」


「そうですね、この今いる場所から見える湖の形ですと、たぶんこっちにあると思います」


「そこまで案内してもらって良いですか? もちろんその後はどこかに隠れていてください。俺たちは湖の上にいて助けられないので」


「大丈夫です、イカダが船着き場の近くには小屋もあるので、そこに隠れておきます」



 俺らはギルド職員の後について行く、さっきの位置では見えてなかった船着き場と小屋が見えてきた。



「あそこにあるのがイカダです」


「あれか、普通に使うのには大きいサイズだろうが、これから魔物に近づくとなると小さく感じるな」



 木で出来たイカダの大きさは横3(メートル)で縦5(メートル)、その両側に浮力となる物が取り付けられていた。確かにこの大きさだと不安になってしまう。



「あまり大きすぎても漕ぐのが大変だ、このくらいの大きさでちょうど良いよ」


「じゃあギルド職員さんは隠れてな、俺たちがカミナリクラゲを何とかしてくるぜ!」


「お気を付けて」



 ギルド職員はリクの言葉を聞いて小屋の中に隠れた。



「よし、俺たちもそろそろイカダに乗り込むぞ!」


「「「おう!」」」



 俺が最初に乗り込むと、揺れるイカダと雨に濡れて滑りやすくなっていたせいか転んでしまい、そのまま湖に落ちてしまった。



「うごごごっ!」


「ほらシン、俺の手につかまって!」



 カイトは湖の中に自分の手を入れる。



「っ! この湖の感覚は……今はそれどころじゃない、シン!」



 湖の中にある俺の手を掴みイカダに引き上げられた。



「ありがとうカイト」


「いいよ、ただカミナリクラゲの前でそれをやられたら助けに行くのは大変だから、次からは気を付けてよ。みんな準備は良い?」


「俺はいいぞ」


「俺も大丈夫だ」



 ソラもリクもイカダを漕ぐのに使うオールを持ち準備ができた。



「よし、カミナリクラゲ目指して行くぞ!」



 こうして俺らはイカダを使って湖の上に浮遊するカミナリクラゲの所にまで行くことになった。

ソラが笛でカミナリクラゲの動きを封じようとしたら、雷の落ちる音で笛の音が消されてしまった。


みんな雷の球に当たるが、俺はサンダーガードの服のおかげであまりダメージを受けなかった。


湖の上に浮遊するカミナリクラゲの対処法が無いので作戦を考えた結果、俺を盾にしながらイカダを使って近づき、陸に誘導することになった。



・イカダ


大きさは横3(メートル)で縦5(メートル)

その両側に浮力となる物が取り付けられている。

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