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115話 ☆3『アルンの湖調査』①(変化)

「それで、どのクエストにするんだ?」


「そうだね、今日の不安定な天気を考えると、どれも割に合わないクエストばかりなんだよね」



 リクの問いかけに、カイトは貼られたクエストを色々見ながら答える。



「なあカイト、シンがいるならこのクエストで良いんじゃないか?」



 ソラが指差すクエストをカイトが確認する。



「……よし、これにしようか。じゃあ早速受注しよう」



 カイトは掲示板からクエストを剥がすとハンナさんの所まで持っていく。俺たちもその後ろについて行った。






「このクエストをここにいる4人でお願いします」


「このクエストを4人ですね、分かりました。クエスト内容を確認します」


 ――


 (ほし)3『アルンの湖調査』


 クリア条件:調査を報告


 報酬金:1200(ゴールド) 4200GP(ギルドポイント)


 参加条件:(ほし)2冒険者3人以上もしくは(ほし)3冒険者1人以上


 ~依頼内容~


 ギルド職員と一緒にアルンの湖を調査。

 冒険者はギルド職員を目的の場所まで護衛し、

 無事にギルドまで送り返す。


 必要に応じて、調査にも協力してもらう。


 ――


「このような内容ですが、クエストを受けますか?」


「お願いします」


「それではクエストを受注します。調査に同行するギルド職員を連れてきますので、少々お待ちください」



 ハンナさんは受付から離れ、俺らはギルドにある食堂で時間を潰す。その間に外ではまた雨が降り始めていた。



「あのさ、アルンの湖って何?」


「森の中にある湖の名前だよ」


「森の中……あぁ、あの湖のことか!」



 知らない場所かと思っていたら、以前行ったことのある場所だったので、その時の光景が頭に浮かんでいた。



「シンはあの湖に行ったことがあるの? あそこはこの辺りでは危険な場所なんだけど」


「スライム討伐のクエストを受けていた時に、たまたまそこまで行っちゃったんだ。湖の向こう岸にベアードがいて、俺を見つけるなり泳いで俺の所まで来ようとしていたら、水中から触手がでてきてベアードは捕まって、そのまま水中に引きずり込まれていったのを見ていたよ。あの時は必死であの場所から離れたな」


「その触手はミズクラゲだね。シンの知っている湖は、アルンの湖で間違いなさそうだ」



 アルンの湖について話し終わると、少ししてからハンナさんが調査に向かうギルド職員1人を連れてきた。



「お待たせしました。今回みなさんと同行してもらう方です」


「今日はよろしくお願いします。では向かいましょう」



 レインコートを着たギルド職員は一言俺らに挨拶をすると、すぐにアルンの湖に向かい始めた。






 ■






 街の外に出て森を目指す、軽く雨が降っていて、雨音だけでなく水溜まりの上を歩く音が聞こえてくる。



「ギルド職員さん、アルンの湖に何の調査をするのですか? 道具もほとんど持ってきていないみたいですけど」



 俺が聞いてみると、俺たちがやる調査の詳細をギルド職員から聞かされる。



「今回やる調査はアルンの湖の水質を調べることです。最近アルンの街の北側からの魔物の狂暴化をギルドで何件も報告されていましたが、他の方角の場所からも狂暴化した魔物が報告されるようになりました。その情報をまとめると、どうやらアルンの湖、もしくはその付近が怪しいということみたいです。それを調べる道具は、湖の近くに建てられた小屋に置いてあります」


「なるほど、水質を調べることと何か関係があるのですか?」


「はい、もしアルンの湖に異常が見られれば、それを飲んだ魔物に影響を与えてしまう場合があります。私の予想が正しければ、湖に魔素がたくさん溶け込んだのではないかと考えています」



 ギルド職員はそのように魔物の狂暴化の理由を考えているようだ。



 俺はこの狂暴化が魔王軍の活動が活発になっているからだろうと思っている。ギルド職員は北側から狂暴化が報告されたと言っていた。もし本当に魔王軍が魔物の狂暴化に関わっているとしたら、アルンの湖にも何かされているのだろう。


 何もされていなければ良いけど……


 そう考えていたら森に付いたようだ。



「この天気です、魔物の行動が予測できませんので気を付けましょう……!」



 空が急に白く光る。しばらくするとゴロゴロっとした音が聞こえてくる。



「急いで向かいましょう、このまま天気が悪くなると調査ができなくなってしまいます」



 ギルド職員の言うことに俺ら全員が頷くと、早歩きでアルンの湖まで向かった。






 空が白く光っては雷の音が聞こえてくる、湖に近づくほどその音が鳴るまでの時間が短くなっていた。


 そしてまた空が白く光る、今度は雷が落ちるところをしっかり見ていた。



「雷が落ちたぞ!」


「湖の方に落ちたみたいだ!」


「急ぎましょう」



 俺たちは様子を見に湖まで走った。湖の水面にはミズクラゲが浮いている。



「あのミズクラゲ動いてないよ」


「さっき落ちた雷を受けたんだろう、見ろ、わずかだが痙攣しているのが分かる」



 目を凝らすと、ミズクラゲはピクピクと動いているのが分かった。そしてミズクラゲは黄色い光を出しながら、ぷかぷかと空中に浮き始めた。



「ミズクラゲが、カミナリクラゲに変化しました!」



 カミナリクラゲは触手を広げて、身体が大きく見えるようにしている。すると、頭の上まで高く上げた触手の先端からバチバチと光る球が作られていく。


 そしてその球を俺たちの方に投げてきた。



「こっちに飛んでくる!?」


「リク、壁を作ってくれ!」


「分かったぜ! 『アースウォール』」



 リクが斧を地面に叩きつけると、土が盛り上がり、目の前に土の壁ができた。それにカミナリクラゲの投げた球が直撃すると、土の壁が砕け散る代わりに雷の球も消滅した。


 ギルド職員は木の陰に隠れ、俺たちは武器を取り出し戦闘態勢に入った。

魔物が狂暴化している報告があり、その場所がアルンの湖の近くのため調査をするようだ、内容は水質を調べる。


ミズクラゲがカミナリに当たり、カミナリクラゲに変化した。



魔物の紹介


・カミナリクラゲ


雷属性を持ったミズクラゲ、

触ると感電するので、耐えるか電気を通さないもので攻撃するか、飛び道具などを使って戦うのが良い。


雷の球を飛ばしてくることもある。



技の紹介


・『アースウォール』


地面を叩き、土の壁を出現させる。

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